蕎麦粒山

 蕎麦粒山 1472.8m 笙ノ岩山 1,254.8m トヤド山
 長尾山 1339m
 山域:奥多摩

記録
 山行日1998年6月20日(土)
 ルート川乗橋登山口→笙ノ岩山→蕎麦粒山(→三ツドッケ→東日原)
 コースタイム0545 川乗橋登山口 → 0720 聖滝からの尾根の合流点 → 0745/0750 トヤド山 → 0755/0805 笙ノ岩山 → 0910 長尾山 → 0930/0950 蕎麦粒山
 天候曇り時々晴れ

「奥多摩の尾根と沢」に蕎麦粒山への道として鳥屋戸尾根の記述がある。川乗橋からまっすぐ蕎麦粒山に突き上げる尾根で、途中に笙ノ岩山という三角点のピークがあることからも、なんとなく歩く意欲をそそられる。少し山の間隔が空いたあとの復帰第一戦ということで奥多摩へと向かった。

川乗橋から林道に入り、100m程行ったところの小尾根を回りこむあたりで山火事注意の看板とともに立派な笙ノ岩山登山口の標識がかかっていた。山道に入ると一般登山道と同等の立派な道で、最近歩く人も増えてきて踏まれているのか、水源林道に出るまでこの様なしっかりした道が続くこととなる。最初はかなりの急登で植林地を登っていく。雨の後で湿気が高く、また気温も結構上がっているため、ある程度歩いたら全身ビショビショになってしまった。ひとしきり急登のあと緩やかな傾斜の植林地の中の登りとなる。緩やかではあるが、暗く淀んだ空気のなかで、久々も応えて結構つらい登りである。登り初めて1時間弱で今度は急登に変わるが、自然林の道となり、かえって解放された様で気分も良くなってきた。以後緩急を繰り返したのち右から合流してくる尾根に上がる。ここはちょっと歩きにくいがすでに踏み跡も充分で安定しており問題はない。合流後は再び植林が現れ、トヤド山と表示のある一つ手前のピークを過ぎた後、もう一登りで笙ノ岩山山頂に着く。山頂は山道から小道を左に分け入った所で、三角点と立派な標識が2つあり、木が茂っていて展望はないが、雰囲気は良く満足であった。
笙ノ岩山から反対側に小道を下ると、道を少しの間笹がかぶる。蕎麦粒山に向うと、最初は緩やかなアップダウンが続き、時折右に視界が開けて、川苔山が大層立派な姿を見せている。しばらく行くと予想以上に下りはじめ、1258地点の右の尾根がせり上がってくる様になる。道はほとんど尾根の右側を通っていくので、右側の風景が進むとともに変わっていくのを見て現在地が確認できる。いつの間にか川苔山は遠くに過ぎ去り、日向沢ノ峰や1380mピークにとって変わる様になると、いつしか青空が広がって明るい1339mに出た。長尾山と書いてあり、このあたりからでんと正面に蕎麦粒山が聳えている。しばらく緩やかに歩いたあと、ひとしきりの急登で水源林道へ。ここの鳥屋戸尾根の入り口は木で一応封鎖されていた。間違えて直進して入り込む人がいるからだろうか。そしてもう一回の急登で蕎麦粒山に登り着いた。岩のゴロゴロしている山頂は南が開けており、川苔山の方が眺められる。鳥屋戸尾根は人に会うこともなく、期待通りの静かなコースでアクセスも良く、蕎麦粒山や水源林道への道として価値の高い道であった。このあと、蕎麦粒山をあとにして三ツドッケへと縦走した。


参考図書・地図
アルペンガイド奥多摩・奥秩父・大菩薩(山と渓谷社1992年8月第1刷)
エアリアマップ 奥多摩(1994年版)
奥多摩の尾根と沢 東京新聞出版局(1997年)
25000図 武蔵日原
50000図 秩父

鳥屋戸尾根長尾山付近にて
その他のコース
仙元尾根〜仙元峠〜蕎麦粒山
日向沢ノ峰方面から蕎麦粒山
交通機関
奥多摩駅から日原方面行き「川乗橋」下車
西東京バスを参照下さい。


Nifty FYAMA 投稿文

笙ノ岩山〜蕎麦粒山、三ツドッケ

4月以来山に向かわず、妻の実家で育児の週末でしたが、やっと妻からたまには行って来たら?というお許しがでて、山に出かけることが出来ました。突然のことだったので、とりあえず以前から気になっていた、鳥屋戸尾根コースを歩いて見ました。加沢さんや、あおむしさんなど、先人の記録もあるので地図に無いコースとはいえ、安心して登れました。

【日 程】98年6月20日(土)
【目 的】鳥屋戸尾根から蕎麦粒山、三ツドッケ
【天 候】曇時々晴 暑い
【コース】0545 川乗橋登山口 → 0720 聖滝からの尾根の合流点 →
     0745/0750 トヤド山 → 0755/0805 笙ノ岩山 → 0910 長尾山 →
     0930/0950 蕎麦粒山 → 1005 仙元峠 → 1030 倉沢分岐 → 1050一杯水
     → 1055/1105 避難小屋 → 1135/1145 三ツドッケ → 1205/1230 避難
     小屋 → 1350 東日原
【山 名】笙ノ岩山 1254.8m 蕎麦粒山 1472.9m 三ツドッケ 1576.0m
【メンバー 】単独
【山 域】奥多摩
【参考書】昭文社エアリアマップ 奥多摩
     ヤマケイアルペンガイド 奥多摩奥秩父大菩薩
     東京新聞出版局 奥多摩の尾根と沢
     2万5千図 武蔵日原

1.笙ノ岩山

今回の行き先の候補として、最初は框ノ木尾根からの鷹巣山を考えていたが、普通の山歩き自体が3ヶ月ぶりという長期休養明けではロングコースはちょっと自信が無くなってきた。そこで、ちょっと面白そうで少しは楽だと思われる。鳥屋戸尾根を選んだ。ご承知の通り地図に無いコースであるが、「奥多摩の尾根と沢」には中級コースになっている。その次ぎの頁がヨコスズ尾根の下降で、これをまったくトレースするコースをとることにした。
早朝、自家用車で川乗橋まで行き、林道沿いに走って邪魔にならないところを探して車を置き、登山口を探すと、レポートにあった通り立派な笙ノ岩山登山口の標識が、川乗橋からちょっと入ったところにかかっていた。山道に入ると、一般道と同等の立派な道で、最近歩く人も増えてきて踏まれているのか、結局水源林道に出るまでこの様な一般道と同等の道がしっかり続くこととなった。これでは登りである限りまず迷うことは無いだろうと思う。
最初はかなりの急登で植林地を登っていく。雨の後で湿気が高く、おまけに下草で濡れてはと、雨具をズボンだけ付けていたが、薮など全く無く無用の長物となったうえ、かなり暑い。ある程度歩いたら全身ビショビショになってしまったので、雨具は当然外し、上着も半袖の下着だけで歩く。この様な湿気の多い気候で、執拗にアブや蜘蛛の巣が襲ってくるが、背に腹は代えられない。この程度ならガマンしよう。でもアブに何回かかみつかれ、腕に変な感触があると思うと、蛆虫的な物から蛾の類まで、それこそいろんな動物が入れ替わり立ち替わり出現し、そのたびに払うことになる。
さて、ひとしきり急登のあと緩やかな傾斜の植林地の中を登っていく。暗く淀んだ空気のなかで、久々も応えて結構つらい。でも登り初めて1時間弱でとても急登ではあるが、自然林の道となり、今度は返って解放された様で、気分も良くなった。以後緩急を繰り返したのち右から合流してくる尾根に登る。ここはちょっと歩きにくいがすでに踏み跡も充分で安定しており問題はない。
合流後は再び植林が現れ、しばらくのぼると手前のピークに着き、トヤド山と書いてあった。それからもう一登りで山頂に立つが、山頂は道から小道を左に少し入った所であった。三角点と、立派な標識が2つある。木が茂っていて展望はないが、雰囲気は良く満足である。

2.蕎麦粒山

山頂から反対側に小道を下ると、道を少しの間笹がかぶる。ちょっとズボンが濡れるがこの程度であればすぐ乾くだろう。さて、蕎麦粒山に向かっては最初は緩やかなアップダウンが続き、右に見える川苔山は大層立派である。しばらく行くと予想以上に道は下りはじめ、1258地点の右の尾根が上にせり上がってくる様になって地形図と対象すると一瞬?と思ったが、特に問題なく進んでいく。ほとんど尾根の右側を通っていくので、右側の風景が変わっていく。いつの間にか川苔山は遠くに過ぎ去り、日向沢ノ峰や1380mピークにとって変わる様になると、いつしか青空が広がって明るい1339mに出た。長尾山と書いてあり、このあたりからでんと正面に蕎麦粒山が聳えている。しばらく緩やかに歩いて、ひとしきりの急登で水源林道へ。ここの鳥屋戸尾根の入り口は木で一応封鎖されていた。間違えて直進して入り込む人がいるからだろうか。そしてもう一丁の急登で蕎麦粒山へ。南が開けているが、やたら蝿が多いのには閉口した。

3.三ツドッケ

蕎麦粒山から仙元峠の方に下り、再度仙元峠に登りかえす。この登りは、背丈を没する笹で、しかも濡れており全身ずぶぬれになってしまった。仙元峠はひっそりと祠があり、北に仙元尾根道が出ているが、ここまでの笹の雰囲気からしても、決していい道とは思えない様な気がする。下りは頭が笹から出る分楽ではあるが、濡れるのは一緒である。
あとは水源林道を辿って一杯水に向かう。新緑から深緑に変わりつつある素晴らしい森の中の道で、歩きやすくいい気分であった。1449m地点の先に倉沢への分岐があったが、ここも結構踏まれている様だ。快適な道を歩いて一杯水をいただき、避難小屋に入る。ここに荷物を置いて裏から三ツドッケに登り、酉谷側に降りて戻ってきた。小屋裏の取り付きが解らなかったが、とりあえず小屋の右手から森に入って左手の稜線を目指すとすぐに踏み跡に合流できた。登り切った山頂から一旦大きく登り返して立つ三ツドッケからは、石尾根から雲取まで一望できたが、あいにく雲が多くバックが白で写真には今一つ。無惨な姿を見せている天祖山は第二の武甲山になりつつある。酉谷側に笹の中を降りていくと、途中はっきりした道を失ってしまったが、下にもう水源林道が見えていたので、そのまま下ってしまった。ということで、登り口も降り口もはっきりしないままの三ツドッケであった。

4.下山

避難小屋の前で少し休んだあと、ヨコスズ尾根の下山にかかる。とにかく緑が美しく、素晴らしい道だった。新緑の海のなかを歩いている様である。途中から、左手に植林地が出てきて少し雰囲気が変わってくるが、ここも爽快であった。ただし、最後の急下降が苦手なタイプの道でなかなかスピードにものらず、また植林地に入ってどんどん暑く息苦しい道になり、足が棒になってきてしまった。特に休まず下ってきたこともあって、最後はこりゃ体温が上がってきたなぁ....という感じがしてきて、バス停までくると、とりあえず水をガブ飲みしてベンチでゴロリと横になった。バスの時間まで50分ほど、昼下がりの静かなバス停のベンチで横になっていると微かな風も心地よくいつのまにか眠ってしまい、車の音に目覚めるともうバスの時間まで15分。時間通りに来たバスに乗って川乗橋で降り、車を拾って帰途についた。



ちょっと楽かなと思ったのですが、やはり歩く距離はありちょっと疲れました。鳥屋戸尾根は大変いい道になっています。とても静かです。しかしこれから奥多摩はどんどん暑くなって行きますね。
水源林道あたりは途中めぼしい展望もあまり無いので、天気が悪い時でも比較的楽しめるかなぁと思いました。でも、青空にこしたことは無いのですが。