4日目(1/1元日)

 AM1:15、佐多岬へ向かうゲートがオープンした。
 各車一斉にエンジンをふかしてスタートを切る。まあ、前の車に付いて行けないにしても、後ろのおとーさんには負けないよ。びーえむだけどさ。佐多岬有料道路は街灯ひとつなく、真っ暗。普段夜は閉鎖してるから当たり前なんだけど。1.5車線くらいの狭い上り道路がくねくねと続く。案の定、前の車のテール・ランプはあっという間に見えなくなってしまったが、後ろのヘッドライトも見えなくなってしまった。ロー・セコだけでぼへぼへ上っていくのだが、こんな狭い道で対向車が突っ込んで来たらコワイよなあ。でもゲートが開いたばっかりで、それはありえないので、道幅いっぱいに使って走っていく。ヘッドランプに浮かぶシダだか棕櫚だかしか視界には入らず、まだかなー、うりゃっとカーブを曲がるとそこは駐車場だった。

 はい、7番のり! かとおもったら、頂上駐車場には、車と人であふれている。これはいったいどうゆうことだ? もしかしてこいつら前の晩から泊まっているのか? と思って地図をよく見てみたら、有料道路の中腹にもう一つゲートがあったのであった。みんなそっちから上ってきたワケやね。

 ここが佐多岬かと思ったら、まだ先があった。こっからは徒歩で歩いて行かなければならないらしい。しかも、当然のように金を取られる。どうして日本の観光地はこういうアコギなことをするのだろうか。まあいいけど。岬に行くにはまだ早いので、一店だけ出ていた屋台のうどんを食べる。年越しソバならぬうどんになってしまったが、晩飯を喰いそこねているのでなんでもいいのだ。まだ外は肌寒いので、ちょうどよかった。ガンモとネギがちっているだけだが、それでもいいのだ。MINIのルーフの上でうどんをすする。鹿児島のうどんは薄味であった。ダシがなにかよく分からないくらいの薄味であった。食べ終わってもまだAM2:00頃。日の出はAM7:00すぎのはず。起きててもしょうがないし、とりあえず何もすることがないので、仮眠を取ることにする。

 車を停めたのが入り口近くだったので、結構行き交う車でうるさい。大型車の通る気配で目が覚める。何かと思ったら観光バスだ。なんだ、結構有名な初日の出ポイントだったんじゃないの。知らなかった。もっと静かな所だと思ったんだけどなあ。残念。
 そういうわけでAM6:45起きる。空が白み始めている。駐車場は人でごったがえしているので、とりあえず車を降りて岬まで行ってみることにする。入場料を100円を払い、料金所のトンネルを抜けると、そこは雪國だったら面白いかもしれないが、実際はもういっこトンネルがあるのであった。コンクリで固めた遊歩道を抜けると、そこは佐多岬。狭いスペースに人がひしめきあっている。

 海はまだ青黒くうねっており、漁船が一隻ぽつんと浮いている。空に雲は少なく、東の空に一筋雲が浮いている。どうにか人の頭に邪魔されないポイントを確保する。周囲はただの見物客、カメラマン、じーさん、ばーさん、おとーさん、おかーさん、がいじんさんが、初日の出をいまや遅しと待っている。なんかこう、みんな学校祭の前日みたいにそわそわしているのが、なんとなくおかしい。
 東の空が明るくなり、空に掛かる雲が朱色に染まり始めると、みなさん静かに興奮してくる。そしてひときわ喧噪が高まったところで、御来光。

 実はまともに日の出を観ることすらほとんど初めての私であるが、薄明から日の出までの天体ショーはなかなかすごいものがある。そのあとピーカンとノー天気に晴れ上がる空もまたよし。

 さて、帰りは道が混むのでちょっと時間をずらして、観光バスも一段落ついた頃を見計らって出発する。昨日は九州東岸沿いに降りてきたので、今日は西岸を北上することにする。前日通ったR269に乗って北上開始。このまま錦江湾を回っていくのも芸がないなあ、と思っていたところへ、フェリーの看板が。よし、錦江湾横断だ!と即決して港に乗り込む。そこは根占港で、錦江湾を横断して指宿にいけるらしい。
 乗船券を買おうとしたら、あろうことか車検証を持ってきていないことに気がついた。なんてえこった!
 「あのお、車検証無いんですけど・・・」
 「車は何ですか?」
 「MINIです」
 「軽ですね」
 「いや、普通車なんですけど」
 「2,060円です」
 あんまし車検証は関係なかったみたいだけど、やっぱ軽自動車に見られちゃうんだなあ。まあいいけど。

 晴天の根占港を離れて波静かな錦江湾を進む。フェリーの中に紺色のMINIを発見。ちょっと風にあたっているうちに指宿港に着。

 「指宿」は「さしやど」と呼んでいたら、なんと「いぶすき」と読むそうだ。読めるかこんなもん。というぼやきは置いといて、R226に乗って鹿児島市を目指す。正月だとて、道はがらがら。途中電話ボックスがあったので、田舎に電話しておく。北海道は大雪だってさ。こっちはもう春だねえ。なぜ1月が新春なのかもこっちに住んでないとわからんよね。北海道の春は5月だよなあ。

 鹿児島市が近づくにつれて車も多くなってくるが、道もどんどん広くなっていくので、快適に進める。鹿児島市は工業地帯に並んだ大都市だった。やっぱり都市部で地方色を望む方が間違いなのだね。R225の突き当たりは照国神社というところで、初詣客でごったがえしている。そこを右折してR3号に乗る。熊本まであと202kmだそうだ。お、ハーレーだ。と思ったら、雨がぽちぽち落ちてきた。そういえば今日は午後から天気が崩れると天気予報が言っていた。ハーレーが往生してるなあ、と思ったら一気に土砂降りに。時刻は正午を過ぎており、雨宿りがてらどこかで昼飯にしよう、と思ったけど、正月にそうそう店が開いているはずもない。市来を過ぎ串木野を過ぎ川内を過ぎてしまう。PM1:00を過ぎて、そういや朝飯も喰ってないわと気付いたところで、「かぶとラーメン」の看板発見! よっしゃ本場の熊本ラーメンだ、ということで、オリジナルかぶとラーメンを注文して、今後の展開を考えることにする。
 やっぱりここまで来たからには長崎は外せないだろう。ここで一発「長崎は今日も雨だった」とおやじギャグをかますだけの価値はあるというものだ。熊本から九州自動車道に乗っていけば早いが、よーく見てみると、長島〜天草〜島原半島と、島伝いに長崎に行くことができるようだ。長島は何があるのか知らないけど、天草といえば天草四郎。島原の乱。キリシタン大名だ。とりあえず聞いたことがあるので、こっちの方が面白そうだ。多分長崎で一夜を明かして、で、九州脱出する。こんなものだろう。
 そんなこんなでラーメンの出来上がり。おいおい普通の正油ラーメンじゃないかよ。なんで九州くんだりまできて札幌風ラーメンを食べなきゃいけないんだ?

 PM13:40ラーメン屋発。阿久根市はで走って、国道389号に乗り換え、長島へ向かう。黒瀬戸大橋という橋を一本渡れば、そこは長島。雨はあがって青空が覗いている。グリーンのMINIとすれ違う。長島はそんなに大きな島ではなく、左手に小高い山、右手に海という感じで、手頃なドライブ・コースという風情。なぜかどこまで行っても土が赤い。それと、お墓ばっかりある。前に能登島に行ったときもそうだったのだが、島嶼部に行くと、家の敷地内にお墓を置いている家が多い。こっちの感覚だとなんかイヤだが、土地の少ない島の住人の知恵というか伝統なのだろうか。こういうちょっとした風土の違いというのは、発見すると楽しい。

 島を半周している内に再び雨が。天草へフェリーで渡るために蔵元港に着いた頃には、どしゃどしゃ。雷まで落ちてくる。おかげでフェリーは足止め。1時間ほど待たされることになり、車の中でじっとしている。ヴェルディが天皇賞優勝したそうだ。
 なんとか雨も小降りになり、フェリーが出発する。今度は錦江湾と違い、狭い海峡を進んで行くので、見ていて飽きないが、依然雨が落ちてくるので、キャビンに籠もる。乗客は一般市民が多く、通勤電車ならぬ通勤船なのだね。これが。あっという間に天草島着。PM16:40

 天気は霧雨となっており、霧が出てきた上に日も落ちてきた。これから天草を縦断してもう一本フェリーに乗らなければ島原に行けない。あまり時間に余裕が無くなってきた。R266に乗って河浦町の分岐でR389に乗り換える。東岸沿いに走る通称サンセットラインである。曇っているので夕日は見ることができない。この分岐近くで閉めかけていたガソリンスタンドで給油して、出発。海が結構荒れているので、面白い。道は海岸沿いにくねっており、変な漁村で道を誤る。うろうろしていると、「崎津天主堂」の文字が。せっかくなので寄っていく。古い教会であるが、めちゃめちゃ入り組んだ所にある。まあそれなりに趣があるのだろうが、どっちかっていうと周囲にある古い木造民家の方が興味深かったりする。

 もうここらにくるとすっかり暗くなってきており、あまりぼやぼやしてられなくなってくる。再びR389に復帰して、先を急ぐ。が。なんかどんどん山の中に分け入っていく。まあた道間違えたかなあとか思う。マップルには「快適シーサイドライン」とか書いてあったのだが、道は1.5車線だし、どんどん山道になって行くし。とっぷり暮れた山道をてこてこ走る。どうやら山越えをしているようだ。道路に舗装もなくなった。と、思ったら天草町の看板が。えっこれがR389通称サンセットラインなの? なんだいまだ完成してないんじゃねーか。えらい時間を食ってしまった。PM6:00を過ぎ、島原へ渡るのは断念。次善の策として、大矢野島を経て熊本へ向かうことにする。こっちは橋伝いに行けるのだ。R324に乗り換え、PM7:00を過ぎてしまったので、デイリーマートで晩飯購入。ちょいわびしい。

 大矢野島を経て熊本へ向かうには、天草五橋という橋の連続を渡っていくことになる。数えていたが、あれ? 4つしかないや。まあいいか。県道57号に乗り、九州自動車道松橋インターへ向かう。こりゃどっかのサービスエリアで明日の手みやげを買って寝ちまおう。ということで、PM9:35北熊本サービスエリアに乗り入れ、おみやげ購入。明日の予定を考える。だああ。疲れた。

 さて、このまま九州自動車道を北上して中国自動道に乗り、帰りは広島自動車道を経由して明日の夜までに和歌山へ向かう。長崎は残念ながら見送り。と、思ったが、往路の所要時間を見てみると、名神桜井パーキングエリアから九州古賀サービスエリアまで10時間掛かっている。こりゃあ間に合わんぞ。おい。

 疲れた体にむち打って出発。とりあえず行けるところまで行こう。強力眠気覚ましアイテム、ジェームス・ブラウンのライブ・テープを取り出す。
 当然わたしのMINIにはカーステがついているのだ。そこで、MINIの中でよくかけている音楽は何かということであるが、実は普段はほとんど音楽はかけていない。音楽は眠気覚ましに使うことが多いので、MINIの騒音に負けないうるさくてノリのいい曲というのが基本。で、最近はだいたいかける曲がいくつかに絞られるようになった。まず、ジェームズ・ブラウンの絶頂期、'71年のライブ盤"Love Power Peace"。P-ファンク、ファンカデリックでおなじみ"ブーツィー"・コリンズのベースがうねるうねる。それからサザン・ロックの大御所オールマン・ブラザース・バンドWoodstock'94のライブ。ディッキー・ベッツのギターがぶっとい。あと、渋いところでチャーのアコースティック・ユニットBAHOのライブ"HAPPENINGS"。笑かしてくれます。

 それはともかく、九州の出口、関門海峡へ。ここには、関門海峡を一望できるめかりサービスエリアがあり、来るときはとばしてしまったので、帰りに寄ろうと思っていたのだ。が、行けども行けどもたどり着かない。おっかしーなーと思っていたら、下り車線にしかないのであった。残念。

 九州自動車道を抜け、AM1:20、中国自動車道美東サービスエリア着。これで限界と判断。カレーライスを食って寝る。ああ長い一日だった・・・・

 本日の走行距離、約713km。給油1回、タバコ2箱。

[事前準備|12/15〜28|12/29|12/30|12/31|1/1|1/2〜3|まとめ]


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