3日目(12/31大晦日)

 どうして九州だというのにこんなに寒いのだ?
 夜中に目が覚める。窓は全て白く曇っている。ときおりトラックが走り抜けていく音だけが聞こえる。エンジンに火を入れてヒーターを入れ、再び寝る。

 AM6:50目が覚める。膝が痛い。無茶な寝方してるしなあ。既に空は白み始めている。ふと見ると後方に乗用車が1台停まっている。似たようなやつがいるね。ニュースによると、明日元旦から天気は崩れるらしい。しかし本日も快晴、明日のことは後で考えることとしてAM7:00に出発。

 今日は初日の出に間に合うまでに鹿児島佐多岬まで行くだけ。途中あまり見るべきモノはない。国道10号から一ツ葉道路に乗る。一ツ葉道路はよく整備されたご機嫌な道路である。中央分離帯にフェニックスが延々と立ち並び、もしかしたらオレはカリフォルニアにいるのではなかろうか、と思わせようとしている。実際この先、太陽が燦々とふりそそぎ、海を眺めながら走ると、とても大晦日だとは思えないのである。

 それはともかく、気付くとまたもやガス欠寸前になっていた。やっぱり夜中にエンジンをかけっぱにしておくのはよくない。しかし有料道路上ということもあって、ガススタンドは見あたらず、やっと見つけた九州石油はAM8:00から。しょうがないので車を停める。丁度そこがフェリー乗り場になっていたので、駐車場に乗り込んでエンジンを切る。さすがに外は寒いが、ぼーっとタバコを吸いながら日の出を眺める。今年最後の日の出である。

 AM8:00になってスタンドに乗り入れる。給油量は・・・30.5リットル
 え。MINIのガスタンクって30リットルじゃなかったっけ? あれ?
 なんか釈然としないものを感じるが、まあとにかく危ないところであった。宮崎市で一ツ葉道路はおしまい。海沿いの国道220号線、日南フェニックスロードに切り替える。九州有数のシーサイドラインなのだそうだ。この道もめちゃくちゃ走りやすい。海は穏やかで天気もいいし。なーもゆうことなしのドライブを続ける。ちゃんと車止めもあるので、適当に車を停めて海を見ることができる。だいたい他の車がいないのがいいんだよね。夏なんかくると大変だろうなあ。とにかくシーズンオフとはいえ、東京から来たわたしにとっては、昼間は春も同然の陽気なのだ。  AM10:00頃、適当なコンビニでおにぎりとジャワティー・ストレートを買って、閉鎖された温泉のパーキングで海を見ながら朝昼兼用の飯。大崎というところから、内之浦へ向かうのはやめて大隅半島を横断する。久しぶりに町中を走る。鹿屋市は年末の賑わいをみせており、なかなか活気があったが、こっちにはうざったい。だいぶ時間がありそうなので、桜島を目指すことにする。30分くらいで半島を横断し、錦江湾に出る。ここから湾に沿って北上し、桜島を目指す。

 錦江湾はやっぱり内海らしく、白波ひとつ見えない穏やかなものである。しばらく桜島を探すが、なかなか見えてこない。垂水というところでふと気付くと、目の前に桜島が聳え立っていた。あんまりでかすぎて気付かなかったのだ。そのまま走って桜島に入る。

 桜島は陸続きになってるんだっけか? とか思っていたが、ちゃんと繋がっていた。昔は「島」だったが、いつだかの噴火で陸続きになったんだそうだ。 今はコンクリで固められているので、もう島に戻ることはないだろう。桜島といえば桜島大根。と、お約束のイメージの押しつけをしておいて、桜島一周を始める。まず笑わされたのは右の看板。そりゃあたりまえだろうってよ。そんな物好きな野次馬が多いのか? それともマスコミ対策?
 桜島には人が住んでないのかと思ったら、実はばりばりの居住地だった。循環バスまで走っていた。相変わらず無知だなあ。オレって。旅行も全然予習しないし。とにかく桜島は溶岩と奇岩と火山灰と海と、当然御岳の島なのである。桜島の真ん中、っていうよりその全てを占める山は御岳というのだそうだ。島というより海から直接火山がそそり立っているという方が当たっている。人間は海沿いのほんのちょっとした土地に住んでいるのである。なかなか生々しいのは、いたる所にコンクリの待避壕があること。防空壕じゃないんだからとか思っていたが、住宅地に入っていくとゴミ置き場になっていたりして、実は生活に密着しているのがおかしかった。桜島口すぐにあった立派な待避壕は、観光客向けに作ったに違いない。

 桜島は時計回りに一周したのだが、島の南側は観光ポイントになっているだけあって山もよく見え、道も整備されているが、北側に回るとただの間道に近くなっていく。でもこっちの方が道も空いているし、楽しい。溶岩の流れた痕の荒れ地が延々続いていたり、ちょっと道を外れたところにお地蔵さんが祀られていたり、ひっそりと隠れるように漁港があったりというのは、なかなか観光ズレしていなくてよい。

 ゆっくり寄り道しながら回った割には、1時間弱で一周してしまう。時刻はPM2:00。もう一周する時間もある。このまま錦江湾をぐるりと回って鹿児島側からフェリーでこっちに戻ってくるテもあるが、時間的にはちょいキツいか? とりあえずもう半周して、さっき見たドライブインでメシにしよう。できればおみやげも買うことにしよう。ということで再び桜島を回り始める。途中で温泉発見!風呂だけもOKらしい。よし、今日は温泉にしよう!
 ドライブインで昼飯。何喰ったか忘れたけど、高い割に大したもんじゃなかった。売店を冷やかすが、桜島大根やみかんじゃあねえ。もらった方も困っちまうわなあ。ということで温泉に向かう途中、ブリティッシュ・グリーンに白ストライプのMINIとすれ違う。風呂は3日ぶりだぞ。

 さてご当地古里温泉は、温泉だけタオル込み876円で入ることが出来る。大浴場と露天風呂があり、露天の方は混浴である。なぜか入る前に長々と事務的にノーガキを聞かされる。なぜか線香の香りが立ちこめており、派手な仏壇(とは言わないか)があったり、なんかいわれがあるのかどうか分からないホテルである。大浴場の方でとりあえず体を洗って、いそいそと露天の方へ向かう。混浴とはいっても、あの浴衣を着るヤツである。で、どうだったかというと・・・のぼせた(笑)

 PM4:30出発。このまま佐多街道を南下して佐多岬へ向かう。かなり開けていて、町中を走ることが多いが、波のすくない湾海を右手に見ながら走る。PM5:25日没。これで平成8年の太陽はおしまい。ごくろうさまでした。明日もよろしく。
 ところで写真を見て分かる通り、なんか海にもやがかかっているのだ。行きに桜島がよく見えなかったのも、帰りにすぐ分からなくなったのもこのせい。なんか霧がかってるようなのだが、もしかしてこれは桜島の噴煙のせいなのだろうか?

 実は佐多岬のあたりがどうなっているか皆目分からず、寝る場所があるのか駐車場があるのかも知らなかったが、道路標識を辿って山を分け入っていくと、料金所のような所になんか車が並んでいる。えっ? もしかしてこれは・・・
 最後尾に付いていた鳥取ナンバーのにいちゃんに聞いてみると、果たしてみんな初日の出を拝もうと並んでいるとのこと。
 「1時か2時あたりに(料金所を)開けてくれるらしいんですよ。そこの警察行って聞いてきたから間違いないと思うんですけどね。」
 だそうだ。実は有料道路になっていることも知らなかったのだが、とりあえず並ぶ事にする。先頭から6〜7台目である。時刻はPM6:50。長いぞこれから。

 近くの雑貨屋のような商店で晩飯をあさるが、ろくなモノがない。おかげでチョコチップスティックの残りと、昼飯の残りのクリームパンと、ポテチの晩飯となってしまった。侘びしいなあ。ひもじいなあ。しかし、こんなこともあろうかと、かねて用意の缶ビール2本があるのである。
 さて、冬の夜長の暇つぶしにTVを取り出してみるが、なんかうまくいかない。電池切れか(あっ一応説明しますと、MINIにシガー・ライターのソケットはありません)アンテナの具合が悪いのか、うんともすんともいわんのだ。おいおい何のためにオレはTV買ってきたんだ! ラジオにしてみたら、NHKとなんか延々巨人のことしか喋ってない民放しかない。一番面白かったのはラジオ韓国(日本語放送)だったので、それを聞く。日本語放送時間が終了すると、しょうがない。紅白でも聞くか。なんか久しぶりだなあ、紅白。夜も更けて寒くなってきたので、自販機に缶コーヒーを買いに行く。寒いが星がきれいである。オリオン座の馬頭星雲(だっけ?違うような気もする)もよく見える。ウチのMINIの後ろにつけた車の中では、おとーさんとおかーさんがTVを見ながら年越しソバをすすっている。いいなあ。

 紅白も無事終わり(どっちが勝ったかもう忘れた)、ゆく年くる年が始まる頃には、周りが騒がしくなってくる。近くに神社があって、ご近所さんが初詣に繰り出しているのだ。そしてAM0:00。明けましておめでとう! 生まれて初めてだよ。こんな変な所で元日を迎えるのは。ま、たまにはいいかな。
 そんなこんなでAM1:15、料金所開門。さあ初日の出だ!

 本日の走行距離約390km。給油2回。タバコ1箱半。

[事前準備|12/15〜28|12/29|12/30|12/31|1/1|1/2〜3|まとめ]


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