二章 長老の告白

GM:さて。夜更けごろになってからだが、爺さんが改まった様子で、君らの泊まってる部屋を訪ねてくる。

碧羅:おじい〜…… とっとっと。寝てます。

神那:夢遊病かい。

GM:(寝ぼけてる…。)でね、君らの前で膝をついて、「お願いがございます」と。

神那:うん、まあお師匠さんに頼まれてるし。いいけど。

GM/長老:「見た所、高名な仙人の方とお見受け致します。どうかお力を貸して下さい」

神那:「高名」じゃないんですけど、助けろと言われてるから助けてあげますよ。

李済:うーん、力になれる限り。

碧羅:起きる。「おじいさん、おじいさん、何か心配事があるようですが、どうしたんですか」(笑)

神那:こいつは無視!(笑)

李済:さっきまでずっと寝てたのに〜。しかも声まで高くなってんぞ。

GM:……まあいいや。とにかく爺さんいわく、「村の者から人食い虎の話はお聞きになりましたか」って。

神那:さっき女の人から。

碧羅:あ、虎って食えるのか聞くの忘れてた。

李済:食べるの?

GM/長老:ひええ、「食べないで下さい〜〜〜〜〜っ」(とりすがり)

神那:肉食獣だから不味いと思います。これで納得した?

碧羅:納得する。

GM:それじゃ、かいつまんで説明するね。お爺さんが言うには、その人食い虎は、実はお爺さんの息子さんなんだって。

神那:虎が息子なの。

李済:うー、もしかして虎になってしまった息子を元に戻してほしいとか?

神那:国語でそんなのやらなかった?(←「山月記」のこと。)

GM:ああ、そんな感じかな。話がしばらく昔になるんだけど。

碧羅:むかーしむかし、ある所にお爺さんとその息子がおりました……(日本昔話の音楽つき/一同笑)

GM:(笑)…はい、おりました。お爺さんは若い頃、仙人になりたくて、神那さんのお師匠さんの所で修行をしていたんだそうな…
しかしある日、神那にとっても姉弟子に当たる黎麗公主(れいれいこうしゅ)が、簡単に仙術が会得できる仙宝を借りて、手っ取り早く仙人になろうと、当時はまだ若かった長老に持ちかけたのだった。

一刻も早く仙人になりたかった彼は、師匠の元から黎麗が、仙宝を盗み出そうとするのを手助けした。しかし、すぐに師匠にばれてしまい、仙宝を使う間もなくつかまり、取り返されてしまったのである。

彼はその罰として、村の近くにある封印の洞(盗み出そうとした仙宝の封じてある洞)を守る役目に就かされたのだった。

ちなみに、元凶の黎麗はうまく逃げおおせ、今に至っている。

李済:けっこう重大な役を持ってたんだね。

GM:それに、盗み出した仙宝は邪仙宝で、使えば徳が下がるような、とんでもない物だったんだわ。師匠としても、使う目的で持ってたんじゃなくて、下手に使われるとえらい事になるから、監視の意味も兼ねて持ってたみたい。

碧羅:火山の中にぽーんと捨てたら?

GM:そんな簡単に壊せる物でもないような…。

神那:思ったんだけど、中国って活火山あったっけ?

碧羅:…ねえよな。悪かったよう。

GM:そういった、とんでもない物が村の近くの洞窟に封じられているんだな。それを四十五年間守り通せば、明徳の爺さんは許される事になっていたの。
 で、あと数ヶ月で四十五年目になるわけ。
ところが、務めがもうすぐあけるという今になって、再び黎麗公主が現れたのである。(因みに、彼女は仙術を会得しているので、外見年齢は変わっていない)

洞窟の中の邪仙宝を狙っている黎麗は、長老に洞の門を開けろと迫ったが、長老は「たとえ虎に食い殺されても」できない、と断る。

すると怒った黎麗公主は、長老息子に術をかけて、本当の虎にしてしまったのだった。
李済:分かりました。それをなおしてくれと。…でも、どうしたらなおせるんだろうね。

神那:お姉ちゃん(黎麗)を倒す。西洋にあるじゃん、魔女を倒さなければ魔法は解けないってやつ。

GM:…という事は、原因を知りたいわけ?

神那:うん。

碧羅:原因は術でしょう。

GM:じゃあ、神那さん「知識」で判定してみて。

碧羅:原因は術じゃないのーーー? 原因は術じゃないのーーーーーーーー?

GM:神那さんのお師匠さんが、その事について話していた事があるから。それを思い出せるかどうかの判定だよ。

神那:(ころころ)成功、思い出せたよ。

GM:んでは。洞に封印されてる以外の邪仙宝の中に、ちょっとした針があるんだけれど。

碧羅:針って、ピヨ〜〜〜〜〜ンの針でしょ。李済の裁縫にでも使わせれば。

GM:全然違う(笑) その針はね、言葉をねじまげて現実の物にしてしまう力を持っている物なの。

神那:あれでしょ、嘘言ったら、それが本当になっちゃうってやつ。

GM:うーん、ちょっと違うかな。例えば、口が裂けても言えないって言ったら、本当に口が裂けちゃうとか。

三人:うおーーーーー。

神那:腹がよじれるほど、とか言ったら、腹がよじれるの?

碧羅:なんかやだね。腸捻転になりそう。

GM:それで、長老が「虎に食い殺されても」なんて言ったものだから、黎麗公主はそれを使って、息子を虎にしちゃったわけ。元に戻すには、本人に解除させるか、本人をどうにかしないと駄目だね。

碧羅:殺。

神那:だめだよ、お姉ちゃんなんだから。

李済:黎麗公主だからね(←何がなんだい)

GM:それから、虎になる間隔は決まっているんだって。

神那:あ、人間に戻れるのね、一応。

碧羅:出迎えてくれた時は人間だったぞ。

GM:一ヶ月ぐらい前、正確には二十六日前に一回、十七日前に一回、八日前に一回。間の日には虎になってない。

碧羅:この間隔って増えてんの、減ってんの? ………あれっ?

神那:あれっ。今日じゃないの、虎になる日って? 今日じゃなくても、明日か明後日か。近いと思う。

李済:じゃあ、早く手を打たないと。今までに何人食い殺されたのかな。

GM:今までに四、五人ってとこ。

神那:質問。息子さんは虎になるって事を知っているんですか。

GM:知らない。

神那:知らないの。……もしかして、今日泊まってちょうだいって爺さんが言ったのは、今日虎になるから?

GM:実はその通り。

李済:ああ、そうなのか。じゃあどうしよう。

碧羅:とりあえず姉ちゃんを探しに行かなきゃならんでしょ。姉ちゃんは?

GM:姉ちゃんは何処にいるかは分からない。

神那:あねぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜(笑)

李済:じゃあ、今夜は虎さんを押さえる事だけを考えていこうではないか。はっきり言って、オイラは役に立てないよ。縫い物しか特技ないもん。

神那:趣味にそんなこだわらなくたって。

碧羅:趣味の狩猟で虎を狩っちゃうぞ。…クマナベより美味しいかな。

GM:やめなさい。(長老のセリフで)「食べないでくださいよおーーーーーーーっ!!! お願いです殺さないでくださいっっっ」

李済:どうしよう。じゃ、ハチ、蜈蜂袋のハチを…

碧羅:ハチぶっぱなしたら死んじゃうでしょ。とりあえずおれが術かけて…

GM:とか何とかやってたら、外で「ぎゃあ虎が出た」と。

神那:おら、碧羅行け。Go、碧羅。

李済:がんばってねー。

碧羅:Go Go 碧羅 ウホーーーーー(作詞・作曲 胡碧羅/爆笑)

GM:んーな事やっとる場合かい!!

三人:とにかく行くぞーっ。
外に出てみると、確かに虎が暴れていたりする。
GM:戦闘モードにシフトって事で、まずは先攻後攻を決めましょう。

碧羅:(ころころ)勝ち、先攻ね。とりあえず「禁顎則不能噛」を。そうすれば噛み殺される人だけでも減るでしょ。

神那:禁呪で動きは封じ込められないの?

碧羅:うう、あの仙宝があれば。ぐるぐるに縛る紐のやつ。

GM:梱仙縄(こんせんじょう)の事? そりゃ、厭魅厭勝の仙宝だよ。

碧羅:術は(ころころ) …失敗、すまん。

李済:オイラの番か。やっぱりハチかな。

神那:殺してどうする。

GM:とり押さえる?

李済&神那:取り押さえる。どりゃあ!(二人一緒にとびかかる)
主に神那の活躍で、虎は取り押さえられてしまった。やれ縄だ何だと大騒ぎして、虎をぐるぐる巻きに。
碧羅:えっちらおっちら、フーーー。おーい、さばくから包丁持ってこーーい。

GM/長老:「ひええ、やめてくださいーーーーーーっ」
 ともあれ、ぐるぐるのがんじがらめにしてあるわけね。ま、被害は出ずに夜が明けたと。息子も人間に戻ったね。

李済:どうしましょっかねえ。毎月… じゃないけど、こんなんは……

神那:んじゃどうする? 息子に事実を話す?

李済:話した方がいいんじゃない?

碧羅:でもそんな事したら、その人罪の意識にさいなまれて…。

神那:………(しばらく考えて) やっぱり話した方が。

李済:うん。

神那&李済:(息子に向かって)これこれこういう訳なんすけど。

神那:恨むなら…… ぼくの姉ちゃんを恨んでください。


BackMenuNext