徳並沢ノ頭

 徳並沢ノ頭 1116.7m
 山域:大菩薩

記録
 山行日2012年1月9日(月)
 ルート甲斐大和駅→古部→徳並沢ノ頭→導水プール→大日影トンネル→勝沼ぶどう郷駅
 コースタイム0740 甲斐大和駅 → 0810/15 古部車道終点 → (途中10分休憩)→ 0915/40 徳並沢ノ頭 → (途中20分休憩)→ 1120 944.7m三角点 → 1155/1210 導水プール → 1218 車道 → 1230 大日影トンネル入口 → 1255 勝沼ぶどう郷駅
 天候晴れ

久しぶりに山に登ったあと、3連休の最終日にもう一つということで、長年名前だけ知っていた徳並沢ノ頭に行ってみました。駅から駅へと歩ける山で、歩行期間も手頃で、翌日の仕事にも差支え無さそうだということです。
山歩きを始めた頃の1996年の山と渓谷のウィークエンドハイクに出ていたコースですが、ネットで調べると良く歩かれているようですし、下山してから勝沼までは、最近旧大日影トンネルが遊歩道として開放されているため、グンと近くなり、かつトンネル歩きが楽しめるということで期待して出かけました。

1.登山口まで(千葉→甲斐大和→登山口)
山に行くときはいつもお世話になる始発電車に乗って、御茶ノ水、八王子と乗り換え、甲斐大和駅に向かいました。中央本線に乗ること自体が随分久しぶりで、かつて良く眺めていた車窓の山々を懐かしく眺めながらでしたが、それぞれの山に登った光景などを思い起こしながらのひとときでした。甲斐大和駅には7時40分頃到着。ここで降りた乗客は2名でした。
甲斐大和駅から登山口までは、ネットを見ていると迷いやすいという報告がよくあります。96年当時の雑誌の切り抜きを持参してのスタートですが、道が変わっていないか、少し不安ではありました。駅を出て右に出るとT字路になりますが、まだ駅前の一角のようなもので、バス停があります。ここを右折し、甲州街道に出る直前の角を左に曲がり、古部集落へと入っていきます。まだ早朝で人気のない集落をまっすぐ進んでいくと、左手に寺院があり、古部集落センターが見えました。本の指示に従い、このセンターの前で、寺院と石仏群の間の小路に入ります。ここを抜けると、一段上の道に出て、火の見櫓のある消防団の前に出ました。ここまで本の通りです。
さらに消防団を左に見て、再び広くなった車道を登っていきます。道なりで竹林の中を抜けていくと、谷間に開けた果樹園の中を進ようになります。車道は傾斜地に曲がりながら付けられており、忠実に車道を辿っていくと、終点は真新しい鹿柵で遮られ、車が1、2台停められる程度に広くなっていました。きっとここが登山口のようで、表示は特にありませんでした。

2.徳並沢ノ頭へ
鹿柵のドアを開けて中に入り、右上の稜線へと登って行きます。顕著な踏み跡は無いので、歩きやすそうな所を捕まりながら登ると、わずかで尾根にでます。尾根に出るとはっきり踏み跡があり、後は忠実に尾根をたどるだけなので、これで大丈夫です。最初は緩やかですが、すぐに作業道が右に別れたあと、急登になります。この辺は、まだ植林も多く、少し暗い感じの道が続きます。再び緩やかになった後、もう一度急登にかかるあたりから、道は明るくなり、落ち葉を踏む気持ちいい歩きになってきました。この急登を超えると、葉を落とした広葉樹の樹間から、右側が広く開けて見えるようになりました。対岸の尾根を隔てた向こうには、南大菩薩のハマイバ丸から、大谷ヶ丸、滝子山の稜線が綺麗に見えていました。ハマイバ丸あたりは山頂付近が白く光っていたので、霧氷がでていたのかもしれません。行く手には徳並沢ノ頭へと続く稜線が見えていますが、かなり顕著なピークとして見えています。
道は緩やかではありますが、この辺から岩混じりになります。次の急登はなんとロープがありました。この急登を過ぎると平坦な部分になりますが、ここは大きな倒木が道を塞いでおり、よじ登って超えなければなりませんでした。再び急登になりますが、これは、先ほど下から見えていたピークへの登りかもしれません。これを超えれば、少し下りとなり、小さな鞍部に降りました。ここからはきっと最後の登りになるので、鋭気を養うため、休憩としました。
ここからはさらに岩の出た登りが続きます。2つ程小岩のピークを超えて、最後は浮石の多い岩場を、岩や木に捕まりながら登ると、三角点のある小さな山頂に出ました。目的地の徳並沢ノ頭でした。さらに奥に向けて古部山への道が続いており、ここまでだと、少し物足りなく、まだまだこれからだという雰囲気もします。しかし、ここは一応の目的地、さらに下りの尾根は結構アップダウンがあり、大変だという記述も読んでいたので、先を期待して休憩としました。山頂は木に囲まれているので、大きな展望はありませんが、中央本線の南の尾根の上から、富士山が頭を出しているのも見えていました。

3.南西への尾根で下山
下山は、目の前の緩やかな道を僅かに進み、岩がちの急下降から始まります。道は、一旦緩くなりますが、再度急下降でコルに立ち、今度は急上昇です。そして、少し下って再び登り、少し下って再び登りと、相当なアップダウンです。概して上りは少し緩やで歩きやすく、下りは急で、岩がちという感じでしょうか。急下降の時は、前方に同じくらいの登りがいつも見えているので、これでもか!という感じです。途中、南に顕著な尾根のあるピークがあり、このピークを下ると再び登りとなり、道の途中に大きな岩があります。両側が切れ落ちているので、正面をよじ登るのが良さそうでした。
さらに急なアップダウンを繰り返すと、登りが岩稜ではなく、穏やかな落ち葉に埋まった道になります。こうなると、ずいぶん歩きやすくなりました。しかし、登ったピークはまだまだ標高が1050くらい有るので、山頂からはほとんど高度を落としていないことがわかります。このピークの頂上で道は左に直角に向きを変えます。この冬枯れの雑木林のピークは気持ちよく、徳並沢ノ頭より明るいいい山頂のようです。さらに前方に大きな穏やかなピークがあり、肩で休憩しました。
前方のピークは地図上で広い山頂になっている1020mのピークです。このあたりは南側の雑木林が美しく、大変伸びやかな尾根になります。これを緩やかに登ると、落ち葉を踏む冬枯れの楽しい道になり、このピークの肩に944.7mの四等三角点がありました。
三角点からは普通の下りになり、しばらくすると平坦な幅広い尾根になります。踏み跡は明確で無くなりますが、とにかく真っ直ぐ進む分にはどう歩いてもいい場所です。動物の糞などもあり、気分のいい冬枯れの林となりました。
広い尾根は再び収束し、さらに下ると尾根は二股になります。ここは目印も明確でないので、一番わかりにくいかもしれません。真っ直ぐの尾根はすぐに踏み跡が怪しくなったので、左の尾根に進みます。こちらが正解ではっきりした踏み跡が続きます。ここからは黒い石の多い道をどんどん下ると、やがて発電所のプールの施設が見えてきます。もう、後は階段を下るのみなので、ここで休憩。丁度お昼時なので、やっと昼食にしました。
ここからは、発電所の施設を右側に回り込んで導水管に沿って付けられた果てしない階段を下ります。これは登るのは大変そうですが、下るのはむしろ楽です。階段を下りきると車道に出て山は終わりです。

4.勝沼ぶどう郷駅まで
下山地点から右に行くとすぐに大日影トンネルへの道標がありました。これに従ってしばらく歩くと、下にトンネルの入口が見えてきました。遊歩道として整備されており、トンネルの中にはいろいろなトンネルや中央本線に関する展示がしてあります。入口から出口は既に見えているので、すぐに着きそうな感じですが、実際は相当に長いので、なかなか前方の光が大きくなりません。ひたすら歩き続けてトンネル終点。勝沼ぶどう郷駅はもうすぐそこでした。

徳並沢ノ頭は、岩稜あり、縦走あり、冬枯れの雑木林あり、ルートファインディングありで、いろんな要素が詰まった面白いコースでした。この時期は藪もなく、ストレスをそれほど感じずに歩けます。また、下山の尾根は想像以上に登り返しが多く、6〜70m下って同じくらい登り返すというのが何ども繰り返されるので、その辺は覚悟して歩くことも必要でしょう。途中道標は全く無く、赤テープもかなり少ないのですが、駅から駅に歩け、かなり楽しめるので、ちょっと行く場所を迷った時にはお薦めのコースだと思います。

本文中の写真

  • 徳並沢ノ頭に向かう岩稜の尾根
  • 登りの途中から見上げる山頂部
  • 下りの尾根の伸びやかな雑木林
  • 大日影トンネル

  • 参考図書・地図
    月刊「山と渓谷」記事 ウィークエンドハイク(1996年3月)
    エアリアマップ 大菩薩連嶺(1994年版)
    25000図 笹子
    50000図 都留

    静かな徳並沢ノ頭山頂
    その他のコース
    一般的な道ではありませんが、古部山、日川尾根、甲州高尾山などと繋げて歩かれているようです。