今日も朝は早く起きられなかったのですが、いつもの様に森の中を歩いてみたいという気分でしたので、お手軽な八溝山に登ってみることにしました。車なので前半の車道を省略。途中の登山口からです。1時間程度で着いてしまう山頂ですが、途中の雰囲気は素晴らしく、想像以上に自然の豊かな山でした。
車で山頂直下まで行けてしまう八溝山は、かつて一度頂上に立ったことがあると思っています。明確な記憶が無いのですが、山頂に城を模した展望台がある風景がなんとなく記憶にあるからです。しかし遠い過去の記憶です。
世の中がそろそろ夏休みに入り始める土曜日のこと、中央環状から柏の手前まで渋滞にはまってしまい、下道を柏インターまで来ればよかったと悔やみました。柏を過ぎればほぼ順調に流れ始めましたが、登山口に着いたのは12時30分。先週とほとんど同じ時間でした。蛇穴のバス停から中腹の登山口までは車で登ってしまったのですが、途中に旧登山道は車道を絡んでいるらしく、歩いて登っても全くすべてが舗装路という訳でも無さそうでした。
駐車場から少し進んだ所にある日輪寺旧参道の標識から山道に入ります。歩きやすく緩やかな道で、大変快適です。足元は柔らかく、森は瑞々しく、緑は元気にあふれ、大変潤っている
山中です。緩やかな登りの山腹を巻く道は、一箇所だけ崩壊のごく小さな高巻きのあるほかは、全くストレス無く歩いて20分ほどで金性水に着きました。豊富な冷たい湧水を楽しみ、いかにも休憩するような場所だったので、歩き始めてまだ早いですが休憩しました。
山頂までの登山道に沿って、徳川光圀公の命名した「五水」という五箇所の湧き水が順番に現れます。平坦な道を行くとやがて東屋のある鉄水があり、ここから八丁坂が始まります。すぐに龍毛水への分岐があり、僅かで達することができます。この龍毛水への道をそのまま直進して、日輪寺に向うことができるようです。分岐まで戻ってさらに八丁坂を登り、車道に出たところで少し車道を下れば白毛水。再び戻って、八丁坂の続きの山道に入ると、帰りに通る日輪寺への道を分けます。さらに登って銀性水の分岐から銀性水を往復しましたが、ここだけ唯一水が枯れていました。
再び戻って僅かに登ると山頂直下の車道に出ました。そこには鳥居があり、これを潜って進むと八溝嶺神社、その背後が山頂になり、山頂の横には城を模した大きな展望台がありました。神社の後の築山のようなこじんまりした山頂ですが、明るく気持の良い場所ではありました。
せっかくなので、展望台に登ってみました。霞んで遠望はききませんが、八溝山地の緩やかな山々はゆったりとして、のどかな雰囲気を醸し出しています。吹く風も涼しく、人工的な展望台とはいえ、大変穏やかな気分になる山頂でした。
帰路は、銀性水の下の分岐まで戻り、日輪寺を目指して下ります。この緩やかな下りの道は、青々とした笹に覆われ、藤色の花が咲き、アサギマダラがヒラヒラと飛ぶ、瑞々しい自然の道でした。特大のキノコにも驚かされ歩くのが楽しくなるひと時でした。やがて車道に出て、狭いコンクリートの下り道に入ります。足に応える道を我慢して下ると日輪寺の境内に出ました。赤を主体の寺は、緑の中では鮮やかに目立ちます。
日輪寺の駐車場の下に下っていく道があったので、多少半信半疑で山道に入り、かなり下っていきます。やがて沢まで下ったところに、かつてワサビ田だったと思われる囲いがあり、あとは緩やかに50mほど登り返して駐車場に出ました。ここも歩き易い登りで、森の歩く楽しみが味わえたような締めくくりとなりました。
八溝山の山頂は、南側が茨城県、北側が福島県ということで、もう東北の一角に入っています。緯度的には尾瀬とか日光とかと同じくらいですが、どうも感覚的に不思議な感じがします。山中はブナ林の森や青々とした笹原があり、湧き水もあり蝶も舞う、短いコースながら豊かな自然を満喫したような山でした。これは、盛夏のこの季節ならではの活き活きとした自然の姿ということでしょうか。
本文中の写真
緑潤う登山道
金性水
展望台から山頂を見下ろす
展望台からの北方の青空