銚子ヶ口

1077m

山域:鈴鹿
2000.11.18


鈴鹿の名峰の中でも、少し奥まった位置にある銚子ヶ口は、いつも気になる山であった。三重県側からすれば、彼方の山ということになり、四方からバリエーションルートの通じる山という意味でも興味深い。そして鈴鹿峠より北の山で、普通にガイドブックで紹介されている様な山のなかでは、唯一山頂に立ったことのない山であった。そして寒風の吹く晩秋の日、niftyのFYAMAのオフ会ということで、ついに山頂に立つ機会を得たのである。

秋も深まった11月の中旬の日はついに冬型の気圧配置となった。三重県側が晴れ時々曇りで、滋賀県側が曇り時々雨ということである。日々微妙に変わる週間天気予報を見ながら、強い風と冷たい雨を覚悟し、少しでも良くなる期待を持って当日を迎えることとなった。
集合地に宇賀渓に向かう道から見る鈴鹿南部の山は、すべて雲一つ無く、雨乞岳までも綺麗に見えていた。少なくとも雨に降られる可能性は低くなり、県境稜線上までは少なくとも雲の無い日のようだ。宇賀渓で集合した一行は、半分くらいの車を置いて、分乗して石榑峠を越えていく。すでに高いところの紅葉は終わっているが、低いところは今が盛りという感じである。峠を越えると、やはり滋賀県側が雲が重く垂れ込め、天気予報はその通りだったな..と思った。
神崎川の橋のたもとの駐車場に車を置かせてもらい、山道へと入って行く。すぐに右に長い石段があり、その上に祠があるのが見える。道は北尾根の東の山腹を巻くように続いており、植林地の中の緩やかなだらだらした登りで、特段の展望がある訳では無く、前後の人たちと話に花が咲いた。話しながら歩いても疲れない程度の傾斜とペースであった。途中はさして危険な所もなく、淡々とした道は、印象としては不老堂がかっこいいなと感じたくらいである。約1時間歩いてやっと広い場所があったので休憩する。汗を多少かいたので上着ををとったが、すぐに寒くなったので再び着る。陽があたらず風があって、かなり冷え込んだ日であった。
休憩地から先は、多少植林の中に雑木林も混じり、黄色や薄い赤の紅葉が美しくなる。やがて尾根を越え西側に出ると、右側の須谷川がだんだん近づいてくる。同じ高さになれば源頭部で、湿地帯を歩いたり、小さな流れを何回か渡ることとなる。途中に立派な石垣の残る炭焼窯跡があった。この道は源頭部に入っても杉や檜が続き、地形などは、まさに鈴鹿に良くある様相であるが、2次林の多いこの山地の中では、かなり異質な登山道かもしれない。
やがて源頭をしばらく進むと植林も切れ、雑木林に突入する。このあたりは残念ながら、紅葉もすっかり終わり、冬枯れの林となっていた。滑りやすい落ち葉が敷き詰められた道を、前方に見える稜線に一歩一歩登って行く。そしてついに遮る物のない稜線に立つと、晴れた主稜線の山々が眼前に広がっていた。
少し展望を眺めたあと、右の東峰に向けて登って行く。登るにつれて、北の方の大きな山も見えてくる。そして東峰からは大展望が広がった。霊仙山はちょっと霞んでいたが、御池岳・藤原岳は意外なことに陽が降り注いでおり、綺麗に横たわっている。そして、竜ヶ岳から正面の釈迦ヶ岳へ、このあたりでは、ハト峰が可愛く目を引いた。御在所山あたりから先にでているコブはハライドだろう。鎌ヶ岳は頭をちょこんと出していますが、それだけでも充分に存在感があった。
三角点峰を踏んだあと、再び下って中峰に登り返す。ここでイブネ方面への分岐と別れ、先端の南峰に向かった。ここからは、眼下に谷尻谷がきれいに見える。南には平坦なイブネと、その向こうには雨乞が出ている。この山はまさに鈴鹿主稜線のスーパースターたちが一望に見渡せる鈴鹿山地の大展望台なのであった。
天候は銚子ヶ口あたりは時折陽が射す程度で肌寒いが、回りの山々は晴れており、展望という意味では申し分ない。休憩していると、かなり寒い。下山は東峰まで戻り、名残惜しく展望を楽しんだあと、順調に下る。程良い傾斜を淡々と下れば、あっという間に朝の休憩地で一休み。その後も歩きやすい下りが続くので以外に早く、登山口まで降りてしまった。途中で一瞬晴れた陽に照らされた、紅葉の不老堂の姿は素晴らしく、今度は是非登って見なければと思った。杠葉尾に下山すると、正面には岳の勇姿があり、中腹の赤い紅葉が印象的である。干し柿や干し大根のならぶ晩秋の集落を歩き、駐車地に戻るとここで解散となり、それぞれの帰途についた。

この日のオフの模様は三重県のダイビングと熊野古道に掲載されています。

記録

日 程

2000年11月18日(土)

天 候

曇り時々晴れ

コース

0900 登山口 → 1030 須谷川合流 → 1125 東峰 → 1130 三角点 → 1145/1300 南峰 → 1325/30 東峰 → 1505 登山口

登山道からみた不老堂の勇姿


参考図書・地図 その他のコース
エアリアマップ 御在所・鎌ヶ岳
アルペンガイド 鈴鹿・美濃
25000図 御在所山
50000図 御在所山
一般道として歩かれているのはこの北尾根だけですが、たくさんのバリエーションがあるようです。
かつてのエアリアマップには、
1.杠葉尾より須谷川を辿る道(実線)
2.風越谷から
3.北谷尻谷から
4.佐目子谷川の姫ヶ滝から
5.須谷川から黒尾山の稜線に上がり稜線を辿る
6.大峠、イブネへの縦走路
が出ていました。これ以外にも、瀬戸峠から尾根伝いであるとか、ジュルミチ谷の遡行などがあるようで、まさに四方八方からバリエーションルートで行き着く山頂のようです。
バス
杠葉尾方面へは、八日市から永源寺役場まで近江バス(0748-22-5511)
永源寺役場よりさらに永源寺町営バス