01年12月中旬の世迷い言


2001/12/11

 世の中には暇な人というのはいるもので、いろんな物が流れてくる汚いどぶ川(最近ではそういうものも絶えて久しいが、私が子供の頃には結構いろんなところで見られたものである)を毎日眺めては「やぁ、今日はこんなものが流れていたよ」「見たまえ、あそこにはあんな物が流れているぞ」などと評論して悦にいる人々というものの存在を知った。そんな人々のことを眺めて一日を潰すような暇人である自分も如何なものかと思うが。
 日頃から何かと世間からの風当たりが強い趣味などを持つ身としては、他人の趣味にとやかく口を出すほど野暮ではないのだが、敢えて一言だけ言わせてもらえば「日本は平和で豊かな国なのだなぁ」と思うこと頻りである。後はもうちょっと頭使って論評すれ、とか思ってもみたり。あまりに芸がないよ。<一言じゃないじゃん


2001/12/12

 夜中にロボコン地方予選を流すのは、私を社会復帰から遠ざける陰謀ですか?>NHK

 末次徹朗の表紙でジャケ買いしたのが狩野俊介シリーズとの出合いだった身としては、ふくやまけいこと末次徹朗の区別も付かない奴に「狩野俊介シリーズ」について触れて欲しくないねっ。
 つーかなんでそこでふくやまけいこの名前が出てくるんじゃい、あぁ? どちらにも失礼だろうが。
 一応、デュアル文庫版でイラストレータが変わってないか確認しちまったぜ、全く。そんで嫌なものを見つけてしまった。出版社がイラストレータとはいえ人の名前を間違えるなー。ワープロ変換ミスでないところが余計に嫌な感じ。

 富永浩史「機巧天使サンダルフォン」(ファミ通文庫)[bk1で購入]読了。
「俺の足には鰓がある」(富士見ファンタジア文庫)[たぶん絶版]作者だと聞いたので読んでみたのだが、……これ、基本アイデアが思いっ切り某マンガと被ってる。しかもこっちの方が重みがない。どう考えても負けてる。
 それだけならまだいいが、まともな校正をやってないらしく、誤字脱字やら表記のブレが山ほど。ファミ通文庫の特徴だって言ってしまえばそれまでだが。そんなに金が無いのかファミ通文庫。それとも人材が無いのか。よもや著者校というものをやってないんじゃなかろうな。簡単な例を挙げると、同じ戦闘機が場所によってF-18だったりF/A-18だったりする。ちなみに米海軍の呼称はF/A-18。半端にしか出来ないんだったら固有名詞なんか出すな。
 後、細かいツッコミだけど、人間や他の電子部品が無事なレベルの電磁波を浴びてぶっ壊れるゲームデータの記録媒体ってのは一体なんでしょうか? 空港の手荷物検査でゲームボーイのデータが飛んだなんて話は聞いたことが無いぞ(こっちの方が光子のエネルギーは普通の電波より遥かに強いX線を使うのだが)。
 どうも他の部分の描写も鑑みるに、電磁波に関する変な誤解があるとしか思えない。放送電波塔やら空港のレーダーやらを見たことが無いのだろうか? あれ、周囲で鳥が落ちたりするんだけどな。近けりゃコップの水も沸騰するし。そういう場所が、遠目で見る分にはなんともないのは誰でも知っているだろう。
 イラストレータは絵は好みの問題として、描写と違う挿絵とか描くしな。イラストレータ自らメカ設定をしておいて、ああいうミスをするかな普通。もう全体的にダメダメ感が漂いまくり。
 作家の質というのは編集者で決まるものなのだろうか。はぁ。

 大石まさる「りんちゃんクッキーのひみつ」(少年画報社)[bk1で購入]でも読んで口直ししようっと。


2001/12/13

 これ。明らかに自意識過剰だよな。それに、批判の対象が的外れもいいところだ。
 日本の皇室典範で男子にしか皇位継承権を認めていないという事実を知らん単なる無知な奴なのかも知れんが(知ってて言ってるとすれば馬鹿か基地外)、それにしたって自意識過剰だよな。客観的に見れば男子が誕生していた方が景気に好影響を及ぼしたであろうことは明白だ。
 客観的に正しいことをしがらみで言えなくなるような世界はきっと住んでて楽しくない。

 ようやっとLogitechからUSB-SCSIコンバータのOS X 10.1対応ドライバが出る。
 おぉ、MOがマウントされるよ。感動。
 これでいよいよkermitをちゃんとインストールしないといかんのう。kermitをインストールしたからといって、すぐに事が上手く運ぶとは到底思えないのだが。

 林公一「擬態うつ病」(宝島社新書)[bk1で購入]読了。
 出版社が出版社なので、あんまり内容に期待をしていなかったのだが、あとがきにある「うつ病についての、わかりやすくて嘘のない本を書きたいと思った」という言葉通り、読み易くて誠実な印象が残る内容だった。
 題になっている「擬態うつ病」とは著者の造語で、ありていに言えば脳内での神経伝達物質の異変が起きていない、鬱病様の症状を示す病気(?)の事である。当然のことながら、これに鬱病の薬はほとんど効かない。鬱病との一番解りやすい違いはここにある。著者はこれを、鬱病に関する判りやすくお手軽な情報の氾濫が生み出したものである、としている。
 要するに、現代人は「お前がいま感じている感情は精神的疾患の一種だ。 鎮める方法は俺が知っている。俺に任せろ」と医者に言われたがっている、ということなのである。
 こうやって茶化して書くと突っ込みたくなるだろうが、「常に自分を含む世界に対して解りやすい解答を求めている」という風に書けば納得できるだろうか。著者は、鬱病が一般化した代償としてある程度は仕方がないことだとしながらも、あまりにお手軽になりすぎた後の反動を心配している。
 これは蛇足もいいところだが、この本の中で紹介されている鬱者の事例にあまりに感情移入してしまう自分にちょっと驚く。なんだこりゃ。自分はこんな人間だったか?
 後、巻末の広告部分は「笑うところ」なんだろうか。内容とのギャップがあまりに大きい。こっちの方が出版社のカラーを明確に映し出していることは確かなのだが。


2001/12/14

 ここ最近、やっと自分のことを客観的に見る癖が付いた。
 ここをしばらく読めば判るように、私は始終何かしらに対して苛ついている。その程度は時と場合によって変わる(普通そうか)。対象は大部分が外部の事象であるが、たまに自分自身であることもある。
 が、明らかに普段とは違う反応をしている自分に、少なくともここ半年以降、気がつくようになった。何が違うかといえば、対象とそれによって引き起こされる感情の程度である。
 要するに自分のことを「あ、今情緒不安定になっている」と思うことがあるのである。
 そのように自覚できるまでは、しばらく時間が掛かる。まず感情の津波がやってきて、それをなんとかやり過ごす(それに失敗することもよくある)。そして、その感情の津波をなるべくマイルドにして外部に吐き出すためにはどういう言い回しをすればいいのか考える。
 そうやって考えている最中に、なんで自分を感情の津波が襲ったのか、ということをなるべく論理的に説明付けるように努力する。そしてその過程で、どうやっても一般常識に照らして説得力を持って説明することが不能であることに気付く(というか、体したことじゃないじゃん、と気付く)。
 その時に初めて情緒不安定状態に陥っている自分を見出すのだ。
 いつから自分にこういう傾向があるのかは自分でも良く判らないが、たぶんかなり昔からこうだったに違いない。昔はコントロールせずにそのまま感情を吐き出していたので自覚しなかったのだろう。まことにつきあいにくい人間だったに違いない。今でもつきあいやすい人間だとはとても思えないが。
 そして、自分のこの性質が、まるでコピーしたかのように両親に似通っているのである。私の母親は始終感情を口から垂れ流している人間で、口から出ていった言葉はほとんどの場合、すぐさま忘れ去る(ように見える)。反対に、私の父親は、少なくとも自分の中で理屈の通らないことは口にしない。そして溜め込まれた感情は、アルコールによって流し去るのが彼の流儀なのだ(たぶん)。
 こんな典型的な上にストレートすぎる「自分語り」を、読んで面白いと思う人がいるとも思えないし、普段のコントロールが効いている自分なら読ませたいとも思わないだろう。しかし、今は書かずにはいられない。書かずにはいられないという感情はこういうものなのか、と反芻してみているところだ。
 こういうことをストレートではない表現で書けるようになれば、少なくとも作家と呼ばれる人種の末席くらいには加われるようになるのだろう。

 米国が公開したビンラディン氏が事件に関与していたことを裏づけると米国政府が言っているビデオを見た。いやぁ、ILMは良い仕事をしたねぇ。
 やはりこれでは彼が事前に計画を知っていた以上のことは言えないだろう。なんか法的にはそれだけでも黒に持っていけるらしいが、普通は「他には事前に知っていた人間がいないこと」を証明する必要があるのではないか。
 どういうわけだか最近は全くマスコミの口に上らなくなったが、テロ組織の国際ネットワークとやらがあるらしいではないか。テロ組織間の相互連絡があるのならば、テロ組織を率いている人間が計画を事前に知っていたとしてもちっとも不自然ではない。
 ちょっとだけ観たNステだと「我々が訓練した」という文言があったのだが、NHKじゃそんなことは言ってないし、元々が翻訳の翻訳なのでなんともかんとも。
 ビデオ公開後のブッシュ大統領の談話が大笑い。「これで彼が非常識な殺人者であることは明白だろう」だって。アフガニスタンへの攻撃の映像の後に、「これで米国が非常識な殺人者集団であることは明白だろう」と言ったら怒るんじゃないのか? あ、キリスト教徒以外は人間じゃなかったんでしたね、そういえば。
 航空機をハイジャックして何かに突っ込ませるというテロ事件を引き合いに出して、弾道弾迎撃ミサイル制限条約を一方的に破棄するという暴挙に至っては、全く以て意味不明である。ハイジャックされた航空機は弾道弾迎撃ミサイルじゃないと迎撃できないんですか? あんたが戦争したくてうずうずしてるのはよーく判ったから、さっさと退場してくれ。危なっかしくて見てられない。


2001/12/15

 ……あ。
 もしかして2002/1/14って「成人の日」ですか。あー、だから昼間っからmarsh mallowがLiveなんかやるのか。なら行けるな。
 それにしても、年によって祝祭日が変わるのって慣れないな。予定を考えるときにすごく混乱する。
 残る問題は、南青山に行かないとチケットが買えないかもしれないということだな。うー、明日発売じゃん。駄目元でチケぴ行くべきなのか?

 Developper's Toolの新しい版が出たので、ADCから落しているのだが、途中でエラーで止まりまくり。ISDNなのでまとめて落すことなどできず、分割版を落しているのだが、最後のモジュールだけで5回くらいリトライしている。
 これはあれですか。金払って更新してCD-ROMを送ってもらうようにしろという無言のメッセージですか。<最近妄想入りすぎ

 Painter7のアップグレードパッケージが届く。
 なになに。「Mac OS X環境において、以下の機能が未対応となっております。●タブレットの筆圧感知、傾き機能等への対応 ●Open Type Fontsへの対応」
 ……駄目じゃん。OS X対応であるってだけじゃん。傾きはともかく、筆圧感知ができずして何のPainterか。
 さっさとアップデートすれ。>Corel


2001/12/16

 ようやっとDevelopper Toolの全てのファイルを落とし終え、StuffIt Expanderにつなぎ合わせてもらってインストール。何故にデフォルトでOS X版のStuffIt Expanderと関連付けられていないのでしょうか?<分割ファイル ダブルクリックでいきなりClassicが上がってきてちょっと驚いたよ。
「ディスクがいっぱいでエラーが出ていたのに気付かなかった」という間抜けなミスがあったのは秘密だ。34Gも何を溜め込んだんだか。<まるで他人事のようだ
 ……こころなしか、システムの反応が良くなったような。気のせいかな?

 いつもならアクセスが減る週末なのに、ウイークデイ程度のアクセス数があると思ったら、お豆のカレーからリンクが張られていたのか。
「男女差別をしているのは皇室典範およびそれを含んだ日本社会であって、メリルリンチは関係ないだろ」というのが13日の記述の意図だったのだけど、あれじゃ普通は解りませんな。というか全然そういう風に書いてません。駄目じゃん。
 歪んだものを映し出す鏡があったとして、実は「もの」それ自体が歪んでいるのに、鏡に対して文句を言ったり、況してや鏡を歪ませて映る像を修正したり、歪んだものを映し出さないようにするのは、単に「歪んだ像を見たくない」場合以外の対応として間違っていると思うのだけど、感情論にこういうことを言っても詮ないことではあるか。

 池袋に演劇集団Caramel Box主催のZABADAK Liveを観に行く。
 現在上演中の「ブリザード・ミュージック」のBGMをZABADAKが担当しているので、晩の公演がない日にLiveをやるという、96/12/18と同じパターン。96年の時はチケットをチケぴで入手したので、主催がCaramel Boxではなかったのかも知れず。というか、赤坂BlitzのLiveがこんなに昔のことだったとは思いも寄らなかったよ……。
 最初にCaramel Boxの人達としばらくトークコーナー。COLORSは結婚式お祝いソングみたいだと思っていたらやっぱりそうだったり、ZABADAKがギターの音を歪ませるようになったのはCaramel Boxの人の影響だったことが判ったりと、とても興味深いものだった。ちょっと間の取り方がぎこちない所もあったが、楽しかった。
 今回は、Acoustic Liveということで、ドラムなしの編成(パーカッションは居た)。こういう風にVocalが前に出てくる方が私の好みには合っている。リズムはベースで刻むが良し。
 トークがあった分、演奏時間は短めではあったが、大満足。やはりライブハウスよりちゃんとした会場の方が良いなぁ。集客力が落ちているから難しいのか。

 それにしても池袋の建物は駅舎を筆頭にしてダンジョンめいたものが多い。単に慣れていないだけの問題なのだろうか。


2001/12/17

 昨日の分は書くだけ書いて、FTPで上げるのをすっかり忘れていましたとさ。

 目が醒めると身体がだるく、鼻水が出て、咳も少し出る。熱はないようだ。
 どうも新しい風邪を引き込んできたらしい。昨日一緒にLiveを観に行ったやまいし氏あたりから貰ったものだろう。

 唐沢俊一の裏モノ日記12/16の記述より。
 固定URLになるのは一月分溜まってからなので、引用させてもらう。
----引用開始----
「リアリズムなんてものを入れるから映画はダメになるのよ」
 とは、母の御意見。なるほど、地に足のついている生活をしているオトナたちにとり、リアリズムは日常にあるのであって、わざわざ映画館で確認するにも及ぶまい。いっとき現実を忘れさせる夢こそスクリーンに映し出されるべき、という説は、今の時代であればこそ、もう一度考えてみる余地がありそうだ。
----引用終了----
 なるほど。私のようなオタクが非日常的なシチュエーションの物語に執拗にリアリズムを求めるのは、地に足が付いていない生活を送っているからなのだろう。
 自慢するようなことではないが、大学を出て社会人と呼ばれるようになってからも、「地に足のついた生活」なんてものを送ってきた気分はまるでしない。気分は学生時代の時のままである。
 世の中がこのような人間と、きちんと地に足を付けたリアリティ溢れる生活を送っている人間の二種類に分かれてしまっているような気がする。地に足を付けた生活を送る人間の可処分所得は、相対的にそうではない人間よりは少ないので、オタク向けの商品というものが儲かる商売になるのだろう。
 ものを作って売ることで日々の糧を得ている人間は、その当たりのことをきちんと踏まえておかないと、これから先はやっていくのが厳しいと思う。もちろん、これは現状の分析であって、未来永劫この状態が続くわけではないし、単なる一個人の見解であるから、間違っている可能性はとても高いのは言うまでもない。


2001/12/18

 最初は移動中のメールチェック & 簡易Webブラウズマシンとして使う予定だったVisor Platinumだが、折角PDAなんだからそれらしい使い方もできるようになっておいた方が良かろうと思い、この辺などを参考にして色々探して回る。このページはm100が対象だが、Palmwareに関しては問題なかろうと思ったのである。Palmに関しては思いっ切り初心者だし。
 んで、縦書きのテキストビュワーTRAIN for Palm Pilot(そういや、昔はPalm Pilotって名前だったな)をインストール。
 ついでに青空文庫パーム本の部屋から宮沢賢治や夏目漱石や夢野久作や寺田寅彦の文章を落してくる。
 うわー、これは便利だわ。既に使っている人からすればなんてことはないものばかりなのだろうが、手帳サイズであることときびきび動くことがこんなに使い勝手に影響をもたらすとは思わなんだ。
 というわけで、当初埋まることなど有り得ないと思われた8Mの空間は、あっという間に埋まってしまったのである。読み終わったDOCファイル(Palm用の圧縮テキストフォーマット。なんでこんなややこしい名前にしたんだか)を順次消していけばいいだけのことなのだが。
 問題は、現状ではそれほど長時間に渡って移動をする機会があんまりないことだが、それはおいおい解決されるだろう。文章入力マシンでは絶対にないけれども、そっちはPSIONに頑張ってもらうとしよう。PSIONはSystem9上ではKeyspanのUSB-Serialアダプタでも動くことを確認済みなので、しばらくは使えるだろう。Palm DesktopのOS X版もまだ出ないようだから、しばらくSystem9から完全移行は考えられないな。

 あ、そうそう。Palmというと嫌がる人が多いGrafftiだが、私は主に使う文字はあっという間に覚えてしまった(覚えていないのはQくらい。日本語入力でほとんど使わない文字だし)。随時Helpが呼び出せるのが大きい。
 私は、今さら漢字の書き順をきちんと覚え直すよりもこっちでローマ字入力した方が絶対入力が速い(単に昔から漢字の書き取りが苦手だったのを引きずっているだけという話もある)。たぶん、携帯の10キーで日本語入力するよりも速いのではないだろうか(あくまで自分で比べて、である)。

 街中に出て、WAVEで来年発売の上野洋子のアルバムを二枚とも予約しておく。なにせ片方はインディーズなので、放っておいたら絶対探すのに苦労する。予約できるものなら予約しておくにしくはない。

 その後、色々歩き回って「MacPower 1月号」、「ガンダムエース No.3」、「ココロ図書館オリジナルサウンドトラック」などなどを入手。「ココロ図書館〜」は予定では明日発売の筈で、CDDBにまだデータが登録されていなかった。トラック名を最初から手入力するのは久しぶりだ。
 CDDBといえば、既にデータが登録されているのにも関わらず、間違ったデータを上書きする輩がいるのはどういう訳だろうか。世界中に影響を与えるデータベースへ書き込みを行なうのだから、自分で入力したデータの確認くらいしてから送信するのが当然だと思うのだが、そう考えない人間もいるということなのだな。


2001/12/19

 種村季弘「偽書作家列伝」(学研M文庫)[bk1]読了。
 ついつい題名に惹かれて買ってしまったが、種村季弘の文章は、ある程度の欧州史への知識がある前提で書かれているのである。自慢にもなんにもならないが、私は欧州のことには疎い。どれくらい疎いかといえば、国境だけ引かれた欧州の白地図を渡されて、国名を書き込め、と言われたら、イタリアとイギリスくらいしか自信を持って書き込めないくらい疎いのだ。
 良くもまあ、こんな調子で共通一次(歳がバレるね)に地理を選択したもんだと自分でも思うが、地理を選択したくらいなので、歴史に至ってはほとんどなにも知らない。十字軍が何年から何年に掛けて無茶な戦争を仕掛けに行ったか、なんてことは私の大脳新皮質のどこを探しても見当たらないのである。ルネッサンスが何年から始まろうが、俺の知ったことか。
 というわけで、非常にはかが行かない読書になった。つまらないわけではないが、登場する固有名詞を知っているものとして文章が進むので、こちらは推論を交えて読み進まなければならないのだ。「ハウフといえば、少年読物の世界でどなたもとうにおなじみの名だろう」などと言われても、こちらは「はぁ?」と首をかしげるしかない。こういうのは結構メジャーなものなんですか?
 それも、段々と読み進めるうちに苦にならなくなっては来た。キリスト教の歴史などは、この間、多少なりとも詰め込みでやっつけたので、最後の二つの章に関しては、あまり推論を働かせることなく読むことができた。
 総体としては面白かったと言っても構わない気分である。
 西洋文学史などに詳しい人が読んだ場合にはどのような感想を抱くものなのか、ちょっと聞いてみたい気がする。


2001/12/20

 ClassicのIE5.1(英語版)が出ていたので落してくる。
 5.0はJavaなんか使った日には不安定で不安定でどうしようもないので(それよりMozilla/NetScape Communicatorは酷いのだが)、それが解消すれば、との思いである。
 今のところ、メニューが英語になってしまった以外には、購読モニタのチェック項目が先頭のものから変わらない(プログレスバーは進むし、実際にチェックは行なわれているようなので気にしなければ良いだけの話)というBug以外には気になるBugは今のところない。日本語のページもちゃんと表示されるし、5.0から設定も引き継がれている。
 一つ、気になったのは、インストールして起動したら、全てのアプリケーションのアピアランスがIEのそれに引きずられて全て変わってしまったということなのだが、Preferencesを丹念に見て行ったら、どうやらこれはIE5.1の機能らしい。
 要らんわこんな機能! そういう機能を期待されていない一アプリケーションが勝手にシステム全体に影響を及ぼすとは何様のつもりであるか。まぁ、切ることができる分、まだマシな方ではある。

 RealPlayer8があまりに酷い(定期的にアプリケーションの再起動を要求する上に、Quitできない―Quitしようとすると再起動を要求するダイアログが出て再起動してしまう―のである)ので、なんとかならんかと思って業腹だがPlusにしてみる。
 んが、症状は全然改善されない上、RealNetwork社がメールをUTF-8のHTMLのみ(ASCIIやJISのplain textはなし)で送ってくるという暴挙を行なう(しかもContent-Transfer-Encoding:ヘッダがないのでRFC違反)。悪名高きOutLookだってこんな事しないぞ。
 駄目だここは。RealPlayer用のストリーミングを採用している所はさっさと別のに変えなさい。QuickTimeが一番良いのだが、この際だからWindows Media Playerでも良い。とにかくRealPlayerはさっさと亡びるが良い。

 今号の電撃hpには「何故この世の中にあかほりさとるの作品が溢れ返っているのか」という私の長年の疑問に対する一つの回答が示されていた。読者としてはありがたいが、そんなことを書いてしまって大丈夫なのか。しかもイラストレータが追い打ちを掛けてるぞ。
 中間流通業というものは、バブル崩壊からこの方、まるで悪の権化のような言われ方をしているように思うのだが(え? そんなことはない?)、目利きの中間流通業者という存在は、生産者と消費者の利益のためには必要なのだ。問題は、目利きであろうがなかろうが既得権益として中間流通業の座に収まる人間がいること、なのだろう。


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