砂山

 砂山 497m 展望地点 628m

山域:鈴鹿
2000.11.23


晩秋の祝日は、素晴らしい青空の日となった。この日は宿直を終え帰宅したのはすでに9時。このまま秋晴れの日を無為に過ごすのももったいないと、近くて展望の良さそうな砂山へと向かった。今月は国道421号に向かうのはもう3度目である。

ちょうど紅葉が里まで降りてきた頃の秋晴れの休日でもあり、宇賀渓入り口の国道沿いの駐車場はほぼ満車状態であった。ゲートをくぐり有料駐車場を過ぎると食堂や土産物屋の間を進む。ガイドによるとすぐに左に折れるはずだが、名勝のハイキングコースなので立派な標識があるだろうと漫然と歩いていくといつの間にか随分先まで行ってしまった。ここは駐車場のすぐ先を左折しないと行けないところで、戻って路地に入ってみると入り口に道標が立っていた。
山道は、幅2m程度の遊歩道となっており、緩やかに高度を上げていく。傾斜のあるところには、しっかりと階段が作ってある。短いコースでもあり、ここはゆっくりと歩いていった。道には秋らしく木の実がたくさん落ちていた。展望はあまりないが、やがて尾根の南側を歩くようになると三池岳側が見えるようになる。静かな雑木林の中の階段道は、あまりにも整備されていることを除けば、ちょっとしたハイキング気分でいいものである。途中尾根上がガサガサ音がしたので見上げてみると、木の上から猿がじっとこちらを見おろしていた。
やがて少しのしっかりした登りで尾根上に出ると、右が尾根道、左が遊歩道の道標があった。少し遊歩道側に行ってみたら、すぐ右に折り返して、尾根の下を高度を下げていく。これでは面白く無いので尾根道を進むことにした。
ここからやっと山道らしい道となる。静かな雑木林の中から、白い砂の尾根に出て目の前に展望が開けた。正面には低い尾根の向こうに竜ヶ岳の山頂部が青空の下で綺麗にみえる。そしてこの白砂青松の風景は、花崗岩の鈴鹿山脈を代表する風景である。ここは実に楽しいところだ。
再び雑木林に入ると、やがて遊歩道が登ってくる。そして合流したところからは、少し急な登りも出て、僅かで白い岩のゴロゴロした所に着いた。ここは写真で見たことがある風景で、砂山の山頂になるのだろうか。しかしすぐ横にここより高い場所があるのであまり山頂という気はしない。ここも竜ヶ岳の展望が良く、また一つ小さな岩が直立しているのが印象的であった。この岩峰を降りて隣のピークに登ると、道標はすでに砂山を通過したことをしめしており、497mの標高点はこのピークではなかろうかと、すこし道をそれて一番高そうなところに行ってみた。特に何でもない薮の中だった。
砂山を通過してからも、道は緩やかに高度を上げ続ける。次のコブへ、そしてそのまた次へという具合に、尾根を巻いたり乗り越したりしながらの登りである。しばらくすると右手に竜ヶ岳がかなり接近してきているのが樹間越しに解る。空は明るく大展望が望めそうな雰囲気だけに、開けたところが無いのがなんとももどかしい。しかし、それも僅かの辛抱で、628mあたりの小ピークに出ると、道を少し北側に外れた所から、遮る物の無い展望が広がっていた。
ここは竜ヶ岳の正面である。ここから展望する竜ヶ岳の雄大さを表現する言葉としては、「圧倒的である」というのはいかがだろう。私はしばらく竜ヶ岳と向かい合って息を呑んだ。いつか7マウンテンで一番好きなのはと問われ、何の気なしに竜ヶ岳と答えたが、そう答えておいて良かったと思った。
このあたりまで来ると石榑峠も近く、峠の様子が手に取るように解る。ずいぶん急峻な道をつけたものである。展望地を離れ少し下ると、再び道は正面の高みに向けて登り始めるが、今度は途中で巻き道に入り、北に向かって下るようになる。巻かずに真っ直ぐ登れば小峠で国道に降り立つはずである。下りは若干急な所も出てくるが、意外とすぐに沢音が聞こえはじめ、やがて堰堤の下で沢に降り立った。
ここからは、沢に沿った道となる。時折左右に渡り返しながら下って行き、水量も多いので不安定なところはロープが張ってある。しかし、滝見物にくる人たちは、運動靴程度で来る人たちも多いようで、水の中に足を落とす人も多いのではないかと思う。2段になった長尾滝を過ぎ、しばらく行くと中道登山道の分岐となる。ここから先は8年前に歩いたはずだが、それほど詳細には覚えていない。道は本流から離れかなり高い所の山腹を行くようになるが、そこに流れ込む滝が五段滝で、これは見応えもあり、記憶にもあった。そして、青い釣り橋を渡ると程なく林道終点となり、裏道の登山口である。このからの林道歩きは、今日の行程が短かったためか、意外と長いなと感じた。

本文中の写真(順に)

  • 白砂青松の稜線と竜ヶ岳遠望
  • 大展望の竜ヶ岳
  • 長尾滝


  • 記録

    日 程

    2000年11月23日(木)

    天 候

    晴れ

    コース

    1050 宇賀渓駐車場 → 1200 砂山 → 1220/45 展望地 → 1310 長尾滝 → 1405 駐車場

    竜ヶ岳全景


    参考図書・地図 その他のコース
    エアリアマップ 霊仙・伊吹・藤原
    25000図 竜ヶ岳
    50000図 御在所山
    砂山に登る遊歩道は、登竜荘からのものなど、いくつか整備されている。
    バス
    三岐鉄道 大安駅より、キャンプ場行 9:45(7/20〜8/20の土日祝日のみ運行)帰りは15:55発
    それ意外の時期は、近鉄北勢線 阿下喜駅より、福王山行き(三重交通)に乗り、宇賀渓口より徒歩となります。