滝子山

 滝子山 1,615m
 山域:大菩薩

記録
 山行日1999年6月13日(日)
 ルート笹子駅→寂しょう苑尾根→滝子山→檜平→藤沢→初狩駅
 コースタイム0740 笹子駅 → 0810 寂しょう苑入口 → 0835/45 林道 → 1030 頂上稜線 → 1050/1115 滝子山山頂 → 1135 檜平 → 1155/1205 尾根からの下降点 → 1255 藤沢 → 1315 初狩駅
 天候晴れ時々曇り

昨年の早春、吉久保からの滝子山の雄姿に、是非登りたいと思ってから早くも1年が経っていた。2週続けて会津方面に向かったあとで、別方面でどこかと悩んでいると、滝子山にまだ登っていないことに思い当たり、ルートも岩稜が面白そうな南稜(寂しょう尾根)に決めて、一躍当日が楽しみになった。

朝の笹子駅で降りて、晴れてはいるが霞んだ陽気の中で吉久保に向かった。昨年は早春に歩いた道は、今は初夏。田植えの季節である。高速道路を越えるところから正面に見えてくる滝子山は、今回は青々としていた。
大鹿沢を橋で渡ってすぐ、寂しょう苑への道を右に折れて登っていく。寂しょう苑前の手作りの小さなルート図を見て、歩きやすい山道に入ると、やがて道は急なジグザグの登りになる。どうも調子が出ず、苦しい登りになったが、林道までたどり着きたかったので頑張って歩く。鉄塔を過ぎ、一度平坦になったあと、再び急登で、やっと林道である。ここを越えないと山登りが始まらないと思って、まだかまだかと焦って登っていたのだが、休憩しながら地図を見ると、ここまでは標高差200mある上に急登続きで、これでは疲れるはずであった。ここからは、ゆっくりとしたペースに切り替えることにした。
南稜の前半部はさして急な登りはなく、緩やかな登りと平坦な道が相互に現れてくる。稜線通しなのでそよ風が通り心地よい登りである。そして何より素晴らしいのは、初夏の段階に入った広葉樹だ。見渡す限りミズナラやコナラの自然林で、近郊でこれだけ標高の低い段階から一面に出てくるというのは珍しいことだと思った。気持ちのいい森の、歩きやすい登りが4〜50分程続くと傾斜が少し急になってくる。道も痩せ、あるいは片側が崩壊した所もある。やがて急登が続くようになり、岩混じりの道に変わる。しかし、踏み跡を追えば特に危険な箇所は無く、高度を順調に稼いで行ける。急登をしばらくこなすと、道が若干下りが混じるようになり、ツツジの花も増えてきた。そして最後は少し長い登りで浜立山と結ぶ頂上稜線へと到達した。稜線に出れば、右に折れて3つ目のピークが滝子山の最高峰である。2つ目のピークへは滑りやすい急登を50m程登る。このあたりで今まで登ってきた南稜の全貌が見渡せる地点があり、なかなかいいポイントである。そして最後の登りを終え、最高峰の1620mの山頂に到着した。
山頂付近は赤いヤマツツジの花が良く咲いており、アゲハチョウが舞っていた。展望は最高の山頂で、残念ながら霞んで遠望は効かないが、大谷ヶ丸から小金沢連嶺や雁ガ腹摺山の姿は穏やかで、お約束の大好きな展望である。日が当たると暑い山頂は避けて木陰で軽食をとったのち、初狩駅に下ることにする。下りはじめはしばらく急な下降が続く。周辺はツツジが多く、ちょうど見頃である。花の多い年は、真っ赤なトンネルになることだろう。檜平まで下ると南方が開け、一息入れるのにいい場所であった。相変わらずの素晴らしい自然林が続く中、下りも緩やかになって、やがて尾根から別れ、沢へと下っていく。沢と出会うと水場があり、冷たい沢の水が楽しめた。沢に沿って下っていくと、やがて道は広くなり、舗装路となって藤沢の集落に入る。そして、高速道路をくぐり、そろそろ電車がくるのではと急いで駅に向かうと、丁度5分と待たず電車が入ってきた。

滝子山はなんと言っても、大月駅を過ぎて車窓から大きく目立つ山である。登ってみれば、やはりなかなか歩きがいのあるいい山で、何よりも広大な広葉樹林は素晴らしく、大菩薩方面はほとんどカラマツの植林になっている中で、この周辺や大鹿峠周辺などは貴重なエリアだと思った。大鹿沢上流に向けて、林道の延長が進んでいるようだが、この滝子山の自然は是非そのままに残して欲しいものである。

滝子山のスナップ

参考図書・地図
ブルーガイド 東京付近の山(1998年第1刷)
エアリアマップ 大菩薩連嶺(1994年版)
25000図 笹子 大月
50000図 都留

比較的静かな三角点峰
その他のコース
笹子駅〜すみ沢コース〜滝子山
交通機関
バス等の利用はありません。


Nifty FYAMA 投稿文

滝子山(南稜)

昨年の早春に吉久保から滝子山の雄姿をみて、是非登ろうと思ってから、早くも1年を過ぎましたが、梅雨入りしたとはいえ週末は今週も好天が続いていますし、2週続けて会津方面に行ったので、別方面をいろいろ考えて滝子山にまだ行っていないことを思いつきました。日帰りにはちょうど手頃ですし、ルートも岩稜が面白そうな南稜(寂しょう尾根)にしました。

【日 程】99年6月13日(日)
【目 的】念願の滝子山
【天 候】晴れ時々曇り
【コース】0740 笹子駅 → 0810 寂しょう苑入口 → 0835/45 林道 →
     1030 頂上稜線 → 1050/1115 滝子山山頂 → 1135 檜平 →
     1155/1205 尾根からの下降点 → 1255 藤沢 → 1315 初狩駅
【山 名】滝子山 1610m
【メンバー 】単独
【山 域】大菩薩
【参考書】東京付近の山(実業之日本社)
     昭文社エアリアマップ 大菩薩連嶺
朝の松本行きに乗り継ぎ、笹子駅に向かう。まずまずの天気でいい山行が期待できる。ただし、うっすらとかすんでおり、展望は今一つのようだ。笹子駅で降りて吉久保に向かう。昨年早春に歩いた道だが、今は初夏。田植えの季節でもある。集落を越えて高速道路を越えるところから正面に見えてくる滝子山は、前回の冬枯れとは違って、青々としていた。
大鹿沢を渡る橋を渡ってすぐ、寂しょう苑に入る広い道を右に折れて登っていく。寂しょう苑の前から山道に入り、歩きやすい道を登っていく。やがて急なジグザグの登りになっていくが、どうも調子が出ない。毎週のことで疲れが溜まっているのか、暑いからなのか、ペースなのかよく解らない。なんとか、林道までたどり着きたかったので頑張って歩く。鉄塔を過ぎ、一度平坦になったあと、再び急な登りになって、やっと林道に飛び出した。
林道を越えないと山登りが始まらないくらいに思って、まだかまだかと焦って登っていっていたのだが、林道の対岸の坂を登って休憩しながら地図を見ると、標高差200mある上に、急登続きで疲れるはずである。ここからは、ゆっくりモードに切り替えることにした。
南稜の前半部はさして急な登りはなく、緩やかな登りと平坦な道が相互に現れてくる。基本的に稜線通しなのでそよ風が通り心地よい登りになった。そして何よりも素晴らしいのは、もう初夏の段階に入った広葉樹である。見渡す限りミズナラやコナラの自然林で、近郊でこれだけ標高の低い段階から一面に出てくるというのは珍しいことだと思った。気持ちのいい林の、歩きやすい登りが4〜50分程続くと傾斜が少し急になってくる。道も痩せ、あるいは片側が崩壊した所もある。そしてすぐ明らかに急登が続くようになり、岩混じりの道になった。しっかり踏み跡を追えば、特に危険な箇所は無く、高度を順調に稼いで行く。鎖は一ヶ所だけついていた。しばらくせっせと高度を稼ぐと西側が開けた場所があったので、岩の上で休憩した。さっきまで上の方にあった、浜立山がかなり低くなってきた。再び急登をこなすと、道が若干上り下りを繰り返す様になる。もちろんかなり登って、少し下りという形で、ちょっとギザギザな尾根になっているようだ。このあたりから、ツツジの花がよく出て来始める。最後はちょっと長い急登になり浜立山と結ぶ頂上稜線に到達した。
ここから3つ目のピークが最高峰である。1つ目はたいしたことは無いが、2つ目のピークは滑りやすい急登を50m程登る。このあたりで今まで登ってきた南稜の全貌が見渡せる地点があった。そして最後の登りを終えると最高峰の1620mの山頂に到着した。
山頂付近には4人ほどしかいなかった。赤いヤマツツジの花は山頂は良く咲いておりアゲハチョウが舞っていた。遠望は効かないが、大谷ヶ丸から小金沢連嶺、雁ガ腹摺山が眺められた。日が当たると暑い山頂は避けて木陰で軽食をとったのち、初狩駅に下ることにする。この間に次々と登山者が登ってきて、山頂は相当な賑わいとなっていた。
下りはじめはしばらく急な下降が続く。この周辺はツツジが多く、ちょうど見頃である。ただ、ご多分にもれず今年は花が少ないが、個体によってたくさん花をつけている木もあった。本来なら真っ赤なトンネルになることだろう。檜平からは南の方が開けて展望できる。相変わらずの素晴らしい自然林が続く中ここからは緩やかな下りになって、やがて尾根から別れ、沢へと下っていく。沢と出会うと水場があり、今日初めての水場でしっかり水を飲んで下っていった。沢の中を歩いたりしながらやがてやがて道は広くなり、舗装路になって、藤沢の集落に入っていった。あとは、初狩駅へ歩くのみ。電車があまり見えないので、そろそろ来る頃ではないかと思い、痛い足をだましだましで急いで駅に向かうと、5分と待たず電車が入ってきた。まだ、1時20分。思いがけず、早い帰途となった。



滝子山はなんと言っても、大月駅を過ぎて大きく目立つ山ですが、やはり歩きがいのある、いい道でした。しかし、あの広大な広葉樹林は、近郊の山にしてはよくこれだけ残されていると思います。このあたりでは、大菩薩方面はほとんどカラマツの植林になってしまっており、この周辺や大鹿峠周辺など貴重なエリアだと思いました。吉久保の上の公園のあたりに、大鹿沢上流の開発反対の看板がたくさん並んでいるところを見ると、林道の延長が進み、森も変わってしまうかもしれませんが、この滝子山の森は是非ともそのままにして欲しいと思いました。