権現岳

 権現岳 2,715m 三ッ頭 2,580m
 前三ッ頭 2,364.6m
 山域:八ヶ岳

記録
 山行日2022年7月2日(土)
 ルート天女山→三ッ頭→権現岳(往復)
 コースタイム0608 天女山駐車場 → 0622 天ノ河原 → 0709/14 1859m付近 → 0758 ここが一番きつい看板 → (途中休憩12分) → 0839/48 前三ッ頭 → 0922 観音平分岐 → 0926/33 三ッ頭 → 1030/1100 権現岳 → (途中休憩13分) → 1155/1205 三ッ頭 → 1208 観音平分岐 → 1234/48 前三ッ頭 → 1307 ここが一番きつい看板 → 1343/1400 1859m付近 → 1434 天ノ河原 → 1443 駐車場
 天候曇り一時雨

この週末は北八ッでもと考えていましたが、先週雨乞岳でのロングコースを歩いた感覚を保ちたくて、じっくり登りを歩くことができそうな権現岳に決めました。八ヶ岳に登るときは、いつも長野県側から入っていたような気がするので、山梨県側から登るのは初めてではないかと思います。それもどんなものかと楽しみです。

早朝に天女山の駐車場を出発。天の河原までは、程よい傾斜のウォーミングアップでじっくり登っていくと、僅かでザレ場の天の河原に到着。ここで観音平への道が別れていく。さて、ここからがいよいよ本格的な登りだと思って気合を入れるが、傾斜はむしろ緩くなっている感じであった。前三ッ頭までのコースタイムは、山と高原地図では3時間だが、道標は2時間30分と示している。これは意外と早く着けるかもしれないと思うと、緩い傾斜を足任せに登っていった。明るい樹林の、笹の中を進む道で、時々開けた場所にはベンチが置いてあった。そして、樹林の中を登ること1時間。標高も1850mあたりを超え、行く手の傾斜が大きくなってくるのが見えると、前三ッ頭への登りに備えて休憩する。その間に数人の人に抜かれ、また虻がたくさん寄ってきて閉口した。
ここからは、道は徐々に傾斜を増し、そして本格的な急登へと変わっていく。途中一本の倒木をくぐる。急登の中の障害は疲れるのだ…。それにも増して、今日は沢山の虻に終始絡まれている。足元の方が比較的多く飛んでいるようだが、顔の周りにも沢山周回される。道が深い溝状のところは、相対的に虻の飛ぶ高さも上がってきて、鬱陶しさが倍化する。そんな虻との格闘を延々と続けながらの急登をこなしていくと、少し傾斜が緩み明るくなったところで.「ここが一番きつい」看板のチェックポイントに到着。急傾斜が少し緩み、かつまだまだ傾斜が続く地点に設置されていた。そして、左手に上がってくる尾根は、まだ遠い三ッ頭で合流する、観音平からの道があるはずだ。しばらく登ったところで、1時間が経過したので、途中の明るい斜面で休憩。2時間では前三ツ頭までは届かなかったか…。そして、再び腰を上げ、少し登って前三ツ頭に到着。沢山の虻を撃退しながらの一休みであった。
前三ッ頭からしばらく明るいザレた斜面を登る。このあたりはキバナシャクナゲがよく咲いていた。ザレ場を登りきると、再び樹林帯の急登に入る。しばらく頑張って上方に明るい雰囲気が見えてくると、森林限界の上にある三ッ頭も近いかなと思う。そして、一歩一歩高度を上げ、観音平への分岐を通過し、僅か先で三ツ頭に到着した。
三ッ頭には二人ほどの登山者がいた。そして何より虻が少なくなったことが嬉しい。大きく開けた大展望といきたいところだが、主稜はすっぽりと雲の中である。たまに霧が晴れると、前方の落ち込んでいる鞍部が見える。権現岳との標高差はもうあまり無いと思っているので、その鞍部はあまり見たくはないのである。権現岳に向けて出発。ハイマツやシャクナゲの中の道を進んでいく。雲が途切れ視界が開けると、編笠山がよく見えていた。ゆっくり鞍部に向けて下って行く途中で、ついにバラバラと雨が落ち始めた。雨がだんだん強くなってきたので、雨具の上だけ着てみる。鞍部を通過しても雨は続き、低木がしっかり濡れて体に当たるようになったので、下も雨具をつける。この辺りでは、たくさんの下ってくる人とすれ違った。中には雨で頂上間際で引き返したという人もいた。もったいないと思う。下をつけた頃から雨は小降りになってきた。まぁ、そんなもんだと思うが、樹木は濡れているので、雨具は有効である。そして、次々と岩場や鎖場が現れるようになり、大したものではないけれど、久々なので安定しないし、すっかり濡れてしまっているので、よく滑る。岩場をこなして行くと.権現岳の山頂の岩にいる人々が見えてきた。そして、石の祠の方から回り込んで、山頂の岩場に取り付いていく。とりあえず岩の上の標識まで行き、下にある山梨百名山の標識まで降りた。食事休憩にしたが、狭くて居場所がなく、なんとなく落ち着かない山頂であった。
既に雨も上がり、雲も幾分取れてくると、編笠山がよく見えはじめた。権現小屋まで行くのは、戻ってくるのが面倒なので今日はやめておいた。山頂から正面に見えるギボシの方が、こちらより高いような気がして気分的にもイマイチなのだ。それも曇っているというところが、一番のマイナスポイントなんだが…。
一休みして下山することにする。登ってきた岩場を慎重に降りていくことになるが、もう岩は乾いていて、登りとは印象がかなり違った。鞍部まで下ってから、往きに巻いていった小さなピークに上がってみる。このピークには山頂のものと同じような、小さな石の祠があった。振り返ると正面に権現岳の山頂が見え、右には赤岳山頂が見えていたが、すぐに雲に覆われてしまった。すぐ下の登山道を人が通過していく。ここに上がってくる人はいなかったが、休憩にはなかなかいい場所であった。
鞍部から緩やかに登り返して三ッ頭に到着。ちょっと休憩して、前三ッ頭へと下っていく。樹林帯を抜け、ザレた斜面に出ると前三ッ頭が見えてくる。あけっぴろげな空間の中で、雷の音が大きくなってきたので、少々気持ち悪い。しかし稜線の右側はきれいに晴れている。前三ッ頭では、往きにあれほどいた虻はもういなくなっている。活動の時間帯が決まっているのだろうか、代わりにコバエが多いが、虻よりはだいぶましであった。
ここからは長い下り。「ここが一番きつい」の標識を過ぎると急下降になり、やはり一番きつい。それでも慎重に下っていくと、やがて傾斜は緩み、平坦な朝の休憩地点に出た。この場所は笹の中でゆったりできる場所で、昔はなにか祠でもあったような雰囲気を感じる。ゆっくりと休んでからの天女山までの下りは、一変して平坦な道になって、別世界のように歩きやすくなる。途中の笹の中にニッコウキスゲが一輪咲いていた。

帰りは、甲斐大泉温泉パノラマの湯に立ち寄りました。今日は休憩込みでコースタイムを達成。山と高原地図のコースタイムは、きっと重荷前提なのだろうと思いました。7年ぶりに復帰して何度か歩いてきましたが、これだけ歩ければ、リハビリという段階はもういいかなという感じです。あとは、気ままに楽しみましょう。八ヶ岳は花が多く、権現岳の山頂付近はいろいろと咲いていました。今日は雨も経験したし、ちょっとした岩場も経験したので、昔のハイカー時代のカンが戻って来たのではと思いました。八ヶ岳はアプローチが容易で楽しいフィールドだと思います。

本文中の写真(順に)

  • 天の河原を過ぎて前三ッ頭を目指す
  • 前三ッ頭から三ッ頭を見上げる
  • 権現岳直下より
  • 鞍部に降りて振り返る権現岳
  • キバナシャクナゲ(前三ッ頭付近)

  • 参考図書・地図
    ヤマケイアルペンガイド 八ガ岳・北八ガ岳(1993年改定2刷)
    エアリアマップ 八ヶ岳(2022年版)

    山頂から見る編笠山の展望
    その他のコース
    ・観音平〜三ッ頭〜権現岳
    ・観音平〜(編笠山)〜青年小屋〜権現岳
    ・赤岳〜縦走路
    交通機関
    甲斐大泉駅より徒歩1時間10分で天女山に着きます。