黒川鶏冠山

1,716m
山域:大菩薩
2001.11.24



新しい冬靴を買ってしまいました。手に取ってみると、歩いてみたくて仕方がありません。天気もいいことですし、さっそく靴を試しに山に向かいました。

黒川鶏冠山は、車でないとなかなか行きづらい。そんな訳でまだ歩いていなかったのだが、最近単身赴任の時に買った軽自動車をそのまま持ち帰ってきたので、手頃な足慣らしコースにはいいかもしれないと行ってみることにした。
連休の渋滞を恐れて早く下山するために前夜出発した。しかし、夜中に工事渋滞にやられたしまったのは残念であった。それでも都心を過ぎれば順調に柳沢峠に到着。まだ2時頃で、車内でシュラフにくるまって仮眠する。スリーシーズンのシュラフをいい加減に被っていたので、夜中に1度寒くて起きたが、再び眠りにつくと朝の7時。丁度空が白くなったところであった。
駐車場から車道を渡ると黒川鶏冠山への登山口がある。すぐにカラマツの森に入り、明るく気持ちがよい。道の落ち葉には霜が降りて、うっすらと白くなっている。道は緩やかに登りながら、北斜面を進んでいく。途中に梅の木尾根とか、ブナ坂などの道標や地図があるのは、柳沢峠周辺の山の中に遊歩道が整備されているからである。この遊歩道を利用して峠からのんびり森の中を歩けるようになっている。周辺の森は確かに遊歩道が造られるだけあって、なかなか美しい。ナラの木やブナの木が主体ということだと思うが、葉が落ちてしまった今では明るい森である。北西斜面の為、陽が当たらないが、見上げると梢の方は朝日にあたって輝いていた。
途中で小さな流れを横切る。緩やかな斜面で、稜線まではそれほど距離がある訳ではないのに、豊かな流れである。山の自然の偉大さを感じる時である。遊歩道の地図の範囲を出ても、歩きやすい緩やかな道が続く。やがて六本木峠に到着。丸川峠と、落合への道が分かれる。落合への道は道型はあるが、藪に覆われ、あまり歩かれていないようである。東京都の水源林の標識がある。
六本木峠から少し進むと道は下りになる。正面に黒川山の平らな稜線が時折見えるが、同じ高さくらいであったはずがどんどん高くなっていく。途中の小さな崩壊跡に、木橋の渡してあるところからは、黒川山が良く見えた。三本木は気づかずに過ぎ、やがて林道に降り立った。工事の車が数台通っていった。
再び車道を渡って登山道を進むが、今度は一般車通行禁止の未舗装の車道になる。このあたりは植林もされていて、薄暗い雰囲気である。ゆったり進むと、車道がUターンしている三叉路があり、ここを左上に登れば横手峠である。このあたりも南面は植林地になっており、工事用の索道が木々の間を通してあった。
横手峠から、登りは少し急になるが、それもすぐにゆったりした道に変わる。時折右側が開けるようになると、大菩薩嶺とそこから丸川峠に延びる尾根が逆光になって黒々と見える。そして、その稜線のうえには真っ白な富士山が輝いていた。今年初めて山で見る白い富士に、そういえば中央線方面の山はしばらくご無沙汰だったなと思った。
道の右側はやがて樅の木の植林に変わり、時折見える富士を楽しみながら行くと、黒川山の直下に出た。ここを直上すれば黒川山山頂の三角点があり、稜線上を戻るように見晴台への道が続く。見晴台の岩の上に登ると素晴らしい大展望が展開した。奥秩父から奥多摩への山並みはもちろんのこと、甲斐駒から始まって、赤石や荒川三山へと続く大きな稜線が明瞭に青空の下で明瞭に見渡せたのは最高であった。
黒川山の山頂に戻り、鶏冠山へと向かう。岩壁のあるゴツゴツした山頂である。鞍部の先で奥宮への小さな道標が、山腹を巻く道を示しているが、直上する踏み跡があったので、岩を掴んで登って見る。程なくピークにでたが、特に標識のようなものは無く、樹林に囲まれた薄暗い場所であった。ただ、どうもここが最高点のような感じがする。
少し裏手に回るとテープとともに奥宮への道標があり、踏み跡をたどると、回り込むように岩棚の上に出た。急に明るい青空の下に飛び出し感じで爽快である。そこには奥宮の小さな祠と、山梨百名山の鶏冠山の標識が立っていた。絶壁の上になり、岩には古いボルトが打ってある。ここからは、東側と南側の展望が良く。奥多摩への繋がる山々と、北から見ると意外にすっきりした三角形に見える大菩薩嶺を楽しむことができた。
帰路は黒川山との鞍部から横手峠の下に出る北面のトラバース道を歩いてみることにした。北斜面には最近降った雪が所々斑模様になって残っていた。もう冬もそこまで来ているようだ。北面は雑木林の中を淡々と下る道で、水源巡視路である。途中で今日初めて人とすれ違った。かなり下ったなと思う頃、横手峠から落合に下る道に合流する。ここを下ってしまえば、それほど時間はかからず落合に出ることができるが、柳沢峠に車があるので、さすがにちょっと無謀である。計画通り尾根道を登って横手峠を目指すが、尾根を回り込むと急坂にならないよううまく道がつけてあり、ゆったりと明るい道で歩きやく、それほど登りを感じないままに、峠に着いてしまった。
横手峠からはもとの道を柳沢峠に戻る。横手峠から六本木峠の間はかなり人の手が入っており、今も工事が続いているのでこれからどうなるかはちょっと心配である。大菩薩の北面の泉水谷が深く入り込んだあたりは、ハイキングとしてはあまり紹介されないが、美しい雑木林に恵まれた所のようなので、維持して欲しいと思う。
六本木峠を越えると、さすがに人とすれ違うようになった。やはりこのあたりの森は美しい。今日は遊歩道は割愛して元の道を戻る。柳沢峠は朝とは一変して、車でごった返していた。

やっと、黒川鶏冠山に行けました。ここは車が無いと厳しいですね。このあたりは、倉掛山の方にも行っていないので、また行ってみたいと思います。帰路は青梅に下りましたが、奥多摩湖周辺は紅葉末期と言う感じで、ずいぶんと色鮮やかでした。道はまだ12時過ぎでもあり、青梅から奥多摩湖へと向かう車がまだまだ多く、帰りは都心以外はほとんど渋滞しませんでした。そうそう、靴はさすがにまだ固いですが、もう少し慣れるとつきあっていけそうでした。

本文中の写真

  • 雰囲気のいい六本木峠
  • 林道手前よりの、黒川山の稜線
  • 黒川山山頂
  • 鶏冠山山頂の岩場と奥宮

  • 記録

    日 程

    2001年11月24日(土)

    天 候

    晴れ

    コース

    0700 柳沢峠 → 0745/50 六本木峠 → 0802 林道 → 0815/20 横手峠 → 0845 黒川山 → 0850/55 展望台 → 0915/35 鶏冠山 → 1010/15 ハンの木尾根 → 1023 横手峠 → 1035 林道 → 1050/1100 六本木峠 → 1135 柳沢峠

    鶏冠山からの大菩薩嶺と富士


    参考図書・地図 その他のコース
    エアリア 大菩薩連嶺
    東京付近の山 実業之日本社
    アルペンガイド 奥秩父・大菩薩
    25000図 柳沢峠
    50000図 丹波
    本文のコース以外としては、
    ・落合〜横手峠(あるいは峠手前)〜黒川鶏冠山
    があります。また、バス利用として、
    ・裂石〜丸川峠〜六本木峠を経るコースが考えられますが、かなりのロングコースになります。
    バス
    一般的にバス利用にはむかない山ですが、あえて利用するとすれば、裂石または丹波を起点とすることになります。 裂石へは、塩山駅より山梨貸切自動車のバスで大菩薩登山口下車。
    時刻は、山梨交通にて確認下さい。
    丹波へは、奥多摩駅より西東京バスで、
    時刻は、西東京バスにて確認下さい。

    温泉
    裂石や丹波・奥多摩に温泉があります。