篭岩山

501.4m

山域:奥久慈
2004.1.24


土曜日の朝は、天気予報こそ晴れのち曇りでしたが、南岸に低気圧が接近中で、すでに雲が多く、ぱっとしない天気でした。おまけに起きたのもちょっと遅かったので、どうもやる気のしない感じです。近場の丹沢でもと、地図でも眺めたのですが、どうしても行程がそこそこになるので、今日はヤメかな?といろいろと悩んだあげく、こういう時の為の「阿武隈・八溝・筑波の山」を取り出しました。なるほど、ちょっと遠いですが、いい山が沢山のっています。

千葉を出たときは、どんよりとした天気でした。しかし、常磐道を北上していくと、水戸が近づくにつれ、陽が射してきました。関東平野にたれ込めた雲も、このあたりで北端になっているようです。あとは、切れ切れの雲がちらほらと。今日の山行は、実はいい天気のようです。
那珂インターから北上し、西金駅から湯沢温泉に向けて走っていきます。湯沢温泉の角で、かつて奥久慈男体山を目指した道と分かれて右折し、しばらく先で篭岩の道標に従い左折して、細い舗装路を進んでいくと、大きな本覚寺の前に出ました。ここから先は、道が細いのと、ガイドブックにはつつじヶ丘の駐車場に車を置くように書かれていたので、本覚寺の上へと登って急坂を登っていきました。しばらくすると、正面に篭岩山を中心に奥久慈の山々が見える展望地が広いスペースになっていたので、ここに車を置き、出発です。
再び本覚寺の方に下り、狭くなった車道を登山口へと向かいます。正面には田園と、衝立のような篭岩を見る道です。そして、篭岩の袂に一件の民家があり、いかにも奥久慈らしい風景を作っていました。
民家の前は広い車道が横切っていて、小さなトイレと奥久慈のハイキングマップの看板がありました。登山道は民家の横を抜け、川沿いに奥へと入っていきます。しばらく暗い平坦な道が続くと、程なく不動滝に出ます。石の鳥居などがある行場ですが、水量は多くなく、岩に落ちる飛沫が周辺に飛び散り、氷となって冬の滝らしい光景を作っていました。
滝からは、左の壁を登って落ち口に上がります。滝の巻道らしく、急な岩場を登って行く道で、鎖やロープがつけてありました。こういう道を歩くのも久しぶりだなぁと思いました。そういえば、最近は当たり前のハイキングコースしか歩いてないのでした。
滝の落ち口からは、流れに沿って奥へと登って行きます。沢には薄氷がはっており、ゴロゴロした岩を渡って行きます。陽の射さないゴルシュです。これも久しぶりの雰囲気で、楽しくなりました。しばらくして、道は左岸に上がり、やがて斜面を登って小さな枝沢を越え、そのまま一段高い道を水平に進みます。そして、湯沢源流への分岐に出ました。岩崩の為通行禁止と書かれてありますが、奥には抱返の滝などもあって、なかなか面白そうな所のようです。
分岐からはかなりの急登になります。鎖やロープ、木の根を頼りに持ち上げていくのですが、かなりきつく汗が噴き出しました。このくらいでキツさを感じるようでは、高い山に登れないな、もっと減量しないと..。と思った次第です。
喘ぎながら登っていくと、手摺りも作ってある、篭岩の露岩に出ました。篭岩は岩肌に浸食によって丸い穴がたくさん空いた場所で、それらの中には何体もの石像がありました。天井にあいた、人が1人通れるような穴に向けて梯子がかけてあり、これを登るともう一段上の穴に出ます。しかしこの梯子は中空を登って行き、良く揺れるので、ちょっとスリルがありました。また、この岩のあたりは展望も良く、低い山並みの奥に、遠く那須の方の山々が見えるのでした。
篭岩からあずま屋のある篭岩展望台に進み、折り返すように、あずま屋の背後から、上山ハイキングコースの看板に従って篭岩山へと登ります。滑りやすい、落ち葉の積もった道を登ると、岩のあるあたりで踏み跡が乱れますが、裏側から進むのが正解のようです。とりあえず急な坂を登りきると、葉を落とした木々の下で、楽しい笹の小道が続きます。そして軽くもうひと登りあり、看板の下がった特徴のないピークに出ました。看板には、
「ここは、篭岩のピークであって、三等三角点のある篭岩山ではない。篭岩山まではあと40分かかる」といったことが書かれていました。ガイドブックでは、どう見てもここを篭岩山としているのですが、確かに三角点がないので、看板は真実のようです。そして確かにずっと気になっている高みが、尾根をずっと回り込んだ先に見えています。このあたりで一番高いので、きっとあそこだろう。しかし40分はかからないのでは?と思いつつ、せっかくなので先に進むことにしました。
しばらく、気持ちのいいなだらかな道を進むと、下ってくる人がいました。念のため 篭岩山までの時間を聞くと、
「う〜ん..。30分。もの凄い急降下と登り返しがあるので、キツイよ。」
との返事。なるほど、そういうことかと、看板に書いてあった時間については、妙に納得しましたが、ちゃんと時間はかかるようでした。
しばらくゆったりとした尾根を歩くと、右下に急降下する所に出ました。↓第一のコルとの看板があります。第一ということは第二もあるのかな?との疑惑がわき上がります。確かに急降下で、最初こそ木のねなどをつかみながら下れるものの、最後は鎖に体重をかけて降りざるを得ませんでした。
降りた分だけ今度は登りますが、多少はこちらが傾斜が緩くなっています。登り着いたところから、正面に篭岩山の山頂が見えてきました。間には谷があり、右に尾根を回り込まなければなりません。尾根をたどると再び急降下がありますが、今度は僅かです。そして登り返すと明るい雑木林の道になり、良く開けた山頂手前のヤセ尾根を経て、三角点があり落葉樹と笹に囲まれた、とても愛しい感じの山頂に着きました。ここまで来て良かったと思いました。時間は結局20分程度でした。
山頂手前の急崖の上は、木を並べた小さなベンチを作ってあり、素晴らしく展望の良い場所でした。しばらくここに腰を下ろして折り重なる奥久慈の山々を眺めていました。日当たりも良くとても良い気分でありました。
帰りは再びコルを越えて行きます。第一のコルの登り返しは、最初の出だしはやはり急で、太い藤の蔓のようなものに捕まって行きました。蔓植物は頼もしいと思いました。篭岩展望台まで戻り、ガイドブックに従って下りは上山からつつじヶ丘に下る道を行こうと考え、展望台から竜神への道をたどって、山上の集落である上山の田園の中に入り道を探しましたが、ガイドブックの読み方がわるかったのか、集落から山道への入り方がよくわかりませんでした。もう夕日の時間です。時間をかけている場合でもないので、素直に来た道を下ることにしました。
やはり湯沢源流の分岐までは急な下りでした。ここを過ぎるとほっと一息で、不動滝の落ち口まで楽しく歩いて行けます。注意して滝を下ればあとは安全地帯。登山口の民家の前に出ました。そのまま来たとおりに帰るのも面白くないので、車道をつつじヶ丘の入り口まで登って行き、本来降りてくる予定だった立派な登山口をのぞいたあと、つつじヶ丘経由で下っていきました。このあたりは展望も良く、奥久慈男体山と長福山が大きく見えていました。やがて車を停めた場所に出て、夕方は家族と食事の約束でしたので、夕暮れの道をあわてて引き返して行きました。

奥久慈の山は岩場が多く、地形も変化に富んで面白いのですが、このコースも意外な展開もあり、予想以上に楽しめました。地形図を持っていろいろと歩き回ると、なお面白い山域かもしれません。まだまだ奥久慈の山はたくさんあるので、これからますます楽しみが増えたという一日となりました。

本文中の写真

  • 篭岩と山麓の風景
  • 氷結した不動滝
  • 対岸から見る篭岩山山頂
  • 静かな篭岩山
  • つつじヶ丘からの男体山・長福山



  • 記録

    日 程

    2004年1月24日(土)

    天 候

    晴れ時々曇り

    コース

    1215 本覚寺上駐車場 → 1240 登山口 → 1245 不動滝 → 1255/1300 湯沢源流分岐 → 1310/30 篭岩 → 1335 篭岩展望台 → 1345 篭岩のピーク → 1405/25 篭岩山 → 1455/1500 篭岩展望台 → 上山 → 1530 篭岩展望台 → 1600 登山口 → 1615 つつじヶ丘 → 1620 駐車地

    篭岩と石仏


    参考図書・地図 その他のコース
    分県ガイド 茨城県の山
    阿武隈・奥久慈・八溝の山(随想舎)
    25000図 大中宿
    50000図 大子
    他にも一般的ではありませんが、楽しいコースもあるようです。
    シモンさんのHPが参考になります。
    バス
    西金駅から歩いて行くことができます。

    温泉
    登山口へ向かう途中に湯沢温泉があります。また国道沿いにもいくつか温泉施設があります。