作品名※カッコ内は票数 | 著者 出版社 |
1 鏡の中は日曜日 (55) | 殊能将之 講談社 |
2 魔神の遊戯 (43) | 島田荘司 文藝春秋 |
3 聯愁殺 (30) | 西澤保彦 原書房 |
4 法月綸太郎の功績 (27) | 法月綸太郎 講談社 |
5 見えない精霊 (22) | 林 泰広 光文社 |
6 人魚とミノタウロス (18) | 氷川 透 講談社 |
グラン・ギニョール城 (18) | 芦辺 拓 原書房 |
8 クビキリサイクル (15) | 西尾維新 講談社 |
9 はじまりの島 (13) | 柳 広司 朝日新聞社 |
10 21世紀本格 (12) | 島田荘司編 光文社 |
次 GOTH (11) | 乙一 角川書店 |
「世界は密室でできている」 「撓田村事件」 「クビシメロマンチスト」 「影踏み鬼」 「『クロック城』殺人事件」 「嘘つきパズル」 「館という名の楽園で」 「捩れ屋敷の利鈍」 「人間動物園」 「ラッシュライフ」 「猫丸先輩の推測」 「オイディプス症候群」 「僧正の積木唄」 「首断ち六地蔵」 「私立『霧舎学園ミステリ白書』 四月は霧の∞密室」 「世界の終わり、あるいは始まり」 「ふたり探偵」 「『瑠璃城』殺人事件」 「バラバの方を」 「樒/榁」 「試験に負けない密室」 「奇蹟審問官アーサー」 「鷲尾三郎名作選」 「双月城の惨劇」 「まほろ市の殺人 秋」 「エナメルを塗った魂の比重」 「奇偶」 「名探偵Z」 「サロメの夢は血の夢」 「凍るタナトス」 |
1位●鏡の中は日曜日
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G「ここまで殊能さんが独走するとは思いませんでしたが、おおむね予想の範囲でしょうか。しかし乙一さんはもう少し順位を上げてくると思ったんですけどね」
B「うーん。西尾さんや舞城さんたち脱格組もそうだけど、やっぱ『GOTH』はキミが投票対象としてあげた『狭義の本格』というセリフに影響されて、投票するのを躊躇しちゃった人が多いんじゃないかな」 G「でも、あれは第1回から毎回使ってるセリフですよ」 B「今回はなぁ、みすらぼさんや他のところでもネタにされて、妙にクローズアップされた感じがあるからねえ(笑)」 G「そうなのかなあ。でも、西尾さんについては『クビシメロマンチスト』と票が割れてしまったのが、痛かった感じですよ。あと北山猛邦さんも『クロック城』と『瑠璃城』に割れて損をしてたし」 B「あと昨年の覇者・黒田研二さんは……まあこういっちゃなんだが、モロに多作が祟った感じ。ちょっと驚いたのは笠井さん。某ベスト1位の『オイディプス症候群』は、びっくりするほど票が入らなかったね〜。私はベスト10内ならあってもよい作品だと思うんだが」 G「それもぼくのせいですかあ?」 B「少なくとも私は、きみが言うほどどーしよーもない駄作だとは思わない。本格部分に限っていってもね。むろんリーダビリティにはむちゃくちゃ問題があると思うけどさ」 G「まあ、そのあたりは当ランキングの個性ということで……」 B「ついでにいえば、柄刀さんはなんでこんなに支持が少ないんだろうなあ。私的には、質量ともに芦部さんと並んでもっとも高値安定の本格書きさんだと思ってるんだが」 G「そうですねえ、マニア好きする作家さんのはずなんですが。『凍るタナトス』に『奇蹟審問官アーサー』はいずれもベスト級の力作だけど、長編だとやはりどうしても小説技術の点で留保が付いてしまう嫌いはありますね」 B「投票者数も増えているし、ゴリゴリの本格マニアではない“常識人のミステリ読み”さんも投票してくださるようになったのかもしれないね」 G「たしかに全体としてみると、マニアさんと一般的な読者さんの投票が程よく拮抗している感じはします。総体的なクオリティも高いし、バランスの取れたいい感じのランキングじゃないでしょうか」 B「こういうことで自画自賛するかな〜、キミが威張ることじゃないぞ。読者さんのおかげなんだからね。とはいえ1位にはやっぱ異論があるけどなあ」 G「まだそんなこといってる〜。じゃあ、そろそろayaさんのベストをうかがいましょうか」 B「よしきた、これでどうだ。例によって順不同だよ」 |
「はじまりの島」 | 柳 広司 朝日新聞社 |
「法月綸太郎の功績」 | 法月綸太郎 講談社 |
「凍るタナトス」 | 柄刀 一 文藝春秋 |
「グラン・ギニョール城」 | 芦辺 拓 原書房 |
「オイディプス症候群」 | 笠井 潔 光文社 |
別「撓田村事件」 | 小川勝己 新潮社 |
G「珍しく今回は堅いセンですね〜。しかし、別格に小川勝己さんを入れてらっしゃるのが気になるなあ」
B「まぁ、本格としてはまだまだなんだけどね。あの人がこれを書いたということ自体、かなりの驚きだったんだよ。横溝正史へのオマージュという点では山田作品とも共通するけど、こちらの方が紛れもなく本格。しかも、作者らしさがハッキリ出た“現代の作品”だ」 G「その割に、あまり読まれてない感じもしますしね。一方、柄刀さんは『アーサー』でなく『タナトス』ですか? あまり褒めている人を見たことが無い気がしますけど」 B「たしかに読みにくいよね。救いようが無いくらい小説下手だし。けどもこれこそ“21世紀本格”の力作! 現在までの『ミステリマスターズ』においてはこれがベストだと思う」 G「島田作品よりも?」 B「ったりめーじゃん! 『魔神』は島田作品としては中の上というところだよ!」 G「ふーん。んじゃ、次はぼくの方のベストをば」 |
1 「鏡の中は日曜日」 | 殊能将之 講談社 |
2 「人魚とミノタウロス」 | 氷川 透 講談社 |
3 「法月綸太郎の功績」 | 法月綸太郎 講談社 |
4 「魔神の遊戯」 | 島田荘司 文藝春秋 |
5 「はじまりの島」 | 柳 広司 朝日新聞社 |
6 「サロメの夢は血の夢」 | 平石貴樹 南雲堂 |
7 「聯愁殺」 | 西澤保彦 原書房 |
8 「バラバの方を」 | 飛鳥部勝則 徳間書店 |
9 「奇蹟審問官アーサー」 | 柄刀 一 講談社 |
10「名探偵Z 不可能推理」 | 芦辺 拓 角川春樹事務所 |
B「なんかランキングの下の方にゲテなものが、ぞろぞろ入ってる気がするが……」
G「うーん、西澤さんはともかく、6位以下はたしかに個人的偏愛リストっぽいかも。『サロメ』は、全編を犯人も含む登場人物の心理描写で描き、しかもフーダニットという離れ業。再読するとさらに膝連打! って感じの作品です」 B「狙いはともかく、あまり成功しているとは思えんがなあ。飛鳥部作品も、まあ処女作以来もっともストレートな本格ではあるけど、これも歪な作品だろ」 G「ヘンな作品なんですよね。名探偵の推理も異常だし……でも、これも本格としての壊れ方が好きな方向なんです。『アーサー』は奇想炸裂! ただそれだけッ! という潔さが最高ですね」 B「じゃあ『Z』はなんだよ。芦辺作品でこっちを選ぶなんてのは相当以上の根性曲がりだと思うぞ」 G「こりゃもう単純に今年いちばん笑えて、いちばん“本格ぅ!”って気分を味わえた作品だからです。バカトリックにバカロジックがぎっしり詰まっていますが、本格って本来こういうもんだと思う。なんだってそうだけどエラくなりすぎちゃダメだと思うんです。本格なんて、所詮バカなお遊びであることを忘れちゃあいけない」 B「なんかもっともらしいこといってるよ……」 第1部・完(2003.1.13脱稿) |