畦ヶ丸

 畦ヶ丸 1293m モロクボ沢ノ頭 バン木ノ頭

山域:丹沢
2002.3.30


先週の菰釣山に味をしめてということなのですが、次は畦ヶ丸に向かいました。畦ヶ丸のメインルートは、下棚・本棚のある西沢ル−トなのだと思いますが、ここは通い慣れた道ということで、先週に引き続き、道志からの入山です。このコースは実は畦ヶ丸への最短コースのような気がします。登りはひのきノ頭経由ですが、ひとえにエアリアマップにある「栂の巨木林」という表記に惹かれてのことでありま す。

直前まで雨で、当日晴れるというのは先週の菰釣山への訪問と全く同じ条件である。出発時刻もほとんど同じ、違いは少し晴れるのが早かったということぐらいだ。おかげ様で、ほんとに雨が残ったら今週は中止しようと思っていたところを、あたりが晴れわたってしまい、大慌てで自宅を出たのであった。
そこそこ渋滞しながら相模湖ICを出て、道志へと向かう。道志ダムを過ぎるといよいよ青根から月夜野へと入っていくのだが、先週とちがい今こそこのあたりの桜が満開である。そして、青根に出たときに正面に見える大室山は、今日は青空の下で堂々とした姿を見せていた。
白い富士を正面に見ながら、西に進む。道志の湯への道に入り、温泉を過ぎると室久保川に沿う道はやがて未舗装となった。川に沿って少しづつ高度を上げ、ずいぶん進んだと思った頃、やっと横浜市野外活動センターが現れる。入り口にはモロクボ沢ノ頭への登り口を示す小さな標識を掛けてあった。
人気のない野外活動センターの中に入り、母屋の下から右に折れ、毛布小屋の前を通って橋を渡る。こちらは本流のノマノ沢だろう。植林地の中に入り、左手に檜沢の音を聞きながら進む。檜沢を渡る橋もあるが、これは無視して檜沢から離れぬようまっすぐ行くと、暗い植林の中、広場の中央に石を丸く並べたキャンプファイヤー場があり、その奥が山道への入り口であった。野外センター内は特に標識は無いので、大したことはないが、多少は勘を働かせながら進む必要がある。
野外活動センターから出てしまえば、檜沢に沿った自然林の道になる。苔むした岩の転がる、楽しい道である。檜沢が二股に分かれるところで、右側の沢を渡り左側の沢に沿っていくと、やがてバン木ノ頭と忘路峠への分岐に出た。手作りの立派な看板が立っており、ここ以降しばらくは、要所にテープや看板が頻繁に現れるので安心である。
きれいな滑になっている沢を見ながら少し進んだあと、標識に導かれて沢を渡り右岸の枝沢に入る。これを少し辿ったところで尾根へのとりつきがあった。ちょうど入り口にネコノメソウの仲間が咲いていた。
明るい沢の道から離れて、植林の中のジグザグ道を行く。下草が青々として瑞々しい。少し登ったところで小さなコブに立つ。そこにはひのきノ前頭と看板があった。ここも標識に導かれてごく小さな鞍部に降り再び登り始める。ここはすでにバン木ノ頭への尾根道になっており、すぐに植林帯から抜けると、期待していた栂の巨木林が出現した。落葉樹の林に混じって黒々と立つ栂の巨木は数も多く、一つ一つが堂々とした木であった。道はしっかりしているが、それほど人のこないコースに、静かにこのような森が息づいているのは感動的でもあった。
尾根道を傾斜を緩めず登っていくと、やがて栂の森はブナの森に変わる。美しい森が続くので、これからも、しばらくこのあたりに通ってみようか、などと考えながら歩いて行く。時折背後に樹間から見える道志主脈の山が、だいたい同じ高さになってくる。進むほうにもあまり高いピークが見えなくなってくると、幾分唐突な感じでバン木ノ頭に着いた。ピークという感じでは無いようだ。
バン木ノ頭からは、県境縦走路をモロクボ沢ノ頭へと向かう。木々の間からは富士山が時折見えているが、下の方から雲が上がってきている。隠れてしまうのも時間の問題だろう。そういえば東丹沢の方にも雲が上がってきている。朝の快晴は早くも下り坂になっているようだ。歩いていると足下にアセビの花が落ちていた。見上げるとあちこちにちょうど咲き始めたアセビの花が白く連なっていた。今年初めてみるこの花にハナバチやチョウが飛んでいる。すっかり春になったようだ。
細かくアップダウンをしながらいくと、左手にひときわ高い山が見えている。穏やかな高まりだが、どうやら目指す畦ヶ丸のようだ。だんだん近づいてくると、モロクボ沢ノ頭に出る。ここももう少し先かと思っていたので、ちょっと唐突な感じではあった。
モロクボ沢ノ頭から畦ヶ丸の方へと進む。小さなコブを越えれば、あとは登り一辺倒の急な尾根道だ。今日一番の登りだなと、汗をかきながら高度を上げる。左手には谷間の向こうに大室山が大きい。急坂を登り詰めたあたりで、斜面に断面がすっぱりと割れたような不思議な感じの丸い大きな岩があった。その岩にも、しっかりと木々が根を下ろしていた。そしてそのすぐ上が、畦ヶ丸避難小屋であった。
畦ヶ丸の山頂は避難小屋のある尾根筋からは少し離れたところにある。といってもすぐ隣であり、わずかで着くことができる。山頂は周囲を木々に囲まれて展望は無いが、広い静かな落ち着きのある空間である。誰もいない山頂で、ベンチに横になり、周りの木々を見上げながらしばらく休んでいた。今日ははまだ誰にも会っていない。想像以上に静かな山頂であった。
30分ほどのんびりしたが、誰も登ってこない。こんないい天気の週末に珍しいなと思う。再びモロクボ沢ノ頭まで戻る。ところで、稜線の南にモロクボ沢、北に室久保川。なんだか面白い。モロクボ沢ノ頭にちょうど加入道山方面から1人登ってこられた。今日初めて出会う人で、少し言葉を交わす。下山は忘路峠へと向かう。なかなかいい名前の峠である。当初は城ヶ尾峠までとも考えたが、いくつかのピークを越えていくうちに大界木山も高くなってしまい、もう一度檜沢に降りてみたいこともあって、下山に決めた。
忘路峠には小さな道標があった。登ってきた、ひのきノ頭経由の道と違って、こちらは道も細く、地面も柔らかく、相対的に歩かれていないような感じである。しばらくは沢の源頭部をあちこちと巡り、小尾根を横切ったりしながら下っていく。しかしそれもやがてしっかりとした尾根道を下るようになった。やがて左側に植林地が現れる。右手は雑木林であるが、どちら側にも、時々栂の大木が混在する。最後は植林の中を下りとなり、檜沢の流れを聞く。再び雑木林に出ると、檜沢へと降りていき、間もなく登りに通った分岐点に出た。檜沢に降りて、少し雰囲気を楽しんだあと、水をペットボトルに詰め、野外活動センターへと戻って行った。短い行程だが、いい道を歩けて満足した1日であった。

帰路は、先週同様道志の湯に立ち寄り、ゆっくりしてから帰りました。渋滞もしましたが、それは仕方がないという感じです。
今回は、所要時間の短い省略コースでしたが、やはり素晴らしい森を楽しむことができました。たくさんの巨木に出会えたのも、とても良かったと思います。さて、このあたりは本当に素晴らしいと思うのですが、いよいよお隣の北部の巨人が気になってきました。今度行ってみようかなぁ!

本文中の写真

  • 檜沢支流の滑の流れ
  • 登山道に沿う栂の大木
  • 登山道に咲くアセビ
  • 畦ヶ丸山頂北面にある割れた大岩
  • 稜線のブナ
  • 樹間越しに大室山を見る



  • 記録

    日 程

    2002年03月30日(土)

    天 候

    晴れ時々曇り

    コース

    1125 野外活動センター → 1135 分岐 → 1145 ひのきノ前頭 → 1220/25 バン木ノ頭 → 1245 モロクボ沢ノ頭 → 1305 畦ヶ丸避難小屋 → 1307/35 畦ヶ丸 → 1350/55 モロクボ沢ノ頭 → 1410 忘路峠 → 1435/45 分岐 → 1455 野外活動センター

    静かな畦ヶ丸山頂


    参考図書・地図 その他のコース
    エアリアマップ 丹沢
    アルペンガイド 丹沢(山と渓谷社)
    25000図 中川
    50000図 秦野
    西丹沢自然教室より、西沢経由・用木沢出合より白石峠経由・大滝橋より大滝沢経由で山頂に達することができます。 また、これらのコースを組み合わせて周回コースをとることができます。
    道志側から県境稜線へは、本文以外で比較的近い登り口として、白石峠への登路、あるいは城ヶ尾峠への登路があります。また鳥ノ胸山の支稜線の道との組み合わせも考えられますね。
    バス
    このコースは、富士急行(都留中央バス)
    月夜野発 富士吉田方面(道志乗り換え)あるいは、富士吉田発 道志方面で、和出村または道志の湯下車
    富士吉田発、朝の便は東京からでは無理です。月夜野からは接続の神奈川中央交通のバス路線が変更になっていますので、以下を参考に確認をお願いします。土曜と日祝日でも違います。
    時刻等は、富士急行ホームページをご参照ください。
    また、関連路線の時刻は神奈川中央交通をご参照ください。(かつての藤野駅〜月夜野の路線は、現在藤野駅〜やまなみ温泉・やまなみ温泉〜東野に分割されて運行されております。)