発癌性ばかり騒がれますが、こんなこともあります
けっして多くはありませんが、ある種のアレルギー患者さん、特に子供では、食べ物が喘息発作を起すことがあります。原因として、いくつか考えられるのは、
1.食物そのものに対するアレルギー
2.保存料、着色料など食品添加物によるもの
3.カビ、抗生物質などの混入物によるもの
4.食物中に含まれる化学物質によるもの
5.食物依存性運動誘発アナフィラキシー5は喘息とは少し違いますが、呼吸困難、血圧低下などの症状がでます。1から5のうち、このページでは2の食品添加物を取り上げてみました。
食後に喘息発作が起きたり、悪化したりする場合、その食べ物との関係を疑うわけですが、本当は何が影響しているかを判定するのはけっこう困難です。
食物アレルギーにも、たべてまもなく症状が出る即時型ばかりでなく、数時間後、あるいは1日後に症状が出る場合もあるからです。病院で確認するには、まずその食べ物を食べさせないで症状が改善したら(除去試験)、つぎに食べさせてみて症状が出るかどうかをみます(負荷試験)。激しい症状が出る場合があるので、家庭でむやみに試してみるのは危険です。たまたま、繰り返し同じ食べ物で症状が出れば、かなりあやしいといえます。
食品添加物が原因の場合には一見、関係のない複数の食べ物が原因となりますのでさらに複雑で、なかなか原因をつかむのは困難です。
以下の表は喘息発作、じんま疹、むくみ、下痢、嘔吐、ショックなどの過敏反応を起すことが知られている食品添加物の一覧表です。症状が起こるしくみは、直接のアレルギーではなく、添加物の化学的な性質によりおこる、いわゆる仮性アレルギーと考えられています。
種類 | 主な用途 | 含まれる主な食品 |
亜硫酸塩類 | 合成保存料 漂白剤 |
ワイン、サラダ、クッキー |
人工タール色素 (赤色2号、3号、102号 黄色4号、5号 青色1号、2号) |
合成着色料 | お菓子類など |
パラベン類 | 合成保存料 | |
ブチルヒドロキシトルエン (BHT) |
酸化防止剤 | 魚介冷凍食品、バター |
ブチルヒドロキシアニソール (BHA) |
酸化防止剤 | 魚介の乾物、煮干し |
亜硝酸塩類・硝酸塩類 | 発色剤 | ハム、ソーセージ |
アスパルテーム | 人工甘味料 | お菓子類など |
グルタミン酸ナトリウム | 調味料 | 中華料理全般、味の素 |
ベンジルアルコール | 香料 |
たまたま上の表はすべて合成化合物ですが、天然の素材から作られた添加物、たとえば色素などがアレルギーの原因にならないとは限りません。
以前、テオナという淡いオレンジ色のテオフィリン製剤がありましたが、この薬が作られなくなった理由の1つは、黄色4号が使われていたことと聞いています。
現在、市販されている喘息薬で錠剤・粉薬などの内服薬は、ほとんどが白色です。顆粒、ドライシロップなどは見た目だけではどれがどの薬かを見分けるのはほとんど無理です。
特に、複数の粉薬を飲んでいる患者さんの場合、見分けがつかないと飲み間違える危険にもつながります。袋に名前や目印をつけておくといいでしょう。
それでも、白い薬が作られるのは、やはり色素による過敏症が心配だからでしょうか?
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