六ッ石山

 六ッ石山 1478.8m
 山域:奥多摩

記録
 山行日1998年2月28日(土)
 ルート境橋→トオノクボ→六ッ石山→石尾根縦走路→奥多摩駅
 コースタイム0815 境橋 → 0900 最後の民家 → 0950/1000 山の神 → 1110/1115 トオノクボ → 1233/1245 六ッ石山 → 1250 石尾根縦走路 → 1330/1340 三ノ木戸林道方面分岐 → 1440 登山口 → 1510 奥多摩駅
 天候曇りのち雨

これまで私にとって奥多摩は青梅線以南に集中しており、特に石尾根から長沢背稜に回り込む長い稜線は空白だった。一気に縦走したいと思いつつ、日帰り山行では足が遠のいたということだが、それではいつまで立っても行けないので、まず一番端の六ッ石山に登ってみた。

奥多摩駅から留浦行きのバスに乗り込む。今にも降り出しそうな空模様の中、境橋で降り、境の集落に入って行く。入り口に六ッ石山登山口の看板があり、すぐ石畳の細い道に入る。樹林の中を登るとあたりが開け、急斜面に建てられた一軒家がでてくる。回りの斜面に作られた畑は、あまりにも傾斜が急なため一枚の畑すら水平にできないようだ。再び樹林に入ると、また次の家が遥か上方に見えてくる。そしてまたその上に次ぎの家がある。最後の家までバス停から40分、標高差で急坂を250mである。これほど急な斜面にある集落はかなり特異ではなかろうか。庭にはもう梅の花も咲いていて、なんとなく桃源郷の様なこの集落が見られただけでも来たかいがあったと思った。
最後の家の先を折れて尾根に上がっていく。尾根上にでて少しづつ雪の出てきた植林地の道を行くと前方が明るくなる。そこから先は驚くほど広範囲に皆伐された跡だった。切り出した樹木はすべて運んだ後で、まったく歩くのに障害は無いが、余りにも何も無いのでおかしな気分だ。このあたりはハンの木尾根北側山腹の緩やかな斜面で、伐採地は山の神のある標高1000mあたりまで続く。ブル道を横切りつつ、古くからの道を探して忠実に進んでいき、最後に伐採された急斜面を登り切ると、やっと樹林の中の平坦な尾根上に出て、祠のある山の神に着いた。
山の神からしばらく落ち葉の積もった急な尾根をまっすぐ辿って行く。すでに雲の中に入っており、視界も30〜50mくらいである。樹林の中の急登を登り切ると尾根上の防火帯の切り開きになる。遮る物のない切り開きなので相当雪が積もっており、なるべく桧の下の比較的雪が少ないところにぴったり寄りそって歩くが、それでも時折かなり足が潜ってしまう。道は緩急を繰り返すが、霧の中を歩いている為、雪の斜面と霧が解け合って傾斜は近づくまで判然としない。そのうち頼みの綱の桧林も終わって落葉樹帯になってしまい、どうしようも無くズボズボと潜る様になってしまった。
水根からの道と合流してもこの状態は続く。この1週間都心では良く雨が降ったので、こちらでは雪だったのだろう。トオノクボからの急登をせっせと登り、以後緩やかな登り下りを繰り返す。ずっと霧の中なので頭の中もモヤがかかった様だ。しかしここは春の芽吹きのころ晴れた日に来てみると素晴らしいところではないかと思う。緩やかな尾根道で、カラマツや落葉樹主体の道が続く。途中2度程小休止をとり鋭気を養いつつ進んでいくが、疲労が濃くなってきており、引き返すことも考え始めた頃、急に視界が80%以上真っ白になった。防火帯の両側が大きく広がり、少し進むと前方にボーッと標識が見えてきた。やっと六ッ石山頂上である。久しぶりに苦労した頂上なのでなんだが嬉しかった。もちろんまわりの景色は真っ白。晴れていれば、鷹巣山がよく見えるらしい。なんとなく充実した気分でしばらく休憩した。水根との分岐からコースタイム40分のところを75分であった。
頂上を立ち石尾根に向かう。道は北面だけあって雪が非常に深いが、下りなので適当に進む事が出来る。すぐに石尾根縦走路につくとやっぱりトレイルがあった。あとはトレイルを追って奥多摩駅に向かう。人が歩いているとこうも歩きやすいものだろうか。気温が下がってきたのか、木に氷の花が咲きつつある。それが落ちた上を歩くとシャリシャリ音がする。三ノ木戸林道との分岐あたりではついに雨が降り始めた。三ノ木戸山も巻いて過ぎどんどん下って車道に降りる。あとは何度か車道をショートカットしつつ氷川大橋のあたりに出て、晴れた時に再訪する事を誓い奥多摩を後にした。

*参照 鷹ノ巣山から六ツ石山


参考図書・地図
アルペンガイド奥多摩・奥秩父・大菩薩(山と渓谷社1992年8月第1刷)
25000図 奥多摩湖
50000図 五日市

積雪の防火帯を行く
その他のコース
水根〜トオノクボ〜六ッ石山
交通機関
奥多摩駅から奥多摩湖方面行き「境橋」下車
西東京バスを参照下さい。


Nifty FYAMA 投稿文

ハンの木尾根から六ッ石山【奥多摩】

鷹ノ巣山に行ってみたいのですが、さすがに1700mの山はこの時期大変そうなので、隣の六ッ石山まで様子を見に行きました。雪のおかげでかなり疲れましたが頂上に着いた時ははっきり言って久しぶりに嬉しかったです。
でも、ずっと視界30〜50mの霧の中で何も見えませんでした。また今度登らなくてはいけません。

【日 程】98年2月28日(土)
【目 的】六ッ石山
【天 候】曇りのち雨
【コース】0815 境橋 → 0900 最後の民家 → 0950/1000 山の神 →
1110/1115 トオノクボ → 1233/1245 六ッ石山 → 1250 石尾根縦走路
     → 1330/1340 三ノ木戸林道方面分岐 → 1440 登山口 → 1510 奥多摩駅
【山 名】六ッ石山 1478.8m
【メンバー 】単独
【山 域】奥多摩
【参考書】ヤマケイアルペンガイド 奥多摩奥秩父大菩薩
     2万5千図 奥多摩湖

1.ハンの木尾根

ハンの木尾根は、ヤマケイのアルペンガイドに載っているルートだが、なぜか昭文社の登山地図には載っていない。六ッ石山には、石尾根ルートと、水根からの直登ルートそして、ハンの木尾根ルートがあるが、ゆったりして面白そうなハンの木尾根コースを選んだ。
家から始発電車で出発して奥多摩駅に降りると、留浦行きのバスが待っている。残念ながら、小菅や丹波行きには間に合わないところが苦しいところだが、とりあえず今回は関係ない。今日は午前中はまずまずの天気を期待してきたが、もう今にも降り出しそうな気配である。残念無念だが仕方がない。
バスを境橋で降りて境の集落に入っていく。入り口に六ッ石山登山口との標識がある。すぐ石畳の細い道になり、樹林の中を登るとあたりが開け、急斜面に建てられた一軒家がでてくる。家の回りに段々畑が斜面に作られているが、あまりに傾斜が急なため、一枚の畑すら水平にできない。ここに住むとすべての移動が垂直方向主体になり、水平に移動するのは家の中と庭くらいになるのではなかろうか。再び樹林に入ると、また次の家が遥か上方に見えてくる。最後の家かなと思って過ぎていくと、今度は廃屋が見えてきた。一番上は廃屋になっているのかと思ってそこまでくると、また次の家が上に見える。こんどこそ最後の家で、バス停から40分。標高差で急坂を250mである。しかし、これほど急な斜面にある集落はかなり特異ではなかろうか。庭にはもう梅の花も咲いていて、なんとなく桃源郷の様でこの集落が見られただけでもきたかいがあったと思った。
最後の家の先の「山火事注意」の看板を折れて尾根に上がっていく。直進すると三ノ木戸の集落に繋がる道となる。すぐ尾根上にでて植林地の中を行くと、少しづつ雪がでてくる。前方が明るいので伐採されているのかなと思い、そこまで行くと、驚くほど広範囲に皆伐された跡だった。切り出した樹木はすべて運んだ後で、まったく歩くのに障害は無いが、余りにも何も無いので変な気分だ。このあたりはハンの木尾根の北側山腹の緩やかな斜面で、伐採地の中の道は最後の家から少し上の標高700mあたりから山の神のある標高1000mあたりまで続く。また今年の春にでも新たに植林をするのだろうか。
斜面を木を運び出すのにつけたブル道がジグザグに横切っているが、古くからの道を探しつつ忠実に進んでいく。それも少しづつ標高が高くなっていくと、やがてだんだん雪をかぶってしまって分かり難くなってしまうが、雪のくぼみを目標に進んでいく。膝までもぐるようになってくると、道の脇を歩く様にして登っていく。目の前にやはり伐採された急斜面が現れたが、どうやら山の神はこの上らしい。古い道は急斜面の中を登っていっている様だが、伐採あとで雪がかなり積もっており、脇の伐採していない植林地に逃げ、木につかまりながら這いあがっていく。結構な苦労のあと、やっと樹林の中の平坦な尾根上に出て、山の神に着いた。
もう標高は1040mくらいなので、ここらでアイゼンを付けこれからの雪に備える。山の神からしばらく落ち葉の積もった道を行くと、やがて道はトラバースと尾根直登に別れる。尾根をまっすぐ登っていくことにする。このあたりは積雪は10センチくらいで大したことはないが、何分湿っておりすぐ大きなダンゴになってしまう。まわりはもう雲の中に入ってしまい、視界も30〜50mくらいしかない。また、結構な急登であるうえに、霧の中を歩いているため、汗と水滴で体中ずぶぬれ状態で非常に気分が悪い。雪の上に山の神から人の足跡があり伐採地には足跡が無かったのにどこから来たんだろうと不思議に思っていたら、良く見ると人間の足跡くらいの大きさの動物の足跡だった。まだ新しそうだが、何だろう?
さて、急登を登り切ると尾根上の防火帯の切り開きになる。遮る物のない切り開きなのでしっかり雪が積もっており、真ん中を歩くと、足の付け根まで潜ってしまうので端を歩く。左端が尾根でその横が桧の植林であり、右が谷になっておりカラマツが主体である。桧の下を歩くと比較的雪が少ないのでぴったり端に寄って歩くが、それでも10歩に一回は膝まで潜り、30歩に一回は足の付け根までいってしまう。緩やかになったり、急になったりを繰り返すが、視界が無い中を歩いているので、前方がどうなっているのかよくわからない。雪の斜面と霧が解け合って傾斜は近寄ってみないとわからないのだ。そのうち、頼みの綱の桧林も終わり落葉樹帯になってしまった。なるべくもぐら無さそうなところを選ぶが、どうしようも無くズボズボ入ってしまう。
30歩歩いたら立ち止まってひと休みという感じで進む。水根からの道に合流すればメインルートでもあり歩きやすくなることを期待しつつである。尾根は少し右にまがり緩やかになると、道標が出てきて水根との分岐点に着いた。コースタイムが55分の所を70分かかった。

2.六ッ石山

分岐から先は期待は見事に外れいままでと変わらない積雪である。潜るだけなので、膝で押しつける様なラッセルでは無いがかなり疲れる。水根への道も人が歩いていないし、結構薮の多そうな道のようだ。この1週間都心では良く雨が降ったので、こちらでは雪だったのだろう。そういう時に土曜日に歩くとつらい。日曜日であれば、多少先人のトレイルが期待できるのだが。石尾根まで出れば踏み跡があることを期待しつつ先に進むことにする。
いきなりの急登をせっせと登る。登り切れば緩やかな登り下りがあるが、このあたりまでくると、本当によく潜るようになったので、10歩歩いて息を切らして立ち止まる始末である。六ッ石山までコースタイム40分なので1時間程度を見込み黙々と進む。景色はずっと霧の中なので、頭の中もモヤがかかった様だ。しかしここは春の芽吹きのころ晴れた日に来てみると素晴らしいところではないかと思う。緩やかな尾根で、カラマツや落葉樹主体の道が続く。
30分くらい歩いたところでちょっと休憩し鋭気を養うが霧のおかげでずぶぬれなので、長居はできない。再び、10〜30歩歩いたらひと休みのペースで進み、最後ははっきりとした登りがあるはずだがまだかなあと考えつつ雪の中を進む。先が見えないのでいつまで続くかわからないのだ。なんとなく登りになり疲れてきたので2回目の休憩。時計はもう12時20分くらいなので、この道を戻るとすれば、早めに決断しないといけない。13時になったら引き返すことにして、最後の出発をする。すると、少し登ると急に視界が80%以上真っ白になった。要するに防火帯の両側が大きく広がったのだ。頭の中が??になり視界のない時にだだっ広いところを歩くのはいやだなあと思うと、足下に防火用のドラムカンが出てきた。??と思って少し進むと前方にボーッと標識が見えてきた。もう頂上のすぐ近くまで来ていたのだ。久しぶりに苦労した頂上なのでなんだが嬉しかった。もちろんまわりの景色は真っ白。晴れていれば、鷹巣山がよく見えるらしい。頂上はもちろん踏まれてない雪の広場で、今日はもう登ってくる人はいないだろう。上半身裸になって湿った服を着替え、ザックに座ってなんとなく充実した気分でしばらく休憩した。コースタイム40分のところを75分であった。

3.下山

石尾根に向かう道は北面だけあって雪が非常に深い。下りだから適当にけちらしながら降りて行くが、登ると結構大変だと思う。すぐに石尾根縦走路につくとやっぱりトレイルがある。六ッ石山にも登ってこようとしたが逡巡して、やっぱりやめたようだ。あとはトレイルを追って奥多摩駅に向かう。人が歩いているとすごく歩きやすい。狩倉山は疲れているし、踏み跡もないのでパス。気温も下がってきたのか、木に氷の花が咲きつつある。それが落ちた上を歩くとシャリシャリ音がする。どんどんくだって1200mあたりまでくると、土も見えてきたのでアイゼンをはずす。三ノ木戸林道との分岐あたりでは、雨が降り始めたのでカッパを着込む。このあたりは登山道にあまり雪が無い。このあたりで、今日初めて人(親子連れ)とすれ違った。三ノ木戸山もパスしてトラバースするが、この道は北面でイヤらしい道だ。狭い急斜面を歩くので結構気を使う。どんどん下って城への分岐。展望と花が素晴らしいと書いてある。ここも桃源郷なのかもしれない。尾根から外れて下ると、城、三ノ木戸方面への分岐この道を行けば行きに通った境の集落の最上部に出るのだ。あとはどんどん下って、登山道入り口へ、さらに巧みにショートカットしつつコンビニの裏口からひょっこり氷川大橋のあたりに出た。登山口より奥多摩駅まで30分結構な距離である。奥多摩駅では1本だけあるホリデー快速の発車前で幸運であった。



長くなりましたがここまでよんで頂きありがとうございました。結構疲れました。鷹巣山はワカンと倍くらいの体力が必要の様です。もうしばらく待つことにしましょう。しかし、今日は氷川まで降りると、本仁田や川苔や御前山などボヤッとしていますが、そこそこ見えるのに、石尾根は全く雲の中でした。やはり一山越えた奥の山の様です。
今週は最近降った雪で、標高1200mを越えれば奥多摩はかなりの雪の中を歩かないといけない様です。気を付けてください。