禿岳に登ったあと、そのまま鬼首に泊まっていたのですが、鬼首のある大きなカルデラの中心にある荒雄岳が気になりました。というわけで家族に相談したところ、登ってきてもいいという許可がでたので、さっそく登山口に向かいました。
鬼首の名前はスキー場や温泉として良く聞いていたのですが、行くのは今回が初めてでした。そして初めて気がついたことには、ここは巨大なカルデラの中にあるということ。カルデラの中を3/4周する形で江合川(荒雄川)が流れ、中央火口丘に荒雄岳などのピークがあります。そこは地熱発電所が作られたり、また熱湯や間欠泉がたくさん湧き出す地獄沢があったりと、まさに火山の世界なのでした。
そして、鬼首温泉から中央火口丘を横切る観光道路を登って行くと、荒雄岳の二つの登山口があります。今回はなんとなく雰囲気の良さそうな八ツ森コースの登山口から山頂を目指すことにしました。
登山口からはしばらく車が通れるくらいの荒れた広い道が続き、やがて看板と案内図があって正式な登山口となります。そしてその後も広めの道が続きますが、そのうちに森の中へと入って行きました。道はゆったりとした葛折りで、ストレスを全く感じさせず高度を上げていきます。あたりはブナなどの広葉樹の林ですが、比較的細い木が密生しているような感じでした。いずれにしても美しい森で、ゆっくりと楽しみながら歩いていけるいい道でした。
何度かの葛折りのあと、道は八ツ森と荒雄岳を結ぶ稜線に出ました。ここからは大きく立派なブナの並木道となります。標高が少し上がったのでガスの中になってしまいましたが、素晴らしい森が続きます。道は一旦緩やかに下ったあと、再び登って行きますが、急なところは葛折りなので、疲れることがありません。やがて道は尾根の右側をトラバースするようになります。これはしばらく続きますが、一回折り返すと、高剥からの道が合流して荒雄岳直下の稜線に出ました。
ここからは最後の登りを一息でした。山頂もずっと樹林帯の中かと思っていましたが、そこだけは少し切り開いてありました。しかし今日はすっぽりガスに覆われているため展望はありませんでした。
下山はそれほど遠回りでもなさそうなので、片山コースを下ることにしました。八ツ森コースよりは若干道が細いのですが、しっかりした葛折りの道でした。少し下ると登りでは全く無かった青いアジサイの花がよく咲いていました。しばらく下っていくと小さな湿地のような池があり、これを過ぎるとカラマツの植林地が交錯し始めました。さらに下ると登山道の標識があり、そのあたりからだんだん道が広くなってきます。そしてしばらくは滑りやすく広い道が続き、さらに下っていくと再び大きなブナのある林の中に入りました。そして案内図のある片山コースの登山口を過ぎ、あとは僅かで車道に降り立ちました。
八ツ森登山口までは車がめったに通らない広い車道を歩いていきます。ずっと下りの舗装路歩きですので、逆コースをとると、長い車道がかなりの登りになるので大変かもしれません。傾斜に任せて入り組んだ谷を大きく何度も回り込む車道をどんどん下ると、小雨がぱらつきました。そして見覚えのある標識が見えてくると、早足で下って30分ほどで車を停めた登山口に到着したのでした。
荒雄岳は、低山ではありますが、いいブナ林のあるハイキングコースでした。このあたりに遊びにきたついでで、ちょっと山に行きたくなったらお奨めです。展望はほとんど無い山ですが、歩きやすいブナ林の中の時間をゆっくりと楽しむことができると思います。今回はこれで帰る予定でしたが、遅くなってしまったのと渋滞がかなり長そうだったので、また途中で宿泊することにしました。明日は絶対帰らなければなりません。
ところで、後で地図をまじまじと見ると中央火口丘の最高峰は、高剥からの道が途中で通過するツクシ森(989m)というのが他にありました。もし今度行く機会があれば行かなければと思ったのですが、さて行く機会があるのでしょうか?
本文中の写真
八ツ森コースから登る
八ツ森からの稜線のブナ
片山コースのエゾアジサイ