天狗岳・硫黄岳

 西天狗岳 2645.8m 東天狗岳 2640m 根石岳 2603m
 硫黄岳 2760m 赤岩ノ頭 2656m
 山域:八ヶ岳

記録
 山行日2013年5月2日(木)〜5月3日(金)
 ルート唐沢鉱泉→西尾根→天狗岳→根石山荘(泊)→夏沢峠→硫黄岳→赤岳鉱泉→美濃戸口
 コースタイム1日目 唐沢鉱泉から西尾根を経て天狗岳、根石山荘へ
唐沢鉱泉 → 西尾根 → 第一展望台 → 第二展望台 → 西天狗岳 → 東天狗岳 → 根石岳 → 根石山荘
2日目 根石山荘から夏沢峠を経て硫黄岳、赤岳鉱泉より下山
根石山荘 → 夏沢峠 → 硫黄岳 → 赤岩ノ頭 → 赤岳鉱泉 → 北沢 → 林道終点 → 美濃戸 → 美濃戸口
時間はデジカメセットミスにより不明
 天候1日目:晴れ時々曇り 2日目:晴れ

ゴールデンウィークに一緒に行かないかと友人から声がかかりました。今年は3月に奥多摩を少し歩いただけで、以降時間が取れず山から遠ざかっていますし、日常の不摂生を感じている状況なので、比較的楽な山ということで八ヶ岳にしてもらいました。それでも結構大変でした。

千葉始発のあずさ3号に乗り、茅野で友人と合流、タクシーで唐沢鉱泉を目指す。途中から未舗装の森の中の道となり、このあたりは周囲に雪も無く、これであればトレーニング不足で衰えた体力にも負担は少なそうと内心多少安心していた。
唐沢鉱泉で準備を整え、沢を渡って樹林帯に入ると、いきなり路面が固く凍結しており、ツルツル滑ってしまう。そもそもこれが躓きの始まりで、足元に気を使い、時々木につかまりながらの登りは体力を使う以上に、登りのペースがつかめず四苦八苦することになる。凍っていなければ登り易そうな快適な道のようだが、久しぶりに履く固い冬靴が良く滑るのが大変恨めしい。やがて、路面に雪が出て随分歩きやすくなり、なんとか西尾根上に出てホッと一息である。
西尾根上は概ね雪の道で、緩急を繰り返して登って行く。だんだん雪が本格的に出てくると、急な部分で登り辛くなるのでアイゼンを装着。これまた久しぶりにつけるアイゼンに足が妙に重く感じた。装着してしばらく頑張ると第一展望台到着。ここは2416mである。これまでは樹林帯だったので、初めて見る赤岳や硫黄岳の展望が素晴らしい。これから登る西天狗や今日泊まる根石山荘も見えている。
第一展望台からは幾分傾斜は緩いが、雪の量も多くなり木々の間隔の空いている所を縫って行くようになる。これはこれで慣れないのでストレスも高まりスピードも落ちる。第二展望台では西天狗が近く大きくなる。あの急坂を登るのかと思うとこのあたりで真剣に気が重くなった。そして緩やかに下って西天狗手前の鞍部に到着。少し樹林帯のあとは、岩稜が露出しているようだ。
樹林帯の登りは僅かで岩稜に出る。私はここでアイゼンを外したが、友人はそのまま登って行った。岩稜の登りはアイゼンを外したこともあり最初少し軽く感じたが、かなりの急登ですぐに息が切れた。足が軽くなった分スピードを上げてしまったのだろう。やはり今日は全くペースが掴めていないというか、こういう場所での経験値が低く、どうも状況についていけてないようだ。急登を喘ぎつつ休み休み登り、頂上直下で再びアイゼンを装着。これに手間取り更に消耗する。あとは僅かな登りで山頂が白く覆われた西天狗に到着。友人が涼しい顔で待っていた。こちらはそのままへたり込んだ。
西天狗は最高の展望であった。しかし、展望を愛でている余裕はあまり無い。西天狗からの下りは綺麗な雪稜でスキーのシュプールも一つ見える。杖代わりにしていたピッケルのカバーを外し、それらしい格好で東天狗を目指す。鞍部への下りは快適、しかし登りはすでに消耗している体力を振り絞り、岩の露出している道をガリガリと休み休み登る。たいした登りではないのだが。足や腰が悲鳴を上げている。東天狗の山頂ではカメラを取り出す余裕もあまり無い。
東天狗からは、主稜線に合流する。根石岳へは左が切れた稜線に気を遣いつつ多少雪の混じる岩稜を下る。緩やかに登り返して根石岳到着。もう登りは無いと思うと多少元気も出てアイゼンも外し山頂で展望を楽しんだ。遠くに浅間山などを眺めていたが、ここは風が強く長居は適当でないようで、あとは根石山荘に向けて緩やかに下る。この鞍部はとても風の強いところらしく、緩やかな地形ではあるが雪は全くついていない。強風吹き荒ぶ根石山荘でストーブに当たりながら日没を迎える。同宿は我々以外に一人だけで、赤岳から来られたようだ。夜もずっと風が吹き付けていたが、今日は穏やかだとのこと、強いときは一晩中山荘が揺れているような感じだそうだ。消灯後も身体じゅうが筋肉痛という様相で深く眠れないような感じだったが、ゆっくり身体を横たえていると、いつの間にか朝になっていた。

根石山荘の朝は、風は強いが快晴であった。準備を整えてまずは箕冠山に登る。標高差30m程度である。稜線の縁に沿って東に進み、左が切れているところから夏沢峠に向けて南下していく。下りでアイゼンを装着。終始樹林帯の中の緩やかな下りで、雪は固く快適であった。夏沢ヒュッテが見えてくると間もなく夏沢峠で、5,6人の登山者が休んでいた。
ここから硫黄岳までが今日一番の登りである。樹林帯に入り、少し登ったあと、雪の付いた斜面を一気に高度を上げて行く。アイゼンを効かせながらジワジワ登って行く。これを登りきれば、樹林帯から出て雪の少ない岩礫のジグザグの登りになる。雪はあったり無かったりである。振り返ると今まで歩いて来た稜線が良く見える。つづら折を頑張って下から見えていた大きな岩に到達し、右側を回り込めばやっと広々とした山頂への登りが見えてくる。ケルンが点々としているが山頂はまだ遥か先だ。
傾斜はいくらか緩み、雪も少ない中で時折風景を愛でるのを口実に休みながら登って行く。快晴で最高の展望だ。ケルンを幾つか過ぎると硫黄岳の迫力ある火口壁に沿って登るようになり、間もなく山頂に到着した。山頂は数人の登山者で賑わっていて、あらゆる山の見えるような、快晴の素晴らしい展望であった。
硫黄岳から赤岳鉱泉に下る。硫黄岳直下は雪があったが途中から地面が露出する。眼下の赤岩ノ頭周辺は一帯が美しい雪稜になっていた。オーレン小屋の分岐まで下って雪稜の上で赤岳を正面に見ながら大休止とした。風も殆ど無く、快晴の雪原の上での休止はこの時期ならではの最高の時間であった。
赤岩ノ頭へと少し登り返し、雪の斜面を赤岳鉱泉に向けて下っていった。最初のうちは柔らかい斜面で快適に下って行ったが、樹林帯に入ると固い雪となった。どんどん高度を下げていくと気温も上がり暑くなってくる。相当下ったあたりで沢を渡ると上方に大同心が聳えたっているのが良く見えた。あとは緩やかに下って赤岳鉱泉へ。殆どの装備を解き、北沢を下るのみ。雪もあったり無かったりで、これから山に向う沢山の人々とすれ違いながら林道終点着。あとは林道をどんどん下る。南沢と合流する美濃戸で小休止のあと、バスの時間を気にしながら一気に美濃戸口まで下り、車中の人となったのであった。

今回は、かなり天候には恵まれたと思います。また、八ヶ岳に登るのも1997年以来。すでにあれから15年も経っているのかと愕然とするのですが、山は全く変わっていません。というか、山を見ていると年齢を重ねたことを忘れるようです。しかし、体力の方は年相応になっていると思いますので、この年になったからこそ、またトレーニングも必要かとも思った次第でした。

本文中の写真(順に)

  • 西尾根上に出た所の樹林帯の様子
  • 第二展望台よりの西天狗岳
  • 西天狗岳からの硫黄岳
  • 根石山荘より根石岳を見上げる
  • 根石山荘よりの西天狗岳
  • 硫黄岳山頂よりの横岳・赤岳・阿弥陀岳
  • 硫黄岳の火口壁

  • 参考図書・地図
    アルペンガイド 八ガ岳・北八ガ岳(1993年7月改訂2刷)
    エアリアマップ 八ヶ岳・蓼科(1994年版)
    25000図 蓼科 八ヶ岳西部
    50000図 蓼科山 八ヶ岳

    西天狗岳から赤岳方面の展望
    その他のコース
    夏沢鉱泉→オーレン小屋→箕冠山/夏沢峠/赤岩ノ頭
    本沢温泉→根石岳/夏沢峠
    その他天狗岳以北/硫黄岳以南からの縦走
    交通機関
    茅野駅よりアルピコ交通「美濃戸口」行き終点下車
    詳細時刻は、アルピコ交通をご参照ください。