生瀬富士

 生瀬富士 400m 立神山 420m

山域:奥久慈
2003.7.6


久しぶりに山を歩いてみたくなりました。太平洋岸は前線の停滞で小雨模様ですが、北の方に行くとそうでもなさそうです。1ヶ月半ぶりなので、体力に自身がなく、手頃で面白そうなところということで、生瀬富士を選びました。
生瀬富士は分県ガイドには登山道の無い山として書かれていますが、インターネットをチェックし、FYAMAの常連であられたシモンさんのHPを拝見すると、明確な登山道があるとのことでしたので、気楽に登山口に向かいました。

常磐道を北に向かうほど、空は明るくなってきました。青空とはいきませんが、充分見通しもよく、今の時期としては申し分のない天気です。北の高気圧の勢力に入っているので、吹く風が涼しいのも気持ちが良く、いい山が期待できそうでした。
以前、奥久慈男体山から縦走して降り立った袋田に着きました。生瀬富士は、縦走の最後の月居山と袋田の滝を挟んで対峙する山です。前回歩いた、滝から駅に向かう細い裏道に入り、袋田温泉ホテルの裏手あたりで登山口を探します。それは、ホテルの別館から袋田の滝の方向に車道を登ったところの、道の交差する丘にありました。硯工房の表札の先に、「至生瀬富士」の小さな標識があり、その少し先から山道に入っていきます。さっそく近くの広場に車を置いて、出発としました。
しばらくは谷間の比較的平坦な道を進んでいきます。さすがにこの季節になって蜘蛛の巣が目立ちますが、まだ小さなジョロウグモが多く、それほど頑丈ではありません。それでも顔にかかると鬱陶しいので、小枝で払いながら行きました。ドクダミの咲く湿っぽい道を進むと、やがて道が折り返して葛折りに登って行くようになります。それも数回折り返せば、小尾根に出ました。湿っぽさはあまり無くなりましたが、傾斜が急になりました。
小尾根を登って行くと道ばたに小さな蘭のような感じの花が群生していました。後で調べると、ユリ科のオオバジャノヒゲとのこと、ほんの小さな可愛い花でした。やがて道の傾斜がさらに強くなってくると、ロープも出てきます。だんだん喘ぎ喘ぎの登りになり、ついに途中で足が止まってしまい、大きく息をつきました。そしてもうひと頑張りで主稜線に出て、腰を落ち着けました。
主稜線に出て少し登ると、鎖のある岩場に出ます。山頂付近は切り立った岩になっているためです。これを登りきると展望の広がる山頂に出ました。山頂の北の方へは岩稜が続いており、両側が切り立った崖になっていて、行けば面白そうではあるのですが、目の前が切れていて、渡るのは難しそうに感じました。後日おうかがいした話によると、ここは渡ることができて、岩峰に立つと主稜線が一望できて素晴らしいとのことでした。この日私は山頂の岩の上に立ち、奥久慈の山々を眺めながら休憩しましたが、ちょうど涼風が吹き付けとても爽快でした。
下山は標識に導かれて袋田の滝方面に向かいます。急坂を下って同じくらい登り返すと立神山の山頂です。双耳峰のように対峙しているので、生瀬富士の山頂付近が良く見えます。立神山の山頂には三角点の標石がありました。再び下って登り返すと、滝美峠と看板のあるピークにでます。木の梢が邪魔をして滝本体は見えていないのですが、滝の落ち口の方が見えていました。
ピークから下ると尾根の途中から右に降りる様に、大きな標識がありました。後で地図をよく見ると、確かに直進してしまうと主稜線を逸れて、北側に降りてしまうようでした。半信半疑で右に下り、小さな登りのあと、再び稜線ぽい道になりました。そして再び下ると「かずま」と書かれた峠に出ました。ここを直進すれば生瀬滝の上に出ますが、右に袋田の滝方面に下ることにします。この下りは植林の中の急な下りでステップもほとんど無い急坂で滑りやすく、ロープは終始張ってあるのですが、結構難儀しました。やっとのことで下り終えると、コンクリートの壁の上を歩いて降り立ったのは、土産物屋街のただ中の滝美荘の前でした。こちらには、登山口の標識は無いようでした。
観光客もちらほら散策している道ですが、袋田の滝を見に行く気にもならなかったので、駐車場所にのんびりと戻って行きました。広い道の対岸の裏道は静かで良い散歩道なのでした。

もう初夏ですので、低山は汗をかくこととなりますが、山頂は爽快で涼しく、また誰にも会わない静かな山でした。先月でついに一年の計は挫折してしまったのですが、なぜかかえってすっきりしたみたいで、気ままに思いついた山に登れる様になりました。
そうそう、実は今回は300回目の山行にあたります。区切りの山は何かと懲りたいものですが、今回はあくまでも自然体で歩いたのでした。

本文中の写真

  • 生瀬富士の登山口を示す看板
  • 山中の日陰に群生するオオバジャノヒゲ
  • 山頂からの奥久慈男体山



  • 記録

    日 程

    2003年7月6日(日)

    天 候

    曇り

    コース

    1135 登山口 → 1230/55 生瀬富士山頂 → 1313 立神山 → 1326 滝美峠 → 1343/53 かずま → 1410 滝本 → 1430 登山口

    山頂から北に伸びる岩稜


    参考図書・地図 その他のコース
    分県ガイド 茨城県の山
    阿武隈・奥久慈・八溝の山(随想舎)
    25000図 袋田
    50000図 大子
    他のコースは、かつていくつかあった様ですが、いずれも藪が深く難路のようです。 シモンさんのHPが参考になります。
    バス
    袋田駅から歩いて行くことができます。

    温泉
    登山口付近に袋田温泉があります。また国道沿いにもいくつか温泉施設があります。