梅久保山(花咲山)

 梅久保山 750m 叉平 610.2m

山域:大菩薩周辺
2004.2.21


2月下旬とは思えないくらい気温の高い日でした。大月駅から山での食糧を確保すべく、遠回りして町なかを歩いていきましたが、春の陽光の中ののんびりした散歩のようで、いよいよいい季節になったなぁと実感しました

登山口へはまず駅裏へ出て、浅利への車道を下っていきます。桂川を渡って中央高速をくぐり、左に見えるはずの廿三夜塔を探しながら行きました。エアリアだとすぐにあるように書かれていますが、実は坂道を上り切って、浅利公民館のバス停の付近にそれはありました。廿三夜塔を左に折れ、さらに車道を登って行きます。陽光の中で、民家の庭の福寿草が満開になっていました。
緩やかな坂道を登り詰めると、中央高速の切り通しにでました。ここは、これから登る尾根の先端でもあります。切り通しの東の角はコンクリートの溝が作られて、そのまま登って行けそうですが、エアリアは鉄塔を目指して高速沿いを行くようになっていたので、高速道路の横の道を進みました。しかし、すぐに行き止まりとなり、2人のハイカーが「道が解らない、道標が無い」といって休んでいました。
切り通しの真ん中あたりに階段があったので、少し戻って登ってみます。藪で阻まれますが、とにかく行けるところをと行きつ戻りつすると、結局は最初の東端のコンクリート溝に出て、これをそのまま登れば切り通りの頂上にある新しい石の祠に出ました。その後ろの篠竹の藪がトンネルのように1人分通れるようになっていたので潜り込むと、やがて稜線の薄目の踏み跡に出ました。この踏み跡は下からも登ってきているような感じでしたので、浅利のどこかに出られるのでしょう。エアリアの道は高速道路の拡幅などもあっているようですので、変わってしまったのかもしれません。
尾根道に出れば安心で、後は登りを楽しむだけです。道は決して広くはありませんが、はっきりした道で、雑木林の中をほぼ直登で登って行きます。緩急を繰り返しながら行くと、花咲CCと書かれた境界標識が時々現れます。この尾根より南側がゴルフ場の用地となっているようで、これは梅久保山の山頂まで続きました。南には時々高川山が高く見えていました。
やがて尾根は北に向きを変え、叉平への登りとなります。だんだん傾斜はきつくなり、足が滑るようになります。道は急な稜線から離れ、右へのトラバースとなりました。そして登り着いた稜線は、叉平から北東にやはり浅利を目指すものですが、木が×の形に置いてありました。そして稜線を折り返せば叉平の三角点でした。
このあたりで北の展望が開けた場所があり、大菩薩嶺や雁ヶ腹摺山が春霞の中ではありますが、良く見えていました。叉平のあたりはいくつかの小ピークが続き、やがて急坂を下ります。一度これを登り返して、再び下ったところが石仏のある花咲峠です。花咲と奥山を結んだこの道は2万5千図でも途中で破線が切れた格好になっており、藪に覆われていますが、いまでも道形がはっきりわかります。花咲側に下るとゴルフ場に突入してしまうでしょうが、奥山側は興味深いといころです。
ここからはいよいよ梅久保山への登りです。しばらく登っていくと、大きな絶壁がありました。木が茂っているので高度感がそれほど無いのですが、開けっぴろげであれば、稚子落しの様な雰囲気になっているのかもしれません。小さな山の懐にこんな所が隠れていたかと思うと楽しい気分です。
道はこの絶壁の縁に沿って上がって行きます。そしてやがて梅久保山の北側にある丸い肩に付き、あとは山頂へと、落ち葉が積もって滑りやすい急な斜面を上がりました。山頂は小さな広場で、真ん中に祠がありました。暖かな陽射しを吸い込んだ、ふわふわした落ち葉の上に座って、少し休憩しました。
山頂からは一旦急坂を下ったあと、717mに向けての登りとなります。このピークは岩が多く、岩に張り付いたように立っている木々を手がかり足がかりにして登っていきます。そしてピークからは石の間を潜って下って行きます。このあたりは変化に富んだ雰囲気があります。
さらに下ると稜線は馬の背状の岩になりました。短い間ですが、ここからの北の展望は素晴らしく、滝子山から小金沢連嶺を経て大菩薩、あるいは雁ヶ腹摺山へと大展望が広がりました。パノラマのすばらしさに、しばらく足を止めていました。
このあたりで、青年が一人追い抜いていきました。あとは小さなピークを2〜3越えたり巻いたりしていると、右に踏み跡が別れます。右に折れると電柱があり、はっきりした道が下って行きます。これらの電柱はTVのケーブルの為のものでしょうか。
かなり歩きやすくなった道をどんどん下ると、やがて車道が見えて、291と書かれた電柱の袂に出ました。そこでは5〜6人のパーティーが休んでいて、これから山を越えて大月駅へ向かうとのことでした。
電柱のところから、そのまま正面の小道を下ると、大月西小の前を経てバス通りに出ました。当初は、初狩駅まで歩くことを考えていたのですが、25分くらいでバスが来そうなので、初志貫徹せず店で買ったビールを飲みながらバスを待つことにしました。ここは午後はほぼ1時間に1本あり、意外と本数が多いなと思いました。途中から少し曇り空になりはしましたが、本当に穏やかな暖かい一日でした。

梅久保山は想像していた以上に、変化に富んだ楽しい山でした。登り口探し、山頂直下の断崖、岩稜からのパノラマと、短い行程ながらいろいろな見所があります。アクセスも良い山なのですが、途中道標が一切ないというのも面白いところです。短い行程ながら、いいひとときが楽しめると思います。

本文中の写真

  • 浅利の廿三夜塔
  • 稜線の細い尾根道
  • 叉平からの雁ヶ腹摺山
  • 花咲峠の石像


  • 記録

    日 程

    2004年02月21日(土)

    天 候

    晴れのち曇り

    コース

    1140 大月駅 → 1205 廿三夜塔 → 1250/1300 叉平 → 1310 花咲峠 → 1330/45 梅久保山 → 1355 717m → 1400/05 岩稜 → 1430 車道 → 1440 大月西小学校前バス停

    梅久保山山頂の風景


    参考図書・地図 その他のコース
    中央線の山を歩く(新ハイキング社)
    エアリア 高尾・陣馬
    25000図 大月
    50000図 都留
    一般的な道は本コースのみのようです。
    バス
    今回の下山口側の真木へは、
    大月駅よりハマイバ前(あるいは上真木)行きで、大月西小学校前下車。
    また、中央道真木のバス停も近く、新宿よりバスで直行できます。
    (ただし、下りは降車のみ、登りは乗車のみ)
    詳細は、富士急行ホームページをご参照下さい。