天狗堂

988m

山域:鈴鹿
2000.4.30


かつては一般コースには名前がのぼってこなかった天狗堂であるが、最近のエアリアのガイドには紙面を割いて紹介されるようになっている。それほど行程も長くなさそうなので、思いつきで出かけてみたが、確かにいろいろと惹きつけるもののある山であった。

車で伊勢側から石榑峠を越えると、すでにひと山登ったような満腹感になってしまった。さらに政所から林道を遡り、山間の君ヶ畑に至る。休日の分校前に車を止めて山里の中を歩き出と、太陽も出てポカポカといい雰囲気であった。
見当をつけて器地祖神社の脇から取り付いてみる。少しでも歩きやすい場所を、尾根上へと辿っていけば、NHKの埋設ケーブルに沿った道となり、テープも現れた。傾斜はそこそこだが、全くの直登の道で、かなり厳しい登りである。ここは我慢のしどころと、大汗をかきながら植林の中を一歩一歩高度を稼いでいく。やがて、沢の源頭のような広々と気持ちのいい場所にでると、わずかで稜線上の712m地点に着いた。いつしか太陽はすっかり雲の中に隠れてしまい、風が少し出て来はじめた。
稜線の道は一旦下ったあと、登り返して若い檜の植林地に沿う明るい道となった。やがて正面に天狗堂のピラミダルな山容が現れる。その遠く高く聳えたつ勇姿を見て、思わずこれからの行程が思いやられた。さらに笹を刈り払った道を、切り株に足を取られながら進むと、やがて左側の尾根に合流した。このあたりは尾根が広く、刈り払いや踏み跡が乱れて、一瞬道を失ったが、向かって右端の若い植林との境に踏み跡が続いていた。少しの間、檜の枝と笹をかき分けると、やがてそれも無くなり、急な斜面の遙か上に山頂を見上げるようになる。ここは観念して、じっくり登るのみ。ほとんど直登で、木に掴まっての急な斜面を這い上がるような道である。ずいぶん登った頃、岩を回り込むような場所に、イワウチワが群生していた。大きな群落で、見事に白い花と桃色の花が一面に花をつけており、これは素晴らしいの一言である。
斜面を登り詰めると、すぐ先に少し高いピークが見え、程なく到着。山頂の岩の上に登ってみると、やはり期待通りの大展望で、御池岳が大きく正面にT字尾根が一望できる。また、岳からノタノ坂に至る稜線は、すっかり鉄塔ができているので、確かに巡視路を楽に辿れそうである。岩の上で展望を楽しんだあと、雨が来ぬうちにと、そそくさと下山する。登っているときは歩きにくいなと思っていた道も、下りは概ね快適であった。最後ははっきりしている踏み跡を辿り、降り立った場所は神社の脇で、適当に登り始めたところから10メートルも離れていなかった。



記録

日 程

2000年4月30日(日)

天 候

曇り

コース

1125 君ヶ畑 → 1200/05 712P → 1300/20 天狗堂 → 1400/05 712P → 1430 君ヶ畑

稜線から見上げる天狗堂山頂


参考図書・地図
エアリアマップ 霊仙・伊吹・藤原
25000図 竜ヶ岳
50000図 御在所山