野登山

860m
山域:鈴鹿
2000.1.9


もともとは伊賀の霊山でもと思って出かけたところ、途中で車が故障してしまい、スゴスゴと帰っていたが、とりあえずなんとか車も走っているので、まだ行ったことのなかった野登山に寄り道した。地図もガイドも持たず、以前ガイドブックを読んだ時の、表参道は坂本からという記憶が頼りである。

野登山は、北からみればあちこち崩されてしまい悲惨な様相を呈しているが、南側からは、いい里山の風情を残している。坂本集落を抜けたあたりに鶏足山表参道の道標があった。鶏足山とは野登山の別名である。しばらくは舗装路を辿るが、トタンの小屋を過ぎると程なく山道に入る。植林と雑木林が混じった道で、途中、奧に滑滝の見える清々しい流れの沢を横切る。あとは道幅のある、落ち葉が敷かれた緩やかな尾根を登って行く。意外と直線的に登って行くので、ドッと汗が吹き出てきた。しばらく頑張ると車道が横切る。再び山道に入ると、やがて緩やかになり人家の横に出た。途中の喫茶店「夢創庵」である。ここで車道に再び出会う。
一匹の白い犬にあう。車道に出たすぐ先で、右にそれて犬は山道に入っていく。道標は出ていないが、正面の高みへ登って行く道のような気もするので、犬の後をついていく。犬は時々後ろを振り返り、私がついてくるのを確認する。植林地の中の道を先導されて登っていくと、JRの反射板の横を通り、カヤトの中に出た。犬とはここで別れ、ここでハンターとすれ違った。カヤトの平地を抜ければ再び車道と出合い、野登寺への道となる。景観修復の工事中とあり、寺まで車道が切り開かれ、邪魔になったのか、杉の大木も結構伐採されてしまっている。それでも、道中に残った大木はなかなか壮観である。車が通れるように切り開かれてしまった広い道を、巨大な切り株をいくつか見ながら行けば野登寺である。たぶんこのあたりは最近まで鬱そうとした森の中だったのだろう。今では寺の周囲の木はすべて切られてしまい丸裸状態である。かなり痛んでおり、どうやら本格的に、改修するようだ。寺の本堂の右手から登ると、NTTの電波塔のための車道に出て、電波塔に着く。ここが最高点らしい。自転車で来ている方がいたので、エアリアを見せてもらう。地図で三角点の山頂を教えてもらい、あのあたりかなと目星をつけた。
再び寺に下り、入り口のお地蔵さんをたくさん置いてあるところまで来ると、右の方に高い稜線がある。先ほど目星をつけたあたりだなと思い、お地蔵さんの右のスペースの進んでみると、ずっと奧に続く道があった。トラバース状の道は、鞍部の湿地帯を通り、静かな三角点の山頂に達した。この山頂は、修復中で殺伐とした寺や、電波塔で占拠された最高点の後だけに、いかにも山頂らしく、救われたような気がした。
再び、寺の入り口まで戻ると、夫婦のハイカーが先ほどの犬とともに、車道経由で上がってきた。犬に先導されて車道の方を登って来たとのこと、いろいろ案内のバリエーションを持った犬らしい。私は元歩いてきた山道の方を降りようとすると、今度は犬は私を先導して夢創庵まで下っていった。途中で行きにあったハンターが銃から弾を出している所だった。
そのまま、来た道を下ってトタン小屋の前を通り掛かると、台の上に一頭の猪が載せられ、解体の準備がされているところだった。山の各所から下りてきたハンターたちも、楽しそうな足取りで小屋へと駆けつけているところで、きっとこれから楽しい夕餉となるところだろう。里山の風情の野登山であった。



記録

日 程

2000年1月9日(日)

天 候

曇り

コース

1310 坂本 → 1355 夢創庵 → 1420 野登寺 → 1430/40 西峰(NTT) → 1500/05 東峰三角点 → 1525/35 夢創庵 → 1605 坂本

静かな野登山三角点


参考図書・地図
ヤマケイアルペンガイド 名古屋周辺ワンデイハイク
50000図 亀山
25000図 伊船