霧ヶ峰

 鷲ヶ峰 1,798m 蝶々深山 1,836m 車山 1,925m

山域:中信
2000.8.27


霧ヶ峰の最高峰は車山であるが、ビーナスラインからリフトで簡単に山頂に立つことが出来る。しかし霧ヶ峰はその一角に八島湿原を持ち、そして波のようにうねる広い平原こそが核心部であり、車山は一つのシンボルに過ぎない。美ヶ原を経て和田峠に泊まった翌日は、鷲ヶ峰をスタートに霧ヶ峰の中心部を横断するコースを歩き、高原ハイキングを楽しんだ。

三城から美ヶ原〜三峰山より続く
朝からガスが重くたれこめ、あまりいい雰囲気ではなかった。天気予報は晴れなので、いずれガスがとれてくることを期待し、和田峠を出発する。旧国道を橋で越えると、ガードレールの向こうに広場が見えた。乗り越えると自然歩道の看板があり、笹を刈った道が樹林の中へと入っている。しばらく辿ると樹林から出るあたりで、少し先から登ってくる正規の道が合流してきた。道は朝露にびっしり濡れた草に覆われ、その中を少し行けば、すぐに濡れてしまった。
さて、ガスで何にも見えない中で、目標もとらえづらいまま登っていくと、鉄塔のあるピークに出る。少しアップダウンを繰り返すと、再び鉄塔がある。その後も若干のアップダウンがあり、時々腰までの笹を分ける道を歩いていく。昨夜の雨がそのまま笹に残っており、全く濡れ鼠状態である。正面に急な斜面が立ち上がると、いよいよ最後の登りかとじっくり登っていく。ガスの中から現れてくる登りがなかなか尽きず、やげて樹林の中に入っての急登になり、段差の大きい石段がかなり足に応える道を頑張る。これを登り切ると樹林の中から出て、傾斜も緩やかになって鷲ヶ峰の山頂に出た。本来好展望のはずの山頂はここでも深くガスに沈んでいた。
山頂にいる間に少しづつ明るくなってきた。そして緩やかな山稜行くうちに、斜面のガスがとれ、鷲ヶ峰の草原の山肌が見渡せるようになってきた。平坦な草原の稜線をしばらく辿ると、八島湿原への下りになる。少し下ったあたりで前方のガスも晴れ、眼下に広大な湿原が広がった。青空でなく、白っぽいのが今一つだが、やっと晴れて良かったと思った。
八島湿原まで下ると湿原に沿った木道の道になる。湿原は広く、沼は八島ヶ池と鎌ヶ池があるくらいで、あとは原野が広がっている。木道の終点まで来ればキャンプ場で、ここまで車が入るようだ。
キャンプ場から正面に見る穏やかな高まりに向け、いよいよ霧ヶ峰の中心へと進んでいく。ゆったりした斜面を登り、一段高くなると前方に一つのピークが見える。ここでもマツムシソウを中心に花の咲く広い道で、ゆっくり登っていけばやがて物見岩に着いた。そして緩やかに下りひたすらにだだっ広い草原を進む。北側には男女倉山などのゆったりした稜線が続き、周囲の山々も起伏は緩やかで、どこでも歩き回れそうな雰囲気を持った広がりとうねりであった。
蝶々深山の広い山頂に着くと、たくさんの人が休んでいた。ここは展望が雄大で、正面に車山のひときわ高い山頂が見える。山頂から下って人が多くなった中を車山乗越へと進む。車山乗越から車山に登る道は今は無く、一旦リフトの方に少し下って、スキーコースの上を登らなければいけない。この登りはなかなか厳しいが、それほど長くは続かず、久しぶりの急登だなと思ってゆっくりと行った。すれ違う観光客も多くなったが、歩いて登っている人はいない。
車山の山頂も美ヶ原と同様に祠があり、なんとなく救われた気分である。レーダードームは立派だが、風に吹かれて寝ころんでいたりするとまわりは気にならず、ひとつの山頂を味わった。晴れたり曇ったりで、パッとしないが、暑くもならない。
下山は広い道を霧ヶ峰ロイヤルイン前に向けて、ちょっと遠回りな道を下る。ガラガラして、そう歩きやすくもないが、最後の高原を楽しむ。車道が近づくと、バスが気になって足早になるが、このビーナスラインに沿ったあたりの高原風景は、伸びやかでとても明るく気分のいいものだった。バス停に着いたのは11時55分。丁度この日までの夏ダイヤのバスが11時51分であり、まだバスを見ていないのでロスタイムの時間についたようなもの。土産物屋によりたいと思っているうちにすぐバスがあらわれ、結局そのまま乗っていってしまった。

美ヶ原から霧ヶ峰へと、マツムシソウを主体にたくさんの花の咲く草原と、今が盛りと飛び回る、タテハ蝶やアサギマダラに囲まれた2日間だった。霧ヶ峰の緩やかな高原には他にもいくつかルートがあり、ちょっとした旅行も含めて、何度もいろんな形で訪れてみたいと思った。やはり今回にようにガンガン歩くよりも、遊ぶ山であることは間違いない。

本文中の写真(順に)

  • 八島湿原の八島ヶ池
  • 蝶々深山から車山をのぞむ

    記録

    日 程

    2000年8月27日(日)

    天 候

    曇り時々晴れ

    コース

    0645 ロッジ → 0705 和田峠 → 0825/35 鷲ヶ峰 → 0910 八島ヶ池 → 0925/35 鎌ヶ池キャンプ場 → 1010 物見岩 → 1020/30 蝶々深山 → 1050 車山乗越 → 1105/30 車山 → 1155 霧ヶ峰ロイヤルイン前

    ビーナスラインから見上げる車山の稜線


    参考図書・地図 その他のコース
    エアリアマップ 美ヶ原・霧ヶ峰
    東京付近の山(実業之日本社)
    25000図 霧ヶ峰
    50000図 諏訪
    車山へは、車山高原バス停・さらに白樺湖からの登路がある。
    八島湿原から車山までの間は、いくつかの遊歩道を選ぶことができ、周遊するのも面白い。
    バス
    茅野〜白樺湖〜車山〜霧ヶ峰〜上諏訪を結ぶバスが運行されている。茅野〜車山は比較的本数もある。
    時期によって時刻・本数が異なるので、諏訪バス(0266-57-3000)までご確認下さい。この路線は時刻表にも掲載されています。