奥久慈男体山

 男体山 654m 後山 423m 月居山 404m

山域:阿武隈山地
2001.3.3


今回は、teihaiMLで関東で登るよとPRしたので、2人ですがオフの山歩きができまし た。今回同行いただいたのはだめちゃんですが、家も近いので好都合と、早朝待ち合わせて車で登山口に向かいました。

1.登山口へ

早朝5時半に待ち合わせ場所の幕張西ショッピングセンター前にいると、銀色の車がやってきた。あれ?以前と車のイメージが違ったなと思いつつ、乗せてもらう。湾岸から中央環状経由で常磐道へと入っていくと、夜も明けてきて明るくなった。今日はスカッとした青空の色ではないが、天気はまずまずのようだ。那珂インターからR118を北に向かう。やはり、車は新車だった。メールのチェックをし損なっていたようだ。
登山口のある大子町には、思いのほか早く着いた。西金駅の入り口から道標に従い山の方に向かっていく。下山後、再び駅から歩くことになることを考えると、あまり奥までは行きたくないのだが、適当な駐車場所もなく、結局登山口の大円地に着いてしまった。なんとなく岩山が見えているなと思って車を降りると、そこには男体山の屏風のように切り立って聳えているのが見える。予想外の勇姿に、これはいいなぁ!と嬉しくなった。

2.男体山へ

標識に導かれ、男体山の急崖が頭上に迫る大円地の集落の中をいく。急な斜面に茶畑などが開かれる険しい場所である。畑地が切れるあたりに、健脚(直登)コースと一般コースの分岐がある。山肌には雪も見え、鎖場の多い健脚コースは厳しいだろうと、一般コースをとった。
一般コースは大円地越へと向かう峠道である。古くからよく踏まれていたと思われる道で、ゆったりとジグザグに登っていく。前半は杉の植林が続き、これを抜けると雑木林の中の明るい道となる。足元には地面を隠す程度に雪が積もっており、これは昨日のものらしく、新鮮な白さであった。
両脇を岩に囲まれる谷間の中で、前方に見える窓のようなところが大円地越のようだ。緩やかに折り返しながら登り着くと、そこはあずまやのある、広々としたブナの木の多い雪原であった。
大円地越から少し増えた雪の中を登り、ロープを掴んで岩場を登ると、稜線の肩に立つ。前方に視界が開け爽快である。ここからは、男体山の山頂を見ながら、稜線に沿ってアップダウンしていく。左側は急な崖で、その縁に沿って歩いていく形であり、その分展望も良い。雰囲気のいい雑木林の中を山頂に向けて高度を上げていくと、やがて小さなアンテナの脇を通り、一等三角点のある山頂に登り着いた。
山頂には崖の上に男体神社の立派な奧社が祀られており、かなりの高度感がある。足元には通ってきた登山口が見えており、南から西の方角にかけては遮るもののない展望が広がっていた。久慈の山々の折り重なるような波の向こうにひときわ那須の白い山々が目を惹いていた。

3.縦走路と袋田の滝

今日の行程は、袋田の滝に向かうロングコースである。男体山から北に向けての道は雪が着いており、下りは慎重に歩いて行く。山頂から急坂を下ると左に健脚コースが分かれ、ゆるやかなアップダウンの道となる。小さなピークを過ぎていくと、長福への分岐になり、それより先はトレースが1人分しがついていなかった。縦走路はピークに上がる出もなく、かといって巻くでもなくという感じで続き、やがて右側にゆったりした起伏のある地形が現れる。このあたりは持方牧場の領域で、のんびりした感じではあるが、道は常に樹林の中にあり、開けるわけではない。牧場にそって行くと、やがて尾根から左に折り返して下っていく。急な見返坂の下降に入り、岩に雪が着いてかなり歩きづらいところであった。
縦走路はなおもピークを巻きながら続いて行く。このあたりは展望も無く、また複雑に入り組んだ地形で、現在地の把握もしづらい。歩きづらい雪道でもあり、気分的には少々疲れるところであった。時折分岐が出てくるが、それらはあまり踏まれていないような感じである。
道は稜線から外れ、谷に下って木橋を渡ると、一転して緩やかな広葉樹の谷の登りとなる。ここは素晴らしい雰囲気のある場所だが、長い歩きに疲れが見え始め登り返しが少々恨めしかった。これを登りきったあと、南の方に、長福山・男体山・白木山の3つとも見渡せるピークに出たので休憩し、現在地を確認した。まだ行程の半分くらい。先は長い。
だんだん標高も低くなり、道の雪が少なくなると、多少ピッチがあがってくる。ただし、今までの巻きの多い道から一転してピークを通るようになり、アップダウンが激しくなった。やがて左側に突き出た岩の上の第二展望台に到着。久慈川沿いの集落がよく眺められる。再び上り下りを繰り返し、最後は急坂を登りきると、三角点のある第一展望台である。ここはガイドブックには後山とあるが、現地には鍋転山の看板があった。バス停のような休憩所があり、遅い昼食にした。
道はいかにも里山のような風情になっており、後山からの急坂を下ると、下を2本のトンネルが抜ける鞍部である。ここから国道に下ることができる。再び下った分だけ登り返すような感じで急坂を登る。巻き道のある小さなピークがあり、道もよく踏まれているのでこれを登ると、素晴らしい展望ピークであった。いままでの第一展望台や第二展望台よりも遙かに展望が良く、南に長福、男体、白木の三つのピークがはっきりと並んで見える。縦走路中でも一番の展望地ではないかと思った。
このピークから降りて少し登り返すと、月居城趾のある月居山に到着。広々とした樹林の中の山頂である。さて、ここを過ぎるとあとは下るのみと思っていたが甘かった。月居山を下りきると赤い月居観音の建物に出るが、袋田の滝への道標は正面の長い階段を指し示している。えっ!と思ったがここは黙々と登るしかない。いくつかの階段が断続的に現れ、都合150段以上はあっただろうか。これを登り着ると、特に何事も無かったように、登りの階段は今度は急な下りの階段に転じた。この階段がとにかく長い。しかし、前半は正面に生瀬富士を見ながらの下りであり、途中からは袋田の滝を見ながらの下りで、目を楽しませてくれる風景がある。かなり下ると、登ってくる観光客ともすれ違いはじめ、滝の轟音も大きくなってきた。最後は鉄の階段に変わり、膝がおかしくなりながら、袋田の滝の袂に降り立ち、吊り橋を渡って最後に滝見物をして縦走を終えたのであった。

4.再び大円地へ

滝からは土産物屋の立ち並ぶ中を行き、右岸の狭い車道に出て袋田駅を目指す。十分に時間があると思っていたが、途中でコースタイムを見間違えていたことに気づいた。30分以上のところを20分で歩かなければいけないという事実に、愕然とし半ばあきらめつつ、気持ちはなんとかなるかもと、早足で駅に向かう。国道を渡り駅舎が見えると、なんとかなりそうだということになり、最後は駅への長いダッシュ。やっと駅にたどり着き切符を買っていると、1時間に1本のディーゼルカーが入ってきた。
水郡線に袋田から西金までの二駅を乗り、今度は大円地までの1時間以上の車道歩きである。ちなみに西金駅には駐車場もあり、ここに車を停めてスタートする手もあり、その方が最後の歩きが無くなる分、気分が楽かもしれない。日の暮れゆく山村を急ぐでもなく歩き、だんだん傾斜が出て疲れてくるころ、見覚えのある切り立った岩壁が目に入ってくる。再び見た男体山は、薄暗くなって迫力は朝ほどではないが、つい先ほどのことでもなんとなく懐かしく、2人で今日はよく歩いたねと振り返りながら長い山行を終えた。

名山とはいえ600m程度の低山と思って出かけましたが、山自体の風貌は威圧するように険しくて、行程は果てしなく長く、最後は急な登降が続き、かなり歩き応えのある山でした。男体山だけ登って周回してくるだけでも充分楽しめる山だと思います。
縦走路は雪の無い季節だともっと楽に歩けるかもしれません。春は花も多いようですので。男体山はいかにも低山の楽しさを再認識できるようなコースでした。

本文中の写真

  • 山頂付近から大円地を見下ろす
  • 山頂の男体神社奧社
  • 展望のピークから振り返る男体山周辺の山々
  • 袋田の滝



  • 記録

    日 程

    2001年3月3日(土)

    天 候

    晴れのち曇り

    コース

    0840 大円地 → 0850 登山口 → 0930/40 大円地越 → 1015/55 男体山 → 1130 持方牧場付近 → 1145 見返坂 → 1310 第2展望台 → 1330/55 第1展望台(後山)→ 1425 月居山 → 1440 月居観音ピーク → 1500 袋田の滝 → 1540 袋田駅 (水郡線1541=1550)
    1550 西金駅 → 1700 大円地

    大円地から見上げる男体山


    参考図書・地図 その他のコース
    東京付近の山(実業之日本社)
    東京周辺ワンデイハイク(アルペンガイド旧)
    25000図 大中宿 袋田
    50000図 大子
    男体山へは、
     大円地からの一般コース・健脚コース
     滝倉からのコース
    などがあります。
    また、縦走路には持方や水根、定本などから、上がる道があります。
    後山と月居山の鞍部には国道からの道があります。
    月居観音のある鞍部(月居峠)からは、ピークを越えずに、水根、あるいは袋田温泉方面に下ることができます。
    バス
    現在はありません

    温泉
    袋田側は袋田温泉、西金側は湯沢温泉があります。両者とも、駅と登山口の途中で通過します。