高畑山

 高畑山 773m 溝干山 770m
山域:鈴鹿
2001.6.10.



昨日は少し遠出をしたので、今日は曇りでもあり、近場の山へ。鈴鹿峠の南の山は那須ヶ原山に行っただけなので、行程も短く適当かなと、高畑山に決めました。展望のいい山ということでしたが、その雰囲気自体も最高の山でした。

1.鈴鹿峠へ

1号線を走っていても、山は見えないほど雲っていたが、雨の確率は低い予報なので、安心して向かう。坂下を過ぎ鈴鹿トンネルに登っていく途中で、連絡道路に入って上り線に入る。バーベキューレストランの前を通って下ったところに、片山神社の石柱があったので、その下に車を停め、東海自然歩道の鈴鹿峠の道へと入っていった。
植林の中の暗い舗装路を登って行く。片山神社で突き当たり、神社の境内の様な雰囲気の道を右に折れ、石畳の道をジグザグに高度を上げる。やがて樹林の暗い道から突然明るい1号線の高架下に出て、巨大な橋脚の脇をくぐり、階段を上って、国道脇の広場に出た。
再び暗い樹林の道に入る。すぐに馬の水飲み場を過ぎ、広い道を折り返しながら高度を上げる。石垣の築かれた道にいにしえの旅人の面影を思い浮かべるところである。旅人よりもむしろ商人や運輸業の道だったかもしれない。街道の古い木は、彼らを見ていたのだろうが、彼らもそれぞれの木々を覚えていたのであろうか?
さていろいろ考えているうちに程なく鈴鹿峠に到着した。樹林の中の静かな峠である。前方が明るく、万人講の灯籠が見えるので往復してみる。植林の切れた所が三子山への登り口。その先は広く茶畑が広がる。三重県側の急峻な山とは違って穏やかな台地状であり、こちら側は車で上がってくることができるようだ。
再び峠に戻って少し登ると鏡岩への分岐に出る。鏡岩に立ってみると、三重県側の1号線の様子がよくわかる。なるほど、ここで盗賊が旅人を狙っていた訳である。

2.高畑山

さて、鏡岩から登山道に戻り、高畑山を目指す。植林地を抜けると、雑木林の登りとなる。あたりには国道を走る車の音が響き渡る。最初の登りはかなり傾斜もあり直線的で、かなり汗をかく。足元にはまだ茶畑の刈り込みの音が聞こえている。今日は行程も短くのんびりゆったりという気持ちでいっているが、焦って登るとけっこう疲れるだろうと思う。途中で名残のミツバツツジがたくさん咲いていて、楽しませてくれた。
傾斜が緩くなると最初のピークに登り着いた。雑木林の笹に覆われた細道で、鈴鹿の山がコンパクトによくまとまったような雰囲気がある。ここから何度かアップダウンを繰り返していく。笹の上にアセビの密集した林は、入道ヶ岳を思わせる。花崗岩の小石のザレた登りもある。これも鈴鹿ならではである。
進むにつれて、だんだん路傍にコアジサイの花が多くなってきた。その度に足がとまる。薄青色の花は、清楚で素敵である。このコース名物のナイフエッジに出る。別に難しいところは何もないが、良いアクセントだ。ここから高畑山が大きく立派に見える。
再びアップダウンを繰り返しながら高度を上げていく。道には、次々と満開のベニドウダンが現れてくるようになった。いかにもたわわに実ったという雰囲気の花に出会うたびに足が止まる。図らずも、良い時期に来たものだと思う。
楽しみながら登っていくと、とうとう山頂である。周囲に遮るもののない、展望の山頂だが、今日は曇りで周りの山は見えない。しかし、美しい笹原と新緑を眺めながらのんびりとしていた。心地の良い山頂であった。

3.溝干山を経て下山

山頂から稜線を進み溝干山を目指す。高畑山の直下には少し大きな岩があり、この周りで一瞬道がわかりづらくなるが、目指す山の方向をあくまでも目指せば、間違いはない。少しだけ道に笹が被るようになるが、相変わらずの美しい密集した雑木林の中を緩やかにアップダウンしながら進んでいく。
最後に急坂を一登りであっけなく溝干山の山頂である。樹林に囲まれて展望は無いが、せっかくの山道がここで終わりでちょっと名残惜しい。
溝干山からは坂下峠への一気の急下降となる。以前坂下峠からこの山を見上げてずいぶん急な斜面だなぁと思ったものだ。やがて右側にガレが現れ、その脇をどんどん高度を下げていく。正面には唐木山とキレットの崖が見える。あのキレットをこわごわ下ったことを思い出した。どんどん下るとガレに突き当たり、道は左に巻いて下っていく。高度を下げて再び稜線に戻ると、ほどなく崩壊の激しい坂下峠の上に出た。この周辺はウツギの花が多く、タニウツギも少し混じる。峠の坂下側への道を下ると、荒れた車道に降り立った。1年半前に来た時と同じで、この区間だけはまだ整備されてようだ。
坂下側に少し下ると、すぐに舗装路となる。時々満開の花を付けたウツギが道路に被さり、花の香りがあたりに広がっていた。車道は大きく曲がりながら下っていき、かなり飽きてきたころ、正面に1号線の下り線が見えてくる。その先に、キイチゴがなっており、少しいただいた。やがて上り線と下り線の接続道路の途中にでて、上り線を横切り、バーベキューの店の前を通って車を置いた神社の下にたどり着いた。ゆったりした気分で歩くことができて、いい一日だった。

高畑山は予想していたより遙かに素晴らしいコースでした。鈴鹿の主要な山とは外れた場所にありますが、鈴鹿の大きな山々と同じ様な自然のエッセンスが詰まったという感じでした。それにベニドウダンとコアジサイの花が楽しめて、最高でした。

ミツバツツジウツギコアジサイベニドウダン

本文中の写真

  • 鈴鹿峠の登り口の片山神社
  • 鈴鹿峠を見下ろす鏡岩
  • アセビと笹の森の登山道



  • 記録

    日 程

    2001年6月10日(日)

    天 候

    曇り

    コース

    0820 片山神社下 → 0840/55 鈴鹿峠 → 0900 鏡岩 → 0945 ナイフエッジ → 1015/45 高畑山 → 1115 溝干山 → 1130/40 坂下峠 → 1240 片山神社下

    ナイフエッジの道


    参考図書・地図 その他のコース
    アルペンガイド 鈴鹿・美濃
    昭文社 エアリアマップ 御在所・鎌ヶ岳
    鈴鹿の山ハイキング 中日新聞社
    25000図 鈴鹿峠
    50000図 亀山
    一般道としては、本文のコースのみになります。
    高畑山の鈴鹿峠側の鞍部に、滋賀県側から上がってくる道がかつてあったようですが、廃道化しているようです。
    バス
    鈴鹿峠を越えるバスは廃止されており、
    亀山駅から、関駅経由の伊勢坂下行き(三重交通)に乗車
    伊勢坂下より徒歩となります。

    さて、この坂下は東海道五十三次の宿場町の一つですが、現在はかつての賑わいをよそに寂しいたたずまいとなっています。安藤広重に絵には、筆捨嶺(筆捨山?)が描かれていますが、一見羽黒山のような雰囲気がありますね。
    「坂は照る照る鈴鹿は曇る あいの土山雨が降る」という馬子歌が有名ですが、まさに鈴鹿の山の日常を表していると思います。