綿向山

 綿向山 1110m 竜王山 825.8m
 山域:鈴鹿

記録
 山行日1995年3月12日(日)
 ルート西明寺→水木野登山口→表参道→綿向山→竜王山→西明寺
 コースタイム西明寺→水木野登山口→表参道→綿向山→竜王山→西明寺
 天候晴れのち雨

四日市から東京に戻ったあと、鈴鹿は懐かしき山々となった。山登りを始めたのも鈴鹿であり、初歩的なハイキングはこの山々で覚えたものである。まだまだたくさん歩きたいところもあるのでいつか行ってみたいと思っていたら、ちょうど月曜日の出張があったので、ここぞとばかりに四日市の友人に宿泊と同行をお願いし、久々の対面を楽しみにザックを担いで東京を発ったのである。

かつて鈴鹿に良く登ったのは夏であったが、今回はまだまだ雪の多い早春である。残雪期の山に登るのは初めてだが、今日は助っ人の友人同行なので心強い。下山予定の西明寺付近に駐車して植林地を抜け、水木野登山口から登りにかかる。ジグザグを折り返しながら登る古くから歩かれた道で、適度な傾斜が心地よい。途中で林道が横切りちょっと違和感があるが、切り開かれて明るく展望は良いところでもある。やがて道を雪が覆う様になり、真っ白な雪を踏みつつ5合目小屋、7合目の行者堂へと順調に歩きやすい雪道を登っていく。7合目から道は山腹のトラバースにかかるが、踏み跡が途絶えて引き返していた。どうやら、斜面をトラバースする夏道を避け、積雪期は尾根を直登するようだ。急な尾根を大汗をかきながら木に捕まって直登すると、やがて尾根上に乗ったのか木の間から北鈴鹿の雪を被った稜線が姿を現した。そして最後の登りを登り切り頂上部の肩に立つと、わずか先に待望の祠とケルンが見えた。

山頂からの展望は雄大の一言に尽きる。雪を纏った鈴鹿の山々は夏とは違った厳しく美しい姿を見せている。特徴的な鎌ヶ岳、大きな雨乞岳、平坦なイブネとそれぞれの山に揃って迎えられ、飽きず展望を楽しんだ。

下山は綿向山から北に向かい竜王山を目指す。イハイガ岳の方向に辿る稜線は積雪が多く、足の付け根まで潜ってしまい難渋した。北向きの稜線に出てからは、雪の多い下りと、土も露出する登りという具合で結構歩きやすく、小さなコブをいくつか越えて雪の尾根道を進んで行く。尾根が90度左に折れるあたりで休憩し、広い眺めは最後になるだろうと思い、再び展望を楽しんだ。北面から見る綿向山は意外な程に量感があり雄大である。また、雨乞やイブネを前にして、幾重に入り組む谷や、雪の張り付いた山の斜面に雪国の山の様な山深さを感じさせられた。
だんだん雲が広がってくる中で、まだまだ雪の多い道を竜王山に向かって進んでいく。高圧線の鉄塔を越え少しづつ下っていくと道の雪は少なくなり、やがて尾根の肩にあたる竜王山の頂上に到着した。ここまで来てついに雨が落ち始めた。最後に綿向山の霞はじめた雄姿を眺めたあと、すっかり雪の消えた落ち葉の道を足早に西明寺に下山し、すでに土砂降りとなってしまった中を集落を抜けて駐車した場所へと戻っていった。

今回は今まで夏しか知らなかった鈴鹿の雪を心ゆくまで堪能した楽しい山であった。私にとって鈴鹿の山々は、山の楽しさや恐ろしさを最初に教えてくれた良き教師であり、いつも戻って行きたい山々である。まだまだ頂上に立ったことのない山もたくさんあり、今でも1年に1回くらいは訪ねてみたいと思っている。


参考図書・地図
アルペンガイド鈴鹿・美濃(1992年10月第1刷)
昭文社エアリアマップ御在所・鎌ヶ岳(1992年版)
25000図 日野東部
50000図 御在所山

北面から見た綿向山
その他のコース
水木野登山口から水無山北尾根道経由
その他、雨乞岳からの縦走、ヒミズ谷遡行など
交通機関
近江八幡駅・日野駅発「北畑口」行き終点乗換え、「西明寺」行き。
北畑口〜西明寺間は、日祝日運休となります。
詳細時刻は、近江鉄道バス・湖国バスをご参照ください。