天狗倉山

522m
山域:熊野山地
2000.3.18


3連休を利用して、車の中で泊まり歩きながら、東紀州の山々を巡り歩いた。高い山はまだ雪に埋まっている季節に、一足早い春を訪ねての気楽な旅ということである。初日は高峰山を考えていたが、ガソリンが少なくなってしまい、夜間に矢の川峠に行くにはリスクが大きく、尾鷲市の背後に聳える天狗倉山を選んだ。

尾鷲市の馬越公園には、車は4〜5台駐車可能。トイレもある。熊野古道もブームとなっており、関連施設や道標がよく整備されてきたようだ。馬越公園を抜け、石畳の熊野古道を登っていく。このあたりは明るく、森の中の深閑とした古道のイメージとは少し違うが、それもやがて植林地の中に入ればだんだん雰囲気が出てくる。石畳は土砂流出と、シダ類の繁茂を押さえるという目的で、伊勢から熊野三山を結ぶ道を整備したものとのこと、今でもしっかりとしており、技術の確かさを伺わせる。石畳は傾斜地にのみ作られており、平坦な部分は普通の土の道であった。
ゆったりと歩きやすい道をのんびりと行けば、やがて馬越峠に到着。あずまやに、記念スタンプ、そして江戸時代末期の句碑が立っていた。峠から天狗倉山の道標に導かれて、尾根を登る。すぐに反射板のあるところに出て、朝日に照らされた尾鷲市街が一望できる。集合煙突とタンクヤード群が意外と目立ち、狭い平坦地の結構な部分を占めているように見える。やがて、海山側から峠を経ず登ってくる道と合流すると、傾斜も急になり、階段の登りとなる。道に沿ってNHKのケーブルが埋まっているとのことで、階段は山頂の向こうにある電波塔群に通う為に整備されたのだろう。急登をこなすと暗い植林地に入って行き、右に折れると、前方に圧倒的な岩が覆い被さってきた。その横を抜けて登って行くけば、岩に囲まれた箱庭のような場所に出て、そこが山頂であった。
実に良くできた山頂で、大きな岩と祠、それに城壁のような岩壁に囲まれ、確かに天狗の住処のようである。尾鷲市街と湾内の展望が良く、大きな岩に付けられている階段を登ってみると、岩の上は広く平らで、さらに遠く、山頂部の白い台高あたりの展望が広がる。その後、岩の上から見えた、鉄塔のある場所まで足を延ばしてみたが、テレビ局の鉄塔が林立するのみで、特に特徴の無い場所だった。下りは山頂を経ず大岩の下に直接下った。そのまま馬越峠に下り、天狗倉山だけでは少々あっけないのでこの後お隣の便石山を往復した。そして、三度馬越峠に立ち、熊野古道の石畳の道を快調に下って、すっかり日が高くなった馬越公園に下ったのが11時。翌日の天候が芳しくないのと、まだ時間も早いので、今日はもうひと山と、給油と買い物を済ませ、次の登山口へと向かった。


馬越峠から便石山往復

記録

日 程

2000年3月18日(土)

天 候

晴れ

コース

0615 馬越公園 → 0645/50 馬越峠 → 0715/40 天狗倉山 → 0755 馬越峠 →(便石山往復)→1035 馬越峠 → 1100 馬越公園

山頂より台高方面の展望


参考図書・地図
三重県の山(ヤマケイ)
三重の自然を歩こう(伊勢文化舎)
25000図 
50000図