霊仙山

 霊仙山 1098m 三角点 1083.5m
 南霊山(岳) 経塚山


山域:鈴鹿
2000.10.7


鈴鹿山脈の著名なピークの中で、唯一足跡を残していなかったのが霊仙山であった。四日市に住んでいると、この山は鈴鹿で最も遠い山になってしまうのである。加えて、山の雰囲気から、天気のいい日を選びたいところでもあり、結局行きそびれていた。
10月初旬の三連休のは1日だけ秋晴れが広がりそうであった。これは霊仙に向かうのちょうどいいと思い、藤原岳や御池岳の山麓から鞍掛峠を越え、今畑の登山口へと向かった。この登山口がたぶん一番アクセスが良く、また西南尾根を登れるので、主要な霊仙の山稜のピークを歩くことができる。多賀から河内へと入り、さらに落合へと伸びる狭い車道脇に、山の上に住む人の車庫や倉庫が並ぶというちょっと面白い風景を経て、道標のある今畑口の登山口に着いた。

山道に入るとすぐに今畑の集落を通過する。廃屋とはなってはいるが、畑や庭は丁寧に維持され、ちょっといい雰囲気である。共同の水場など、往事を偲ばせる。お寺の前を通って森の中へと入っていくと、しっかりと踏まれた道が続き、かつて生活の中で人々が往来した道であったことが解る。立派なブナ林もあったりして、ゆったりしたいい登りであった。
登りはいつの間にか平坦なトラバース道になっており、左手に南霊山が大きく立ち上がっているのが、樹間から見えてくる。そして笹峠らしきところに出ると、南面に下り気味に笹分け道へと入っていく。背丈ほどの笹を分けていく道は踏み跡がしっかりしているので問題はないが、鬱陶しいのは杉の若木の枝がよく茂っていることである。笹は分ければ良いが、杉の若木は痛い上に、少々粘っこい。途中で左に折れて登って行くところがあるが、この地点でそのまま下っていけば、支谷の方に出るのだろうか?少し登りかえしたところで、カレンフェルトのある樹林帯があり休憩した。
ここから南霊山の急登に取りかかる。こういう一本調子で登るような道は、いかにも登っているぞという感じがして好きである。高い木が無く、振り返ると展望が開け、鍋尻あたりが大きく見える。笹峠一帯は綺麗な笹原が光っているが、点々と杉が伸びてきており、いずれ植林に覆われてしまうのだろうか?白谷林道の延伸の動向もあるが、もったいない。また、この急登は花が多い。トリカブトの花があちこちにたくさん咲き、また菊の花も多い。急登を登りきった所から、斜度を落としてさらに近江展望台へと登りが続く。さすがに一気に登ってきたので、展望台に登り着くことにはかなり疲れてしまった。
近江展望台からは、名の通り琵琶湖が一望できる訳だが、それよりも感動的なのは、最高点に続くゆったりした尾根が見渡せたことだ。これを歩ける思うことで、大変な幸せを感じる。山頂に向けて稜線上を辿るとすぐに道が無くなってしまった。登山道は南側を巻いて付いているようだ。稜線部分は石灰岩の小さなゴツゴツした突起が多く、意外と歩きにくく感じるのは、靴の底が柔らかめのトレッキングシューズを履いていることも原因かもしれない。南霊山のピークを過ぎると、左手に三角点峰が近く見えてくる。谷を挟んで反対という訳だが、数人の登山者が立っているのが見える。ほんの少し低いだけの鞍部で笹の海を泳いだあと、花の多い道を、踏まないように気を付けながら最後の登りに入っていく。ここは東側をトラバース気味に道がついており、前方には県境尾根が幾何学模様に植林されてしまっているのが見えた。最後に再び笹の中を潜って最高点に登る。あまり遠望の効かない日だが、御池岳や藤原岳はよく見えているし、なによりも霊仙の山頂部が綺麗に見渡せているのが、たいへん楽しかった。
少し休んで三角点峰を目指す。鞍部は再び深い笹に潜る。笹から出るとやがていい道に合流して三角点峰の山頂である。伊吹山が正面に見えるが、残念ながらなんとなくみすぼらしく見えてしまう。あの山は下から見上げた方がいいのかもしれない。
下山は経塚山まで登り返し、避難小屋のある方の尾根を眺めたあと、汗フキ峠に向けて下っていった。しばらくはゆったりした笹の中のアップダウンが続き、お虎が池を通過。左側に見える稜線が、三角点峰の先のピークで途絶え、近江展望台のある稜線に代わると、道はグングン高度を落とし始める。こちらの登りも結構な急坂のようだ。樹林帯に入っても傾斜は衰えず、汗フキ峠まで着いてしまったところを見ると、思っていた以上に、この道は登りがきついのかもしれない。
汗フキ峠から左に折れると、すぐに大洞谷の流れに出る。大洞谷に沿った下りの道はさすがにかつての村々を結ぶ道らしく、歩きやすく付けられている。途中大洞谷の流れに、鹿が2頭水を飲んでいたが、驚いて獣道を駆け上がって行ってしまった。ちょっとした角を持っていた。やがて道も全く平坦になると、植林の中のいい道になり、左岸に渡ると、左から道が合流する。たぶんこれを詰めれば笹峠に出られるのだと思う。そして山道も終わり、お寺の境内を抜けると小さな落合の集落である。集落から出て車道を歩いていくと、対岸は墓地になっており、たくさんの墓の数は、かつてかなりの人々が暮らしていたことを思わせる。丁度彼岸を過ぎて間もないので、どの墓も花が供えてあった。すぐに今畑口の登山口に着き、充実した山行が終わった。

本文中の写真(順に)

  • 近江展望台への急登から振り返る笹峠・鍋尻山
  • 南霊山付近から見る山頂稜線
  • お虎が池
    スナップ:お虎が池

    記録

    日 程

    2000年10月7日(土)

    天 候

    晴れ時々曇り

    コース

    1030 今畑登山口 → 1130/40 笹峠の先 → 1210/20 近江展望台 → 1315/30 霊仙最高点 → 1340/1410 霊仙三角点 → 1425/30 経塚山 → 1445 お虎池 → 1530/35 汗フキ峠 → 1605 落合 → 1615 今畑登山口

    経塚山から柏原方面の尾根を展望する


    参考図書・地図 その他のコース
    エアリアマップ 霊仙・伊吹・藤原
    25000図 彦根東部・霊仙山
    50000図 彦根東部
    四方からいろいろなコースがあります。
    1.柏原からの尾根道コース
    2.榑ヶ畑から汗フキ峠
    3.落合から汗フキ峠(本文)
    4.上丹生から谷山谷コース
    5.今畑から西南尾根(本文)
    6.梓河内から柏原道に合流
    その他バリエーション的になりますが、時山方面からソノド・藪ヶ谷経由、あるいは五僧からの県境稜線などいろいろと考えられます。
    バス
    榑ヶ畑・上丹生コース
    醒ヶ井駅から、上丹生経由・醒ヶ井養鱒場(湖国バス
     午前便 6:49 7:51 9:08 9:55 10:34 11:01  1時間に1本程度
     養鱒場より登山口まで、1時間20分
    柏原コースは、東海道線柏原駅下車で徒歩15分程度
    今畑・落合方面は、近江鉄道多賀駅から3時間以上。タクシー利用になります。