便石山

599m
山域:熊野山地
2000.3.18


天狗倉山に登った時に、それだけだとあまりにあっけないので、「三重の自然を歩こう」(伊勢文化舎)を見て、お隣の便石山を追加して歩くことにした。という訳で、もともとおまけのつもりだったが、実はこちらの方が展望も楽しく、登りがいもある山だった。

天狗倉山から一旦馬越峠に下って、対面する便石山に登り返すことになるが、馬越峠は最低鞍部よりもかなり天狗倉山側の斜面を通っているため、峠から鞍部までは一旦下っていくこととなる。鞍部付近では直ぐ下を走る林道が見えており、そちらからの踏み後も上がってきていた。便石山への道は、天狗倉山の道よりは細いが、しっかりとしており困難な場所は無い。稜線を辿ると、左から回り込む様に便石山に向かって行き、まだ若木の多い植林地を抜けると、伐採地の尾根に出て一気に明るくなる。伐採は山頂付近まで続いており、下からも目差す方向がよく見える。
便石山への山道は、伐採地との境界か、または少し内側を通っていき、明るい道を少し辿るとグイグイと高度を上げる急登となる。途中反射板の横を通るが、これはずいぶん下にある下の反射板で、山頂はまだまだ遠い。一気に登っていくこの道の厳しさに、思わず途中で2度程座り込んでしまった。
時々現れる道標に励まされ、最後は樹林の中を木を掴みながらの登りのあと、やっとたどりついた山頂は、三角点のある平坦な植林地の中の、何の変哲もないところであった。ガイドブックにあった、展望のすばらしい象の背の様な岩があるはずで、あたりを探ってみると右下の方への、展望岩という小さな看板と踏み後が見つかった。山頂の少し右下にその岩はあり、岩の上に立つと、これがまた絶景であった。正面に聳える天狗倉山が、右と左の湾を綺麗に分けている。右は尾鷲、左は海山。それぞれ大きさは異なるが、町並みが広がる。伊勢の方向を見れば、折り重なる山並みが、海に突きだしてリアス式の海岸を形作っている。ここの風景は今までの急登の苦労を補って余りあるものであった。

下山は一気に下り、その勢いで馬越峠まで登り切る。下るときに帰りはいやだなと思っていた登りも、便石山の急登に比べればなんということは無かった。尾鷲市街に降りたってからも、便石山の勇姿はよく目立ち、天狗倉山に来たときは是非立ち寄りたい、いい山だと思った。


馬越公園から天狗倉山

記録

日 程

2000年3月18日(土)

天 候

晴れ

コース

0800 馬越峠 → 0915/40 便石山 → 1035 馬越峠

便石山の象の背のような展望岩


参考図書・地図
三重県の山(ヤマケイ)
三重の自然を歩こう(伊勢文化舎)
25000図 
50000図