災害は今でも恐ろしいのですが、おやじの権威はいまや・・・
地震、雷、火事、おやじといえば、昔はコワイものの代表でした。じつはいずれも喘息患者さんにとって今も恐ろしいもののようです。ええ。オヤジもですよ。
95年1月、関西を襲った阪神大震災は、喘息の方にとって一段と過酷でした。震災で倒壊した建物や解体作業による粉塵のために喘息が悪化し、亡くなった方も数名いると報道されています。
被災後も、震災のストレスや病院が十分に受診できず、薬を中断してしまったなどの理由でお年寄りを中心に喘息が悪化した人が多数いた模様です。
苦労の末、避難場所から新しい住宅に越した人の中には、さらに新しい問題にぶつかった人もいます。塗料や接着剤などの建材に含まれる刺激物質により喘息発作が悪化したのです。シックハウス症候群ともいわれ、近年問題になっています。
天候と喘息が関係することは、喘息患者さんがよく体験することです。最近になって、イギリスの医学雑誌に雷雨の時には喘息の発作を起す患者が増えるという内容の論文が載りました。
喘息の入院患者数と空気中の様々な花粉の量・湿度の関係を調べた研究から、湿度が高く、花粉の量が多い日、特に雷雨の日には喘息発作で入院する子供は45%も増えていたそうです。
なぜ、雷と喘息が関連するかは、まだ不明です。雷そのものより、雷雨の前後での気温や湿度の変化などが影響しているかも知れません。今後の研究に期待しましょう。
ニュースのページでも紹介していますが、97年8月ごろよりインドネシアの焼畑農業が元で始まった森林火災が、大災害を招いています。山火事の煙が季節風に乗って、なんと東南アジア中に撒き散らされました。
都市部では数万人もの人が喘息や気管支炎などの症状を訴えています。さらには、粉塵のため視界が異常に悪くなり、交通事故は日常茶判事、はてには航空機事故や船舶の事故まで起きてしまいました。喘息患者さんは当分、東南アジアヘは、近づかないほうが無難です。
普通の火事は、もちろんこんな災害と比べることもできませんが、火事場では粉塵や有害なガスなど、喘息を悪化させるものがたくさん出ていることはたしかです。消防車の音を聞いて、近いぞ、それっ!見に行こう!なんてもってのほかですよ。
オヤジの顔をみていると喘息発作が・・・、ウソです。最後の項目はちょっと意味合いが違います。
子供の喘息患者さんの場合、受診の時の付き添いは、ほとんどが母親です。当然、病気の説明や薬の説明などもまず、母親が聞くことになります。ところが、このあと、父親がどのように関わるかが、子供の喘息にも大きく影響してくるのです。
父親が喘息についてよく勉強して、積極的に関わってくれると、それだけ治療や環境整備などは、スムーズに進みます。一方、病気のことは、よく解らないけれども、「またくすりにたよるのか?根性でなおせ!」それでもって子供の前でたばこを吸うお父さん、いや、オヤジどの、これではよくなるものも、治りません。お母さんや子供も父と医者の間にはさまれて、どうしてよいのか、解らなくなってしまいます。
最後は、こじつけですが、地震・雷・・・・、いまでも恐いでしょう?
<用語解説>環境整備
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